上 下
7 / 13

6話

しおりを挟む
「ただいま戻りました」

   ウォーロックの秘書?的なお姉さんが4人を引き連れ戻って来ると俺は3人に予め用意していた袋を渡す。
   3人は困惑している。

「あぁ取り敢えず金貨4枚ずつ入っている。
 気にせず受け取って総合ギルドに行って紹介状を貰うと良いさ。
   クゥは幼いから俺の方で引き取るよ」

   何故か3人はその場から動かない。
   俺は不思議に思っていると3人は何かを必死に考え口にしようとしては噤む。
   涙を浮かべ何故か汗をかいている。
   え? 自由になったのにどうしてだ?
   そして秘書さん、ウォーロックがやれやれと言った表情だ。

「アストウェル様、流石にそれはこの年頃の子供に非情過ぎますよ。
   彼女達から見れば貴方様は自分を救い出してくれた英雄なのですよ?」

   ウォーロックは諭してくるがいまいち分からなかった。

「いやぁ、でも俺スラムに住むつもりだよ? この子達じゃ危ないぜ?
   なら見習いで仕事しながら生活する方が危険は少ないと思うんだけど」

   秘書さん? 顔引きつってますよ?

   そこに話に待ったをかけたのはウォーロックだった。

「アストウェル様、ならばスラムだけどスラムじゃない場所の家を買いませんか?」

「ほう?詳しく頼む」

   素晴らしい提案にすぐに情報を聞きたい。

「丁度境目に一軒家があるのですが3日前に売りに出されたのです。
   あまり長期間空き家にすると人が住み着くので早めに住居者を探して居たのです」

「金額は?」

「土地含めても金貨20枚位ですね。スラムの真横ですからね」

「買った。間取りと家具の注文は出来る?」

「はい、お教え致します。可能ですよ」

   俺はその日拠点を買う。
 引きこもり専用拠点だ!!

   必要な物を確認して注文する。
 間取りは2階建ての建物で1階がキッチン兼食堂、トイレとお風呂と2部屋。
 2階は4部屋の箱型の一軒家らしい。

   裏に井戸があって多少の庭付きだが、前所有者は畑で作物作っても盗まれて一向に自分で食えないから諦めたらしい。

   簡易地図を貰い場所を教えて貰い拠点の話で完全に3人を忘れて居たが……俺に着いて来るらしい。

   参った、保父さん効果じゃないよね?この称号地雷に見えてるマジで。


   俺はお金を払い商業ギルドの土地建物の所有者の名前を変えて
   必要な家具の注文をして午後に配達を頼んだ。

   5人で商業ギルドの2軒隣の大きな建物の総合ギルドに向かい新規登録をお願いした。

   クゥは登録は出来ないが仮身分証として総合ギルドカードを発行してもらう。
   これは簡単に言うと前世でいう保険証とかマイナンバーカードって奴だ。

   1度登録すれば無理矢理奴隷に落とされても闇奴隷に落とされなければ追跡出来るらしい。

   だからこそギルドが無い村と成人するまでそういった登録をしない貴族は狙われるのだ。

   鑑定水晶は鍛えて無ければその人の現在の潜在能力値がF~Sで表記される。
   1度でも鍛えてしまうと能力値に多少の変動があるのでその人の才能なのか努力なのかは分からないらしい。

   俺の結果で見てみようか。

 --­­--­­--­­--­­--­­--­­--­­--­­--­­--­­--­­--­­--­­--­­--­­--­­--­­--­­--­­--­­--­­-
 名前:アストウェル
 種族:人  種
 年齢:15
 武器:B 魔法B 知能:S 器用:D 精神:E

 ­­--­­--­­--­­--­­--­­--­­--­­--­­--­­--­­--­­--­­--­­--­­--­­--­­--­­--­­--­­--­­--­­-

 とまぁ簡潔に出る。

 --­­--­­--­­--­­--­­--­­--­­--­­--­­--­­--­­--­­--­­--­­--­­--­­--­­--­­--­­--­­--­­-
 名前:マナ
 種族:半精霊風種
 年齢:12
 弓:S 魔法A 知能:E 器用:D 精神:C

 ­­--­­--­­--­­--­­--­­--­­--­­--­­--­­--­­--­­--­­--­­--­­--­­--­­--­­--­­--­­--­­--­­-
 名前:サリア
 種族:人種
 年齢:11
 武器:E 魔法D 知能:E 器用:B 精神:D

 --­­--­­--­­--­­--­­--­­--­­--­­--­­--­­--­­--­­--­­--­­--­­--­­--­­--­­--­­--­­--­­-
 名前:スカー
 種族:人種
 年齢:10
 武器:F 魔法A 知能:E 器用:E 精神:D

 --­­--­­--­­--­­--­­--­­--­­--­­--­­--­­--­­--­­--­­--­­--­­--­­--­­--­­--­­--­­--­­-
 名前:クゥ
 種族:      種
 年齢:5
 武器:F 魔法S 知能:E 器用:F 精神:F

 --­­--­­--­­--­­--­­--­­--­­--­­--­­--­­--­­--­­--­­--­­--­­--­­--­­--­­--­­--­­--­­-


   中々皆優秀だと褒めようとした時、クゥの結果を見て俺と多分受付嬢の2人の顔が引き攣っていた。

「あのーアストウェルさんそのク「聞くな。詮索するな良くないことが起きるぞ?」脅しですか?」

   あぁ、誤解された。

「違う。こういった不思議現象には大概、神が子供を守る為にやってるんだ。だから聞くなと言ってる」

   そこで受付嬢は何か操作をしたと思ったら笑いだした。

「そんな御伽噺信じる人なんて居ませんよ?貴方の様なお花畑脳にはその子は相応しくありません!!」

   クゥが驚き俺にしがみつく。

「何が楽しんで生きろだよ……」

「 何をブツブツ言ってるんですか!!さぁその子達を渡しなさい変態!」

   俺の血管が切れた音がした気がする。

   俺の周りには屈強な男5人が迫っていたが俺の一言で変わってしまった。

「ふざけんじゃねぇよ何が慈愛だよただの厄介事製造女神じゃねぇかクソ女神!!」

   クソめ辺りまでの言葉を吐いた瞬間俺の周りに居た男と受付嬢に雷が当たった。

 サリア、マナ、スカーは抱き合ってブルブル震えている。

   天罰が落ちようがもう関係ない。

「今更おせーんだよ何が慈愛だよクソがっ!ふざけんじゃねぇよ!ヤンデレがぁ」

   その瞬間俺の真上に光が落ちたが俺はそれを刀で弾く

「てんめぇ俺のすぐ横に子供居るのも見えねぇのかくそ女神」

   5発程天罰を打ち払った後俺はハァハァハァハァと肩で息をする。
   何故か慈愛の女神の幻覚も見えておりアイツも肩で息をしてる。
   それにしてもボッサボサの髪を振り回し涙を浮かべ俺を睨んでる気がした。

「アシュト~ビリビリ怖い~」

   クゥに泣き付かれてしまった。
   俺はクゥを抱き上げよしよしと撫でる。

   何故かキィィィという悔しがってる声が聞こえた気がした。
   クゥが泣き止んだ時に肩をガシッと捕まれちょっとびっくりして後ろを見ると額に汗をかいたウォーロックが居た。

「アストウェルさん?これは?」

   顔を青くしてるのは怒りかはたまた周りに居る5人と受付嬢のほぼ死体の惨状かな。

「上見てませんでした?天罰が降ってきました」

   周りの連中の心の声は一致していた。

 (いや、お前弾き返してただろうがぁぁぁぁ!!!!)

しおりを挟む

処理中です...