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最終章:知識の街
285話
しおりを挟む共和国の首都に向かい始めて4日……俺達は既に飽きていた。
数時間に1度
『お、おい! その馬車素晴らしいな! 是非うちの商会に売ってくれないか!?』
こんな話を持ちかけられるのだ。
そもそもこいつらアホなのか? 馬車移動してるのにここで売れってどういう了見なのか知りたいわ……
「無理、馬車無くなったら俺らは歩きだろうが……
この馬車を欲しがってるのに俺達が何故グレードダウンした馬車に乗らなきゃいけないんだよ」
そんなことしたら可愛い顔した双子様のお怒りを貰うぞ?
『ちっ、やっちまえ!!』
そう言い護衛達が動こうとした瞬間に御者をしていたタビが馬車の角に剣を向ける。
その馬車にかけられた印を見て護衛達は狼狽えた。
「依頼主様の命令でもこりゃ無理だわ……高ランク商業ギルド員なのに護衛連れてないし一緒にかけられてるギルド証も俺達は見たこと無いな。
つまり俺らとはかけ離れた強者の可能性が高いわ……」
そういうと依頼主を気絶させようとしたので俺から魔法をひとつ放ってやる。
「うおっ!? ありがてぇ、俺達から手を出すと依頼料貰えなかったかもしれん
俺達は『猛虎の尻尾』っていうパーティーでCランク冒険者です」
急にいかついおっさんが丁寧な言葉遣いになったので笑いそうになった。
「俺はケビン、元Bランク冒険者で今はBかAランクの商業ギルド員だった気もする。
冷静は判断のできるアンタにはひとつ知識を与えてやる。
アンタらが見た事ない証は特殊ダンジョン入場許可証らしいぞ?」
そういうと全員がぺこりと頭を下げて俺達に道を譲った。
俺はたまたま魔法使いの少女と目が合ったが少女は完全に怯えていた。
少し離れた瞬間に少女の大声が響く。
『よくやったわリーダー! あの馬、魔法生物であれを作った人なんて私達とは格が違い過ぎて瞬殺すら生ぬるかったわよ!!』
魔法使いの少女は中々優秀らしいな。と思ったのはつかの間で
『へい姉御! さすがはエルフ族ですね!』
『隠してるんだから言うなアホ!!』
へぇ? 俺でも見抜けないってことは魔法薬による変身術かな?
魔法なら見破るどころか最初からかからないからな。
影のリーダーはあっちの少女だったか。
まぁあのエルフならそのうちBランクまでは余裕で行けるだろ。
寿命の長いエルフはどれだけのんびりしていてもCランクまでは功績値で上がってしまう。
なのでエルフ族とパーティーを組む場合は最初に戦闘能力を見る必要があったりする。
数百年のベテランが最弱魔物を殺生することすら嫌がるパターンだってあったらしいからな。
まぁあの少女は下っ端のフリが出来るくらいの優秀だし普段から抑えている魔力の方にも気付いていた。
つまりかなり感知能力が高い証拠だし危機意識も高そうだ。
共和国の各都市の冒険者達は今熾烈な縄張り争いをしているので
隠れた才能の持ち主達が頭角を現し始めているのだろう。
SランクやAランクといった高ランクダンジョンが移動したせいで軒並み実力の高い冒険者が移動したのもあるからな。
「ケビン様、最初の都市にそろそろ着きます。
フードを被る準備をしてください」
俺は言われた通りにトアや双子達に認識阻害のかかったフードを手渡した。
「知識の街から1番近い都市の議員が異性に汚いとは参ったもんだな」
俺はついつい愚痴がこぼれてしまった。
金と女性に汚い奴が統治してるせいでここの都市の女性は顔を隠したり成人前に都市を出るのが一般的で
その他だと大手所属の組織に後ろ盾になって貰うパターンもあるからだった。
3時間後、都市の入門の際ギルド証のランクの高さか分からんが目的を聞かれただけで終わった。
ユリアさん達に聞いてきた複合クラン『ベアード』が運営している
『ベアーグループ』の宿、熊八亭にたどり着くと全員同じ部屋で休むのであった。
「紹介状かなり驚いていましたね!」
ニコニコとトアがそういう。
双子は俺がだした食事に夢中だ。
「そうだな、ユリアさん達のクランも相当有名らしいからそんな紹介状を持ってこられて相当焦ったんだろうな」
そんなことを話しながら次の日を待つのであった。
◇
次の日、朝イチは市場調査として市場を巡るが結構物価が高い。
税金が高いのだろうな、そもそも都市ごとに物価がかなり違うのは悪手だと思うんだけれどな?
議員達の好き勝手し放題は噂以上でため息が出そうになった。
「ん? この細工かなり精巧だな? 親父さんこれの作者は?」
出店を開いていた親父さんに声をかけると顔を綻ばせて嬉しそうだ。
「はい、こちらは私の娘の作品でございます。
中々腕が良いのでこうして店を開いているのです」
俺はすぐさまマジックボックスから紙を取り出し商業ギルドへの護衛依頼と知識の街への紹介状を書く。
「もし、その気があるならばこれを商業ギルドに持っていけば他の都市に行けるよ。
それとここの商品でこれとこれとここからここまでくれ」
そういうと紙にも驚いていたが商品の買い方にも驚かれた。
「すまないな、うちの所には女性が多くてな? 1人に買ってしまうと全員怒ってしまうんだよ」
その言葉に露店のおじさんは笑っていた。
「女性の恨みは怖いですからな。金貨25枚です」
俺はお礼を伝えてお金を払い散策に戻るのであった。
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