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28.アリアナの証言
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その日の内に再び陛下の元に連れて行かれた。
午前の謁見とは異なり、今度は大勢の貴族が居る中の謁見。
風船王子の証言で進行する事が不安ではあったけど、今度は王妃様や大司教様も居る。
あとは父が居ればもっと良かったのだが不在なのはどうしよもない。
風船王子は、ここ最近のアリアナが実は姉のエリアナだったという事を証言した。
犯そうとした事を伏せたままでだ。
だからといって、この面前で言う内容ではない。
言った所で辱めを受けるのはこの私の方なのだ。
妹と私は装飾のすくない服を借りて着てはいたが、あまり着心地のいいモノではない。
囚人服よりは幾分マシと言った程度だと思う。
陛下によって罪状の確認が始まった。
「アリアナ・エジャーは不在中、何をしていたのか証言するがいい」
「私は清廉潔白です!悪い魔女に呪いをかけられ、今まで耐え忍んできました、ただ、恐ろしく部屋でじっと怯える日々、それは苦痛でしたが、それを乗り越え私は戻ってまいりました、聖女の私が!」
妹は清々しくも堂々とした立ち振る舞いは演説と呼ぶに相応しかった。
内情をおおよそ知ってる私からすれば、よくもまぁいけしゃあしゃあと嘘がつける物だと呆れてしまう。
そして陛下が厳しい口調で話しだす。
「お主の外出の報告は受けておる」
「だ、誰からですか」
「それを教える気はない。それよりも王宮の庭園に忍び込んだ件はどうやって言い訳する気だ」
「そんなのは私ではありません!やったのはエリアナです!」
「ほう?エリアナが忍び込んで何をしたというのだ」
「決まっております!魔導具と共にアイスローズの種を植えたのです!私はしかとこの目で見ました!」
「ほう、植えた所を見たと言うのか、あのエリアナが!」
「は、はい、その通りです」
「では、エリアナを連れて行け」
衛兵が掛け声と共に私の両腕を掴んで謁見室から連れ出された。
それから、その状況を知る事は出来なかった。
陛下はアリアナの言う事を鵜呑みにしたと言う事になる。
再び罪人として裁かれた事になる?私が?たったこれだけの話し合いで?
私は何も言っていないのに・・・。
大司教様も何も言ってくれなかった。
味方だと思ったのに・・・。
「エリアナ、大丈夫かい?」
衛兵が私に声を掛けて来た。
フルフェイスの兜を外すと彼の姿が露わになる。
「あなた、衛兵だったの?ウィルター」
「いいや、そうじゃない、ちょっとした変装だ、しかし、この鎧は暑いな」
そう言って次々と鎧のパーツを外し、ちょっとした貴族に見える様な恰好になってしまった。
「潜入するのはいいけど足が付かない内に早く逃げて、私は牢屋とかに一人でいくから」
「ああ、その事だが行く先は決まっているんだ」
「え、どこに?」
「ふふ、こっちだよ、付いておいで」
手を引っ張られ、早歩きで進む彼に何か懐かしさを感じた。
ズキッ
頭がまた痛くなる。
どうしてこんなに頭が痛いのか。
そんな原因を考えている内、いつの間にか膝を地に着けていた。
「エリアナ、無理に呪いを破ろうとするな!」
「呪い・・・?」
午前の謁見とは異なり、今度は大勢の貴族が居る中の謁見。
風船王子の証言で進行する事が不安ではあったけど、今度は王妃様や大司教様も居る。
あとは父が居ればもっと良かったのだが不在なのはどうしよもない。
風船王子は、ここ最近のアリアナが実は姉のエリアナだったという事を証言した。
犯そうとした事を伏せたままでだ。
だからといって、この面前で言う内容ではない。
言った所で辱めを受けるのはこの私の方なのだ。
妹と私は装飾のすくない服を借りて着てはいたが、あまり着心地のいいモノではない。
囚人服よりは幾分マシと言った程度だと思う。
陛下によって罪状の確認が始まった。
「アリアナ・エジャーは不在中、何をしていたのか証言するがいい」
「私は清廉潔白です!悪い魔女に呪いをかけられ、今まで耐え忍んできました、ただ、恐ろしく部屋でじっと怯える日々、それは苦痛でしたが、それを乗り越え私は戻ってまいりました、聖女の私が!」
妹は清々しくも堂々とした立ち振る舞いは演説と呼ぶに相応しかった。
内情をおおよそ知ってる私からすれば、よくもまぁいけしゃあしゃあと嘘がつける物だと呆れてしまう。
そして陛下が厳しい口調で話しだす。
「お主の外出の報告は受けておる」
「だ、誰からですか」
「それを教える気はない。それよりも王宮の庭園に忍び込んだ件はどうやって言い訳する気だ」
「そんなのは私ではありません!やったのはエリアナです!」
「ほう?エリアナが忍び込んで何をしたというのだ」
「決まっております!魔導具と共にアイスローズの種を植えたのです!私はしかとこの目で見ました!」
「ほう、植えた所を見たと言うのか、あのエリアナが!」
「は、はい、その通りです」
「では、エリアナを連れて行け」
衛兵が掛け声と共に私の両腕を掴んで謁見室から連れ出された。
それから、その状況を知る事は出来なかった。
陛下はアリアナの言う事を鵜呑みにしたと言う事になる。
再び罪人として裁かれた事になる?私が?たったこれだけの話し合いで?
私は何も言っていないのに・・・。
大司教様も何も言ってくれなかった。
味方だと思ったのに・・・。
「エリアナ、大丈夫かい?」
衛兵が私に声を掛けて来た。
フルフェイスの兜を外すと彼の姿が露わになる。
「あなた、衛兵だったの?ウィルター」
「いいや、そうじゃない、ちょっとした変装だ、しかし、この鎧は暑いな」
そう言って次々と鎧のパーツを外し、ちょっとした貴族に見える様な恰好になってしまった。
「潜入するのはいいけど足が付かない内に早く逃げて、私は牢屋とかに一人でいくから」
「ああ、その事だが行く先は決まっているんだ」
「え、どこに?」
「ふふ、こっちだよ、付いておいで」
手を引っ張られ、早歩きで進む彼に何か懐かしさを感じた。
ズキッ
頭がまた痛くなる。
どうしてこんなに頭が痛いのか。
そんな原因を考えている内、いつの間にか膝を地に着けていた。
「エリアナ、無理に呪いを破ろうとするな!」
「呪い・・・?」
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