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3.王宮

3-10.

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 世の中信じられない出来事の一つや二つある物だ。
 その信じられない出来事が今まさに目の前で起こってる。
 そしてマジで泣きそうなのだが。

「やめろ!何が目的だ!?」
「ふははは、王女は我ら革命軍が預かった!」

 メイド達が王女と遊んでいて、俺が少し目を離した隙に事件は起きていた。
 革命軍と名乗る輩がメイドを突き飛ばし、王女を奪った。
 そして王女にナイフを突きつけて俺らを脅していた。

「その子は話してやれ、俺はカートレット公爵令嬢!身代わりになるから王女を解放しろ!」

 俺はドジっ子か?馬鹿なのか?
 結局、言いなりになるしかなく、俺までもが捕まった。
 メイドよりは公爵令嬢の方が金を搾り取れると思ったのだろう。
 同じ馬車に乗せられられたらそのまま脱出するつもりだったが、俺と王女は別の馬車に乗せられ、しかも微妙に離れた距離で走っている。
 これでは下手に暴れられないではないか。

 ちなみに、俺はまたもや手足を縛られ今度は猿轡さるぐつわに目隠しのオプションが付いた。
 次は宙吊りにでもされるんじゃないか?

 馬車の移動が終わったと思えば、冷たい床の上に転がされた。
 しかも真っ暗ときたもんだ。
 おそらくどこかの建物の地下室なのだろう。
 空気がひんやりしていて、少々肌寒い。
 王妃様に頂いたドレスを着ていたのだが、汚してしまったな。

 しかしだ、人を縛る手練れがいたのか動けば動くほどロープが食い込んでくる。
 手と足のロープ同士も繋がっているという念の入れようには感服した。
 今回ばかりは、ほんとお手上げだ。

 問題は王女の連れて行かれた場所だ。
 どうやら俺とは別の場所に連れて行かれたのは身分から当然の事だ。
 用途が違うのもあるが、あちらは丁重な扱いを受けているのだろう。
 俺はただの身代金の要求だとして、王女は何だろうな。
 考えれば色々ある。
 捕まっている仲間の解放、巨額な請求、独立の容認とか。

 バタンッ カツッカツッカツッ

 ドアを開けて誰かが入って来た。

「ぐふふふ」

 何か雑巾が腐った様な体臭がここまで匂ってくる。
 何をする気なんだ。

「ぐふーっふっふっふっふ」

 ほんとうに一体何をしているのだ。
 畜生、こんなロープ、前世なら筋肉の膨張だけで千切れたのに!

 衣服を触られた感じがした。
 恐らくスカートの中を覗かれているのだろう。
 まぁ、それは当然か、武器とか隠している可能性があるからな。

 体をよじり、少しでも声の主から離れようとするが、徐々にロープが食い込み遂には痛みを感じる程になってしまった。
 クソッ。
 この体に傷が残ったらどうするつもりなんだ。

 俺はこの体の事を人一倍大事にしている。
 それは自身の体という意味以上に、娘を持つ父親としての加護欲からだ。
 この体もまた、娘の様に大事に育てようという考えだ。
 だが、女子とて筋肉は必要だがな。

 *

「ふぐーふぐー」
「ぐふふふ、ここならもう泣いても叫んでも誰もこねーぐふ」
「ふぐぐーふぐぐふふぐふぐぐー」
猿轡さるぐつわは外してやる、ちゃんと喋れ」
「貴様、何をする気だ!」
「ぐふふー。それはもうあんなことやこんなことよ!」
「くっ」
「(バタンッ)カロリーナ!助けに来たよ!」
「お前は……誰だ?そこのお前、目隠しを取ってくれないか、情景を読者に説明できん」
「仕方ないぐふね」
「よし、取れた。なにっ!?王太子殿下だと!?」
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