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22.魔女との出会い(エイダ視点)
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「エイダ!エイダは何処に居る!」
私の部屋で家具が壊れる音がする。
義父が怒り狂っているって家具を破壊してまわっている。
私はそれをクローゼットの中で、息をひそめじっと堪えていた。
私は聖女を呪った。成功したと思っていたのに発動しなかった。
聖女は元気に活動していると言う。
もう一度呪うも発動しなかった。
聖女は警戒して、呪いの対抗策を用意したのだと思った。
それは魔女の誰かが裏切ったと言う事になる。
義父はその事を認めてくれない。
ただ、私が無能なのだと罵り、そして体罰を続けた。
今日は何をされるのかと想像するだけで身の毛がよだつ。
焼鏝、灸、爪剥はまだまし。
『苦悩の梨』だけはもう嫌だ。
思い出しただけで、体が震え、尿意が抑えられなくなる。
早く出て行って欲しい───
こんな事なら、側室になんてならなければ良かった。
姉は優秀で、呪いを成功させて、公爵家に嫁いだ。
私もその恩恵に預かり、側室にして頂いた。
なのに私が無能なばかりに、姉からも軽蔑され、旦那様からも無視さる様になってしまった。
いっその事、義父を呪い殺そうかとした。
それすらも失敗する。
意味が分からない。
私は魔女として未熟過ぎたのかもしれない。
そして私は、屋敷から逃げる事を決めた。
□□ □ □ □□
兄を頼ろうと、兄の治める領地を目指して歩いた。
ところが途中の村で、不穏な噂を耳にした。
私の一族が全員殺された、と。
直感的に私も殺されると思った。
逃げる様に王都行きの辻馬車に乗った。
そこで、あんな人に出会うとは思いもよらなかった。
王都に行った所で家なんて無い。
私は道端で乞食の真似事をして暮らしてた。
何度か犯されそうになるも、私の裸を見て何もせずに逃げて行く。
中には吐いた人もいた。
なんて失礼なんだ。
女として役に立たない私の価値なんて何処にもない。
娼婦にすらなれないのだから、このまま死ぬのかと思った。
でも、どこかの屋敷でメイドをしている人が、食べ物を与えてくれた。
家にも上げてくれて、ベッドも一緒に使わせてくれた。
急な発熱が出た時は看病もしてくれた。
ここにきて、人の優しさを感じるなんて、思いもよらなかった。
「エイダ、私のお世話になっているお嬢様が、エイダに会いたいんですって」
「私に?何があるの?」
「魔女に会ってみたいんだって。研究に協力して欲しいそうよ」
「でも私、出来損ない・・・」
「大丈夫、出来損ないでもお嬢様は気にしないわ、駄目元の研究だから、気軽にして」
「じゃあやる。協力させて」
「熱が下がったら行きましょうね」
「うん、ダリア、ありがとう」
私の部屋で家具が壊れる音がする。
義父が怒り狂っているって家具を破壊してまわっている。
私はそれをクローゼットの中で、息をひそめじっと堪えていた。
私は聖女を呪った。成功したと思っていたのに発動しなかった。
聖女は元気に活動していると言う。
もう一度呪うも発動しなかった。
聖女は警戒して、呪いの対抗策を用意したのだと思った。
それは魔女の誰かが裏切ったと言う事になる。
義父はその事を認めてくれない。
ただ、私が無能なのだと罵り、そして体罰を続けた。
今日は何をされるのかと想像するだけで身の毛がよだつ。
焼鏝、灸、爪剥はまだまし。
『苦悩の梨』だけはもう嫌だ。
思い出しただけで、体が震え、尿意が抑えられなくなる。
早く出て行って欲しい───
こんな事なら、側室になんてならなければ良かった。
姉は優秀で、呪いを成功させて、公爵家に嫁いだ。
私もその恩恵に預かり、側室にして頂いた。
なのに私が無能なばかりに、姉からも軽蔑され、旦那様からも無視さる様になってしまった。
いっその事、義父を呪い殺そうかとした。
それすらも失敗する。
意味が分からない。
私は魔女として未熟過ぎたのかもしれない。
そして私は、屋敷から逃げる事を決めた。
□□ □ □ □□
兄を頼ろうと、兄の治める領地を目指して歩いた。
ところが途中の村で、不穏な噂を耳にした。
私の一族が全員殺された、と。
直感的に私も殺されると思った。
逃げる様に王都行きの辻馬車に乗った。
そこで、あんな人に出会うとは思いもよらなかった。
王都に行った所で家なんて無い。
私は道端で乞食の真似事をして暮らしてた。
何度か犯されそうになるも、私の裸を見て何もせずに逃げて行く。
中には吐いた人もいた。
なんて失礼なんだ。
女として役に立たない私の価値なんて何処にもない。
娼婦にすらなれないのだから、このまま死ぬのかと思った。
でも、どこかの屋敷でメイドをしている人が、食べ物を与えてくれた。
家にも上げてくれて、ベッドも一緒に使わせてくれた。
急な発熱が出た時は看病もしてくれた。
ここにきて、人の優しさを感じるなんて、思いもよらなかった。
「エイダ、私のお世話になっているお嬢様が、エイダに会いたいんですって」
「私に?何があるの?」
「魔女に会ってみたいんだって。研究に協力して欲しいそうよ」
「でも私、出来損ない・・・」
「大丈夫、出来損ないでもお嬢様は気にしないわ、駄目元の研究だから、気軽にして」
「じゃあやる。協力させて」
「熱が下がったら行きましょうね」
「うん、ダリア、ありがとう」
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