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35.記憶探しの旅
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大司教様の暗示を解いて頂いて、エリザベス様との記憶を思い出した。
記憶が混乱する。
忘れていた友達の事が突如として記憶に現れ、胸が締め付けられる。
彼女との話で何が間違いだったのか、完全な記憶を持ち合わせていたない私には全てが闇のままだ。
ただ分かっているのは、たった一つの約束で大事な友達を無くしてしまったと言う事。
その事を謝ろうにも約束の内容は思い出せないし、エリザベス様の事を思い出したとも言えない。
そんな中途半端な状態で、私は対面する事になってしまったのだ。
「エリアナ・エジャー、久しぶりね、私の事を覚えている?」
「申し訳ありません、私は過去の記憶に欠損がありますので、エリザベス様の事も覚えておりません」
エリザベスは現在のアリニャーヌ公国の女大公。
姉は側室の子の為、継承できなかったという話。
その為、エリザベートとはそれほど似ているとは言えなかった。
「あの約束の事も覚えてないのね・・・報われないものね」
「その内容はエリザベス様はご存じなのでしょうか」
「いいえ、知らないわ。それにしてもあの、ウ■■■ーが王族だったとは、お互いうまくいかないものね」
たぶん、ウィルターの名前を呼ばれた。
本当の名前の方を。
その言葉の所だけ、酷いノイズが走り、頭が酷く痛くなる。
「ふふっ、眉間に皺を寄せて・・・、アイツの名前を聞く度に辛くなるのね、姉の呪いは効くでしょう?」
「その・・・エリザベス様はあの男の子の事が好きだったのですか?」
「・・・それはないわ、後継ぎだというのに他所の王族と結婚できる訳がないでしょ」
「では、今は私を呪う程は怒っていないという事でしょうか」
「いいえ、怒っています」
「できれば、その理由を教えて頂けないでしょうか」
「・・・エリアナが・・・忘れたから」
「あの、もう一度」
「エリアナが私との約束を忘れたからよ!」
「あの、それはどのような約束でしょうか」
激高しているエリザベスに聞くのは得策ではないけど、それ以外に思いつかなかった。
結果、まともに教えてくれるはずもなく、許してもらうために一旦公国について行く事になった。
『思い出すまで、許さないんだから!』
とても理不尽さを感じるけど、あの男の子が関係していないとなると純粋に忘れているだけという可能性が高い。
10年も前の事を想い出せるほど私の記憶力は良いのだろうかと疑問符を生やしながら王妃様に報告をした。
すると、不思議な事に国外への旅行の許可がすぐに下りた。
『王国内も物騒ですからね、少し旅行に行っていた方がよいでしょう』
何か含みのある言い方だったけど、その意味は出発間際まで分からなかった。
ただし、出発は教会のお勤めが終わる6日後。
エリザベスとエリザベート、二人に同行して移動する事になった。
結局、ウィルターとは会えないまま出発する事になりそうだと思った矢先、ダリアが情報を持ってきた。
父とウィルターが協力してドルヴァー公爵の討伐準備を進めていると言う。
つまり、王国はドルヴァー公爵を反逆者として処刑するつもりだ。
国が二分される戦いになるらしく、王妃様の言う王国内も物騒というのはこの事だったのです。
出発間際、ダリアが大司教様からのプレゼントだと、大きな巻物を抱えていた。
ダリアとエイダ、第二騎士団は私に同行する事になる。
私は無事に帰れるのかと、少し不安になりつつも、出発の日は訪れた。
その日、ドルヴァー公爵との戦端の幕が切って落とされた。
記憶が混乱する。
忘れていた友達の事が突如として記憶に現れ、胸が締め付けられる。
彼女との話で何が間違いだったのか、完全な記憶を持ち合わせていたない私には全てが闇のままだ。
ただ分かっているのは、たった一つの約束で大事な友達を無くしてしまったと言う事。
その事を謝ろうにも約束の内容は思い出せないし、エリザベス様の事を思い出したとも言えない。
そんな中途半端な状態で、私は対面する事になってしまったのだ。
「エリアナ・エジャー、久しぶりね、私の事を覚えている?」
「申し訳ありません、私は過去の記憶に欠損がありますので、エリザベス様の事も覚えておりません」
エリザベスは現在のアリニャーヌ公国の女大公。
姉は側室の子の為、継承できなかったという話。
その為、エリザベートとはそれほど似ているとは言えなかった。
「あの約束の事も覚えてないのね・・・報われないものね」
「その内容はエリザベス様はご存じなのでしょうか」
「いいえ、知らないわ。それにしてもあの、ウ■■■ーが王族だったとは、お互いうまくいかないものね」
たぶん、ウィルターの名前を呼ばれた。
本当の名前の方を。
その言葉の所だけ、酷いノイズが走り、頭が酷く痛くなる。
「ふふっ、眉間に皺を寄せて・・・、アイツの名前を聞く度に辛くなるのね、姉の呪いは効くでしょう?」
「その・・・エリザベス様はあの男の子の事が好きだったのですか?」
「・・・それはないわ、後継ぎだというのに他所の王族と結婚できる訳がないでしょ」
「では、今は私を呪う程は怒っていないという事でしょうか」
「いいえ、怒っています」
「できれば、その理由を教えて頂けないでしょうか」
「・・・エリアナが・・・忘れたから」
「あの、もう一度」
「エリアナが私との約束を忘れたからよ!」
「あの、それはどのような約束でしょうか」
激高しているエリザベスに聞くのは得策ではないけど、それ以外に思いつかなかった。
結果、まともに教えてくれるはずもなく、許してもらうために一旦公国について行く事になった。
『思い出すまで、許さないんだから!』
とても理不尽さを感じるけど、あの男の子が関係していないとなると純粋に忘れているだけという可能性が高い。
10年も前の事を想い出せるほど私の記憶力は良いのだろうかと疑問符を生やしながら王妃様に報告をした。
すると、不思議な事に国外への旅行の許可がすぐに下りた。
『王国内も物騒ですからね、少し旅行に行っていた方がよいでしょう』
何か含みのある言い方だったけど、その意味は出発間際まで分からなかった。
ただし、出発は教会のお勤めが終わる6日後。
エリザベスとエリザベート、二人に同行して移動する事になった。
結局、ウィルターとは会えないまま出発する事になりそうだと思った矢先、ダリアが情報を持ってきた。
父とウィルターが協力してドルヴァー公爵の討伐準備を進めていると言う。
つまり、王国はドルヴァー公爵を反逆者として処刑するつもりだ。
国が二分される戦いになるらしく、王妃様の言う王国内も物騒というのはこの事だったのです。
出発間際、ダリアが大司教様からのプレゼントだと、大きな巻物を抱えていた。
ダリアとエイダ、第二騎士団は私に同行する事になる。
私は無事に帰れるのかと、少し不安になりつつも、出発の日は訪れた。
その日、ドルヴァー公爵との戦端の幕が切って落とされた。
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