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最終章:知識の街

291話

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 商人大移動が始まってから2時間……俺は予想した事態が起きたことに呆れていた。

 それは護衛冒険者と、衛兵の戦闘が起きたのだ。
 それにしても声のかけ方がそれはもう酷かった。

 3~4グループが固まり首都を出ていくという状況で衛兵が来て最初にかけた言葉がこれだ。

『貴様ら勝手にどこに行こうとしている? 許可は取ったのかボンクラ共めが!!』

 そもそもギルド員は国に所属してない……
 だからこそ素行の悪い奴は他国に行けない様にランクを上げなかったりする訳だが

 それも金や縁があれば引き止めることは出来ないため
 情報を共有して各地の街や国にある支部から他の国直下の組織に情報提供する訳だ。

 衛兵は完全にギルド員を国の物の様に扱った時点で違法だし、ギルドを敵に回した。

 その結果、AかBランク冒険者にぶっ飛ばされた。

 と言うよりも自分達よりも強者の殺気を感じてぶっ飛ばざる負えなかった感じだな。

 その殺気を飛ばした人は伝統的な魔女衣装の三角帽子を被った女性だった。

「うげぇ、Sランクの暴風リンだ。
 あいつが暴れたら街の1画が吹き飛ぶぞ?!」

「防風林??」

 俺がそう呟いて首を傾げると殺気がこちらに向かって来て無詠唱で『エアカッター』が飛んできたので

 魔力を手に纏わせてエアカッターを下から上に弾いて空に飛ばした。

「あんた!! 私の名前はリン! そしてうげぇって言ったあんた!! 暴風のリンと呼ばないと変な解釈されるじゃない!!」

 へぇ? こっちにも防風林ってあるんだ……

「って、人にいきなり魔力密度の高くて殺傷力の高いエアカッターなんて放つんじゃねぇ!!」

 俺はその女性に思いっきりげんこつを落とした。

「ぎゃん!?? あんた……私をぶったわね……」

 その女性が魔力を解放した瞬間に俺は俺とその女とついでにタビを巻き込んだ結界を張る。 

「近くには子供も居たんだぞ!! 魔力量が多い自慢なんてしてんじゃねぇ!!」

 そう怒鳴って魔圧をかけて更に俺の魔力をこいつより多目に解放する。

「私より……魔力が多い……」

 その言葉を聞いて俺は笑ってしまう。
 俺の周りには人外だけど俺より魔力が多い奴ばっかりなんだが??

 俺はそれに1つの技を見せる。
 結界内を俺の魔力で満たした後に少しイメージをして放出すると

 リンと言う女の顔には汗が出始めていた。

「何よお……こんな魔法知らない……」

 これは神に連なる神獣や高位魔物を見て出来るんじゃね? と思っていた魔法ですらない。

 高位な魔物や龍や神獣は周りの環境すらも自分好みに変えられる。
 それは魔力を大量に放出して自分好みの環境にしているからだと言われており。

 それに戦闘モードになると常に魔法や属性を纏って発露していた。
 なので今回は魔力に砂漠のイメージして放出した結果だ。

「環境型魔法とでも仮着けしておこうかな?」

 
 俺はそういうとタビは呆れ、リンはこちらをキラキラとした目で見ていた。

「あの……その知識は知識の街で手に入りますか?」

 そう言ってきたので俺は仮説資料の1部抜粋部分をコピーして渡した。

 これは大事な前提部分が無いために結論だけの資料だったりするけど
 魔法師だったらテーマだけで気付く可能性が高い。

 しかし、気付いても出来ないとは思う。
 このイメージを使って魔力の性質変化を起こす方が難しいのだ。

 環境の劣悪さを力に変えたり、順応したりするのに向いてるのは気の修練者や武器で戦う人達の方なのだから。

 そして普通の魔法師は魔法を放てば放ちっばなしなので外の魔力を操る概念が無い。

 俺は大気に漂っている魔力を吸収して色んな国に行ったことにより大気中の魔力ですら
微妙に差があったことに気付いたのだ。

 古代文明はこれを軸に大規模魔法を使っていたと思っていた。
 魔法陣を見ると偶に座標が書いてあったりするのだ。

 現代に照らし合わせるなら災害級や天災級魔法と呼ばれるだろうな。

 しかしそれは敵対的に使った場合でもある。
 やろうと思えば厳しい土地でも落ち着いた気候の環境にすることも出来るのだから。

「し……」

 リンがブツブツと意識がどこかに飛んで行っていたが戻ってきて最初の言葉だった。

「し……?」

 ついついオウム返しをしてしまう。

「師匠と呼んでも良いですか!?」

「お断りします」

「ぐはっ!? まさかの即答……」

 俺は呼吸を深くし結界内の魔力を吸い取る。
 結界をとくと何故か外は少し寒かった。

 そしてニヤニヤとしたタビが俺の肩をツンツンとつつくので

「どうしたんだよ……た、タビ?!」

 その後ろには笑顔なのに般若面が後ろに見えるトアが居た。

「ふふふ、ケビンさんは行く先々で綺麗な方と仲良くなるのですね??」

 こえぇぇぇ!! そして弁解出来ねぇ、絶賛リンは俺の脚にしがみつきブルブル震えているのだから。

「どうして……私がCランク冒険者にビビるのよ……」

 トア達はランクアップしてないからなあ。
 C以上に上がると個人指名依頼や緊急時の作戦行動を拒否出来なくなるからだな。


「リンさんだっけ? 知識の街には未だ貴方が知らないような知識があるさ。
 どうせこの街から出ていくなら寄ってみてくれ」

「はい! 分かりました師匠!!」

「師匠じゃねぇ!!」

※リンが仲間になった!!

 こんな言葉とBGMが流れているんだろうなぁ神様達も娯楽を求めているんだろうなぁ。
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