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最終章:知識の街
288話
しおりを挟むこの街のギルドはクラン雷霆の閃光(ぷぷぷ)と
ギルド調査員達によって疑わしい者達全て拘束された結果……
「250人以上の冒険者が在籍しているギルドで残ったのは50人ですか……」
肩をガックリと落とす調査員達。
この人達は本部から人員補充があるまではここで代理で陣頭指揮を取らないといけない。
カロン達のクランの名前を聞いてどういじってやろうかと思案しながら
ニヤニヤとしていた俺はジト目で見られるのも辛くなって来たので真顔に戻る。
ギルド組織側の人間を見ると受付嬢長、受付嬢(半分)、解体作業員(全員)、事務員(3分の2)残っていた。
「ギルドの屋台骨の人達が全体で見ると半分以上残ってるんだから大丈夫でしょ。
上が無能でも戦闘狂でもそれを支える骨組みがしっかりしていれば組織は回るからね」
そう雷霆の閃光のクラン員を見るとウンウン頷く。
「その通りです! うちの団長なんて毎年肩書きが団長(戦闘のみ)や団長(判子係)ととにかくサインと判子を貰うだけでも苦労しますから!!
ちなみに雷霆の閃光は普段は臨時代行団長という職を作りSランク組が居なくても回るようにしてます!!」
えっ……もしかして……
「もしかしてと言わなくてもその熱の入りっぷりは……臨時代行団長様??」
そう俺が言うとガックリとイケメンが肩を落とす。
「そんな……他人行儀で呼ばないでください。
団長に迷惑をかけられてる仲間じゃないですか!!
フィリップと呼んでください!」
最初から親しげに話しかけてきた理由が判明したわ……
「あ~……あの居候達家賃払えって言ったら仕事寄越せって言ってきてたぞ??」
そういうとフィリップの目がキランと光る。
「ふふふ、そういうことでしたか……知識の街に本部を移す視察に来てくれと伝言とお金をもってこいと言うのはそんなふざけた理由があったのですね!!」
そういうとアイテムバッグから袋3つ取り出し俺に渡してきた。
「迷惑料としてこちらを収めてください」
俺は2つを返す。
「神罰の時は助かったからこれ1つだけ貰うよ。気が済まない時は孤児院に寄付してくれ」
そういうと笑顔で頷いてくれた。
こいつら流石は商人と冒険者を兼任してるだけあるわ。
アイテムバッグに収納腕輪どちらも個人識別用の最高級品質の魔道具を着けてる。
俺はそんな話を切り上げて低ランク冒険者の中には見合わない装備をしてるベテランが居るのに気付く。
「なぁ? そこのおっさん4人組をさっさとAランクにしなよ調査員さん?
多分、子飼いになることを断って不当降格された人達だからな?」
魔力感知や眼力なんて使わなくてもかなりの使い手達が低ランク冒険者の証を堂々と着けてる方がおかしいし
他の連中が俺達や雷霆の閃光達の覇気や魔力に気圧されているのに
こちらの力量を見定めようとしてるのはありえない。
「おっさんはやめてくれよ! まだ30代だからな!はっはっは!」
俺は2度見してしまった! フィリップも驚いてやがるぞ?
「えっ!? 同年代?」
マジか……神様って残酷だなぁ。
かたや金髪碧眼のイケメンと顔面凶器のスキンヘッドが同年代だってよ!
周りの低ランク冒険者達もザワついてやがるぜ!!
『おじさん年齢不詳だぁぁ!』『うむうむ、良い顔をしてる』
『『我が弟子にしてやろう!!』』
「おう! 嬢ちゃん達ありがてぇな!」
あっ……あのおっさん終わった……
その瞬間爆速スピードで引っぱたかれながらおっさん4人は地下訓練場に強制的に連れていかれた。
「ケビン殿……彼女らの行動が目で追えなかったんだが??」
「気にするな、あの子達はランクで言うなら最低SSランク以上の化け物だからな。
気にするだけ無駄だぞ??」
雷霆の閃光のアサシン風のお姉さんが必死に逃げてるのに
さっきまで遊ばれていたことにまだフィリップは気付いていない。
「なら私の浄化で……「無理だからね? 寧ろあいつらはそっちの方が得意分野だから」そ、そうですか? 彼女達は神に連なる者達なのですね……」
そもそも3ヶ月ネロという天才が毎日死力を尽くしてやっとスピードだけ追いついた様に見えた奴らだぞ?
実際は素の身体能力だけでそのレベルなんだよ。
彼女達は魔力や気とは違う仙気や神気と言った技を使うとさらに笑えないスピードになる。
一瞬でソニックブームを起こせるんだぞ?
勝てるわけ無いよ……
俺だって魔力最大強化の眼力+転移でその状態の黒子と琥珀を避けるのが精一杯なんだから。
瞬間移動や転移魔法が身体能力だけで負けるレベルって最早対等に戦える相手じゃない。
世界最強と名高い龍が戦いを避ける程だぞ?無理だろ……
『あーん、ケビン失敗しちゃったー!』『ヤバいよヤバいよ』
『『助けて~うわーん!!』』
地下訓練場から来たSOSに俺は頬が引き攣る。
フィリップ達と一緒に急いで向かうと地獄絵図だった。
おっさん4人の手足が欠損や捻り折れていた。
かろうじて生きてる状態で下手すりゃショック死も有り得た状況だった。
「お前らなぁ……俺達やネロとこの人達を一緒にしちゃダメだろ??
フィリップですら一撃で腕がもげる可能性があるんだぞ?」
そういうとフィリップは突然笑い出して
「ケビン殿! あまりAランクを舐めないで貰えるかな?
いくら団長達と差があろうとも1つ下のランクなんだよ?」
フィリップ……それは間違いだぞ?
Sランク以上の称号が無いせいで正確な戦闘力が測れてないだけだ。
Sランク最下位クラスの魔物の戦闘力とフィリップの力量の差はそこまで無いが……
Sランク中層クラスの魔物とは大幅に足りてない。
下手すりゃ一撃死も有り得る位だ。
そんな言葉に琥珀と黒子の目が輝く、俺はさすがにヤバいと思い
闇属性精霊を大量に呼んでデバフを2人にかけた。
『むぅ? ショボショボ~』『フニャフニャ~』
『『これなら手加減出来るかも!? じゃあ、行くよ!!』』
そういうとフィリップに向かって超スピードで突っ込んで行った双子を見送り
俺はおっさんたちの腕や脚をくっつける。
その際に服は巻き込まない様に気をつけて再現魔法で骨折も治して行く。
この魔法は最近では再生魔法なんて呼ばれているけれど実際は再現だ。
壊れた細胞や組織を再現させて治すのだからな。
一切新しい細胞を使ってないので再生でもないというのが俺の意見だったりする。
全員を治し終わる頃には顔面パンパンのフィリップが戻ってきた。
「Sランクの壁がまだまだ高いことに気付かされた。
全く見えなかった、修行不足がはっきりして楽しかっ……た……」
そう言って倒れてしまった。
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