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最終章:知識の街
289話
しおりを挟むフィリップ達と出会って3日が経ち後始末も終わったので
首都に向かう旅へ再出発する予定が……
「どうして調査員の方々も居るんですか?」
便乗して調査員達もくっついてきた。
「どうしてって……強い方がいる時に街を移動するのは冒険者の鉄則ですよ!!」
いやー……ここから馬車を使わずに行こうと思ってたし
この人達を馬車に乗せると欲しがるから出したくないし
そしてマジックボックスの容量も知られると面倒なんだよな。
本部はまだ俺がバカ龍神のアバター持ってると思ってるだろうし。
ちなみに鱗や牙は既に色々な物に加工してる。
1番材料を使ったのは鱗を粉砕して孤児院敷地内の建物の建材にしてしまったことだろう。
魔法所か魔力絡みの呪いも弾くスーパー建造物が出来上がってしまったんだけどね!
なんか変な龍の領域っていう土地に加護的な物まで着いてしまったのは
誰も知らないが竜の血が混ざる人達には1発でバレてしまう。
アースさんやトヤやトアがあの場所から出たがらない理由になった上に竜人族の人が聖地化している。
鋭い人はあの場所になにかあると踏んで入り込もうとしては失敗している。
邪な念を持って入ろうとすると勝手に弾かれてしまうのだ。
しかし、子供の無邪気な悪には反応出来ない。
多分成人の儀を行うと反応する様になってるんじゃないかな? と俺は予想している。
前世で言う少年法の適応が成人の儀までなんだろうな。
そしてあの土地には異世界の社まであるので1つのパワースポットになっている。
気の修練や魔法開発にも良い影響を与えている。
それと獣や魔物、獣人の矯正にも効果が何故かあるんだよ……
反抗的だった獣人族の子供達は今や良い子ばかりだ。
本能的にあそこでは良い子で居ないとマズイというのを感じてるっぽい。
「まぁ……分かりましたけど俺達の移動方法について黙秘することを契約できます?」
そう言うと調査員3人は緊張した面持ちで頷く。
「では各々の神様へ誓いを立ててください。
魔法神・破壊神・創造神へここに特殊契約の保証人を要求する!!」
そう言うと俺達の周りに結界の様な光が降り立つ。
『創造神様の代理、光の精霊が見届ける』
『破壊神様の代理、闇の精霊が見届ける』
『魔法神の代理、龍神が見届けよう』
俺はハリセンを持ち、スパーンと龍神に突っ込んだ。
「代理が神だったら参入してこいよ!! 魔法神に代わり龍神が参入でいいだろうが!!」
『痛いではないかっ!! 仕方ないだろう? この間の仕置がまだ終わっておらぬのだ!』
そのアホな会話に調査員3人はポカーンとしてる。
『汝ら、ケビン達の秘密を守ることを誓うか?』
珍しく仕事をしている龍神に3人は慌てて跪き声を揃えて答えた。
「「「誓います!!」」」
『ここに締結された。しかしどうせ理解の範囲外の出来事故に報告しても信じては貰えぬだろうがな?』
そうニヤリと笑うと全員さっさと帰って行った。
そこにタビが物資の調達と情報を受け取り帰ってきた。
ギルドに行ってる間にタビはこの街の責任者は真っ黒だと思うので証拠集めに奔走してもらった。
昨日報告を受けたが……酷過ぎて言葉に出来なかった。
なので、調査員経由でギルドから圧力がかかることになっている。
知識の街で発行している近郊の街の危険度を現したマップには黄色から赤色に変わっている。
これは商業ギルドは情報を集めるだけにしているのが勿体ないので簡易地図に治安の良さ、悪さを基準に危険度設定して商人達に配っていた。
情報と治安は商売にも直結するから商人は特に気にしている。
そこに個別に買った盗賊情報を書き込めば危険な場所がすぐに分かるというマップだな。
「よーし! タビ出発するぞ! 黒子、琥珀は競走だ! タビはゲートの準備してくれ!」
『1位は黒子の物!』『違う違う!琥珀のだもん!!』
『『むー!! なら競走だぁぁぁ!』』
「行きます!! 『ゲート』」
「調査員さん? 置いてくよ!?」
その声で我に返った3人はダッシュする。
2時間ほどたった辺りで調査員3人がダウンした……
「もう既に3分の2まで来ているのですね……
早すぎますね……こんな手法誰も思いつかないわ」
「そもそも転移魔法を使えるのが2人も揃うなんてことの方が滅多にないし
その前にクロス家の令嬢の様に危険に晒されて鍛錬している所ではなくなってしまう。
英雄アレクサンダー・クロスだからこそ護れて才能豊かに発揮出来るのだ」
こそこそ話してるけど全員全部聞こえてるんだよな。
まぁ確かに……そもそも転移魔法に関しては使える素質があっても教える人が少ない為に広まってないだけということもある。
魔法に素養のある人ならマジックボックス(小)位なら作れる。
それを拡張出来るかどうかが才能次第だな。
前世の記憶がある俺は最初からイベントリみたいな
無限拡張空間を想像して作ったから魔力量に応じて空間が出来ただけだし。
ハビスやタビは俺の理論を基に魔法を組み直したので大量の物資を入れる様になった。
セラもその理論をハビスから継承しているのでそんなに苦労はしてなかったりする。
転移に関しても座標点や記憶の場所を正確に思い出して転移点を開く作業をしていたのを
俺は空間と空間を折り畳むようにして繋げていることを伝えたら全員が簡単に転移出来る様になった。
そもそも視認点に移動する瞬間移動とやってることは違いがないのに遠くなると途端に大変な作業をする理由が分からなかったのだ。
だから紙を2つ折りにして繋げる感覚と伝えたらすぐに出来た訳なんだけどな。
そんな時だった。
僅かに地面が揺れ細かい地震だな。
「最近やたらと地震が多いですね」
トアも心配してるけど俺にはその理由が何となくわかっていた。
「あーこれはあれだな。世界樹が復活した影響で枯渇していた火山やらなんやらが活動を始めてるんだよ」
そう言うと調査員達がギョッとしてこちらを見てきた。
「それはクレア山が活動期に入ったのですか?」
「ん? クレアさん? って誰?」
俺はついつい真剣に聞き返してしまった。
「山ですよ山!! クレア山は500年前から鉱石も魔物も出なくなった忘れ去られた山です!!」
「へーなるほど、なら魔力が充填され始めたから近いうち噴火が起きて火竜や炎龍の遊び場になるんじゃないか?」
「だからこそ危険地帯として封鎖しなきゃならないんです!
早く首都に向かわないと不味いことになります!行きましょう!」
怒られた。
なんだかなぁ……どうせ封鎖した所で冒険者達は無謀な冒険をしたがり侵入するのにな。
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あけましておめでとうございます。
今年もよろしくお願い致します。
いつもお読みになってくださる皆様のお陰で作者は喜怒哀楽の全てを味わうことが出来ています。
今年はこの作品が終わり次第次の作品を作れる様に頑張って更新して行くのが目標です。
皆様も健康に気を付けて新たな年を送れるよう心より願います。
赤井 水
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