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最終章:知識の街

274話

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 ここ最近俺の元へ来る奴らは2通りになった。
 婚約者又は配下に降れという勧告をしてくる奴ら……

 それと孤児院を買い取ってやるという聖職者もどきや商会みたいな
 俺、個人の資産や技術を狙ったりする意味の無いヘッドハンティングか

「頼む、クロス伯爵家に縁があるのは調べてあるのだ。
 セラリウム嬢かキャロリーナ嬢を我が息子の婚約者にと渡りをつけてくれぬか……
 息子が一目惚れしたのだ……」

 俺はにっこりと笑い一言

お断りします一昨日来やがれ

 一目惚れまでは許してやるが何故それが同じ家の令嬢なんだよ……
 そしてお前の困ってますの表情とは裏腹に瞳にはお前自身の欲望が透けて見えるんだよロリコン野郎が!!

 父上も片方だけなら1度検討して調査までした後に断るが
 どちらでも良いのでなんて言ってる奴に大事な娘の婚約者候補に入れる訳がない。

 もう少し考えてから草案を持ってきて欲しいもんだ。

「あ? なんだ金が欲しいのか? 卑しい平民の分際で!!」

 ほらほら脇が甘すぎるからこうして本音がポロリと出てきてしまうのだよ。
 それにお前まずこの孤児院の結界が抜けれないのに他国の侯爵だからいやいや対応してんだぞ?

 その時、タビがどこからともなく現れお客様の侯爵は驚く。
 そして耳元で報告を聞く……その情報をもとに俺の口角は上がっていく。

「ほう? ほうほう? 卑しい平民ですけどねぇ?
 侯爵様? 俺が持ってる肩書きって知ってます?」

 その言葉に侯爵は首を傾げるので俺は商業ギルド証を目の前に置いてやる。
 セラとこの間色々な所に行ったりして素材を売ったり情報を売ったり新たな保証契約の種を渡したりした結果。

「なっ!? Sランクだと!?」

 どんなギルドでもSランクという称号は各国の長、つまり種族長や国王ですら無視や軽視出来ない存在なのである。

「それに俺の総資産調べました? まぁ最高機密なので調べられる訳ないんですけどね?
 貴方の税収の10倍はありますよ? お金にうるさくて申し訳ないですね。
 卑しい平民ですので許してくださいますよね? 侯爵様?」

「ひぃぃぃ!!!」

 そう言って転がりながら出ていこうとするとアースさんにはねられた。

「む? そんな所で転がってると危ないぞ?」

 アースさんは特例と冒険者ギルドの威厳を取り戻す為に冒険者ギルドに復帰した。
 なのでその首に下げられているギルド証を見て侯爵はぶっ倒れた。

 護衛は騒ぎに気付いて集まってくる人間のギルド証を見てどんどんと顔色が悪くなってくる。

 何故なら院長としてか弱そうなメルですらAランク冒険者なのだから。
 他の人はカロンとユリアさんのクランに入り商業ギルドから特例措置のSランクに認定されている。

 ギルドでは暗黙の了解となっているウマが合わないなら合うギルドで
 お抱えの冒険者としてギルドの損失を他のギルドで補填するやり方だ。

「魔の巣窟だ……」

『おじさん?』『おにーさん?』

『『あのいやらしい豚を早く連れ帰ってくれない??』』

 そこに特殊危険指定従魔のギルド証を着けた双子が問いかける。
 護衛の顔は真っ白だ、つまり目の前に居る双子は人化が出来る超高位魔物なのだ。

 インテリジェンスモンスターと言われドラゴン以外は存在が疑わしいと言われ
 神獣と言った神の眷属なのでは無いか? と言われている魔物達なのだ。

 しかも獣人風の為にドラゴンではない事が確定して必死に肥えた侯爵を引きずり逃げていった。

「「「申し訳ありませんでしたーー!!!」」」




 そんなことがあってから1ヶ月後の深夜。

 俺は不意にいくつものそこそこの気配が転移してきたのを確認して目が覚める。
 タビを筆頭に30人の黒装束が俺に跪く。

「影全員が集まってどうした? 帝国で何か起きたのか?」

 その言葉に全員の緊張が伝わるがタビが目を瞑りカッと開くと覚悟を決めた様で報告してくる。

「帝国でクロス伯爵様に周りの貴族連合というアホな集団が領地に攻め入りました」

 その言葉に俺は不意に激情が心を蝕みそうになるが目の前の影達の苦しそうな表情を見て霧散させる。

「すまん、未熟だった。 感情が表に出てしまった」

 その言葉に全員が首を横に振る。

「戦果はどうなった? 親父は無事……って言うか帝国でいい勝負するのノース辺境伯だけじゃね?」

 俺はよく思い出してみると帝国に親父を抑えられる程の武人は北の辺境伯様しか居ない気がした。

「左様でございます。アレクサンダー様は激怒しました。最初の要求が『奥様と娘両方寄越せ』でしたから。
 それで騎士団、伯爵様、両奥方様の逆鱗に触れた連中は数時間で壊滅致しました。

 皇帝から苦言を呈された伯爵様は領地と爵位を返還致しました。
 それにより影の我ら全員の契約が終了となり馳せ参じました。

 因みにクロス領の領民全員が伯爵様のお供になると言い出したが為こちらに向かってきています」

 俺は渋い顔をする。この街は急発展しすぎて人が余剰に住む場所などないし
 クロス伯爵領の領民は数万人規模のはずなのだ。

「ケビン様? 伯爵様はこの街に来られませんよ?
 伯爵様が目をつけたのはこの街の隣街です。
 壊滅状態で更地にしても被害の出ない土地ですから。

 我々影は元アサダ州の街を調べならずどもの殲滅を先に行っただけです。
 こちらをお読み頂ければ詳細にわかるかもしれないです……?」

 タビよ、俺も親父には期待してないが自信が無いなら最後は言わない方が良いぞ?

 手紙を開くと笑ってしまった。

『ケビンよ、俺は帝国に愛想が尽きた。お隣さんになるので誰も使ってない街を占拠しに行くわ!
 補修したいから手が空いてる奴が居たら手伝ってくれ』

 アホだなー……行動か短絡的過ぎるがまぁいっか。

「俺はタビに手紙を書いて渡し商業ギルドに渡しに行ってくれ」

「かしこまりました。それでは」

 お辞儀をしてタビも影も全員消えた。
 次の日は朝から大賑わいだ、帝国の最強の槍・最凶の盾と呼ばれた英雄が
 お隣さんになるんだからな、商業ギルドとしてはあそこの空き地扱いになっている街をどうするか悩んでいたが

 関係が良い人が街を再利用して護ってくれるなんて楽だからな。
 その代わり空白地帯になっていた場所や土地を貴族が自分のものだと宣言して掠め取ろうとしたが
 それもそこそこ強い魔物が多く占領されていてずっと阻止され放置されていた。

 それを親父が代わりにしてくれるなら大賛成だった。
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