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最終章:知識の街
275話
しおりを挟むお隣さんになった今現在、謎の立場の領主? 様こと親父の使者が挨拶という名の協力を求めて来た。
俺の前に跪く、その人に俺の顔が引き攣る。
「えっと……? 騎士団長さん? 身分上は平民でしがない商人なので勘弁して貰えませんか?
それにクソ親父は爵位返上して領民連れてどの国にも現在属さない街を占領したんだろ?
つまり一応建国主扱いだ、近衛騎士団長級の人に跪かれても俺が困るんだよ」
そういうとポカンとした顔をしていた団長はガハハと笑いだした。
「坊っちゃまはいつの間にか物凄く成長なされた様だ。
しかし我々騎士団の忠誠はクロス家というよりその血筋に誓ったものなのだ。
今回の戦いを機会に貴族の息のかかった中途半端な連中は一掃したしな!!」
あーらら。前までは皇帝の顔を立てるために雇っていた
他貴族のスパイ……にすらなれてない足引っ張りの格好だけ騎士はクビになったようだ。
「奥様方も実家の方と縁を断絶させましたしな、実家からの娘の婚約者選びの囲い込みが酷くて揉めておりましたから」
聞くところによるとキャロは確率でかかるデバフ魔法系が百発百中で当たり
セラは空間属性のみの適正で一点突破型の天才だ。
そんな才能を欲しがった母上達の実家は自分達に近い人間を婚約者にとあてがおうとして母達の逆鱗に触れたのだろう。
俺の幼少期から鬱陶しい連中だったしな。
嫡男候補以外価値が無いみたいな意味のわからない連中だった。
「それで今回の貴族連合の旗本は誰だったの?」
俺の目がギラギラとしているのが分かり騎士団長や他の人も息を飲んでいた。
「西の辺境伯と東の辺境伯の合同軍ですよ、東と西に近い南の辺境伯の寄子の数家も参加してましたがね」
東は伝統を重んじていた、西は商人と防衛が上手い人が多く、北は代々武官で
南はタヌキの様な狡猾なやり方が目立つ策士系だったが戦力を見誤ったんだろうけどさ。
ダメージは無いんだよな。勝った時だけは援軍を出したのだからと報酬を要求し
負けたら兵士達の弔い費用を請求しただろうからね。
南の辺境伯家の誰かしらが焚き付けた可能性が高いな。
西も東も辺境伯当主が変わったばかりで地盤固めの時期なのに戦を起こそうとする短絡的なことはしないと思いたいんだけど
無いとは言いきれないのが面倒だな。
少し考えた後面倒になったので俺は前に帝国に行った時に記憶した場所から
座標を調べて誰も居なく被害の出ない所。3箇所選定する。
つまり東・西・南の辺境伯領地に魔法で牽制してやろうという名目のちょっとした嫌がらせを思いつく。
「『全ての者達よ、天を見上げ神を思い出せ。
これは絶望か? それとも希望か? 神のみぞ知る』『メテオストーン』」
遠く離れたこの地でも軽く揺れたので各辺境伯領の土地は悲惨なことになっているはずだ。
スッキリとした表情と揺れに今度は騎士団長の顔が引きつった。
「魔法で火に包まれた巨大な岩を誰もいない場所辺りに落としといた。
民達はついこの間神罰を経験したばかりだ。
辺境伯や各貴族達への不満が溜まるだろうな」
ケケケと笑うと全員がポカーンとした後に笑いだした。
ひとしきり笑った後、タビに商業ギルドマスターを呼んで来てもらい
要望書を受け取り中身を確認する。
要望書の内容は以下の通りだった。
・急遽領地を出て来た為に金銭はあるが物資が足らないこと
・土壌改良や家を修繕・再構築する土魔法師が少ないこと
・娘に会いたいこと
・魔物や帝国からの防衛に備える戦力を振り分けると都市内部で作業する人員が心もとないこと
ということだった、商業ギルドマスターはすぐに秘書に物資提供の案を出し
お隣さんでしかも都市間の友好条約を結んでる為に
最低価格での販売か物資を譲る旨を伝えていたので
「あー商業ギルドマスターさん? もしクロス家の金額が足りなければ俺の有り余る口座から引き落としでもいいよ?」
そういうとにっこり笑っていたが目は断っていたなこりゃ。
これは商売相手としての印象操作の為に自分が出すと言いたいみたいなので
「もしも、商業ギルドとして損失額がでかくなりそうならを付け足すよ。
それと魔法師に関しては学校から子供達を出しましょう。
俺も学園に通ってる時に獣王国の都市を作った経験が結構良い経験だったのでね?
クロス家には内政文官があまり優秀じゃないので文官や政治を学んでる特殊なコースを連れていきません?
そして今回の防衛面は多種族を連れていって種族間の蟠りを解消しませんか?」
そう言うとニコニコとしていた商業ギルドマスターの後ろからにゅっと狐人風の獣人が現れる。
「その案乗りました。是非押し進めてくださいな?」
「「グランドギルドマスター??」」
俺と商業ギルドマスターはいきなり何故ここに居るんだ? と思ったらユリアさんやアレンサリーナさんも一緒に入ってきたのでユリアさんが案内したみたいだな。
「じゃあ冒険者ギルドにも依頼をかけて『念話』」
俺は孤児院に居る子供達全員に念話をする。
『隣の元アサダ州の都市に大規模な移民の引越しがあった様だ。
出張うどん屋を開きたいから挑戦してみたいという子が居たらメル、院長先生に伝えてね?
メルとナギも責任者として向かうからよろしく』
そして念話を切り、別個に繋げる。
『セラ・キャロ、親父が帝国に愛想を尽かせたらしい。
隣の元都市を住居にする為に領民を連れてやってくるそうだ。
2人とも準備しておいて』
校長とも話し合いすぐに準備が整うがさすがに使者が来てそうそう帰りますよ? は酷いのでうどん屋で食事をさせてから1日泊まってもらうことにした。
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