変人奇人喜んで!!貴族転生〜面倒な貴族にはなりたくない!〜

赤井水

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最終章:知識の街

264話

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 俺はウエスタン辺境伯の都市の商業ギルド内部の個室、黒の間という盗聴や監視が出来ない結界が張られた部屋に連れてこられた。

 セラは別室でお菓子を貰いムシャムシャと食べていたので俺から本を出して読み終わったら感想と考察を聞くと宿題を出して置いた。

 獣人っぽいお姉さんが扉が閉められた直後話し始める。

「えーとケビンさんですね? 話すのは初めてになりますが
 私は商業ギルドグランドマスターの……本名は

 ふーん? 魅了のね……神獣に連なる家系だな。
 神獣は神罰の度に天界より来ては居残り好き勝手子孫を残したりするのでこの人の様に特異な子孫が生まれたりする。
 受け取り手側に寄っては呪いと言う人も居れば種族全体で祝福と手を合わせ祈り喜ぶ所もある。

「そうですか。商業ギルドはギルド問題の時にいち早く私達側に付くことを表明してくださったので助かりました。

 それと知識の街にはお早めに商業ギルドマスターを派遣した方が良いかと。
 このままだと確実に現ギルドマスターが街長になってしまうので対応は柔らかい方の方が向いてると思いますよ?

 あの優秀なギルドマスターの後任となると功名心を起こそうとする
 欲深い人や結果や成績に焦りを持つ人は向いてないので経験豊かな隠居前の人が後進を育てる名目で来るのが1番かと」

 その言葉にキランと目が光るのはアレンサリーナさんと思いきやコノエさんも光っていた。

「ほう? 統治者になりとうないと言いつつもそう言った人を見る目は養われているのですね?
 ふふふ、各国が取り込もうとするのを火消しに回る羽目になるのも理解出来ますね?

 ミカサ商会にボタン、それに計算機やカレーの創造主さんは」

 目が笑ってないんだよなこの2人……商人がよくやる目だ。
 俺は実はこの目が余り好きじゃない、俺は俺が楽する時や美味しいもん食べる時に
 周りから羨望や嫉妬されるのが鬱陶しいし嫌だから情報や技術を公開してるに過ぎない。

 タダで出せばそれを使って悪どい方法で稼ごうとされるくらいなら俺が稼いで還元しようとしてるだけだ。

「ケビンさんは工房は作らないのですか?」

 アレンサリーナさんが鋭く質問してくるがその回答は決まってる。

「作りませんねー、俺が物を作るのは自分が楽したいが為です。
 それに俺が工房を持ったらどうなると思います? 予想出来てますよね?」

 その様子を見てコロコロと笑うのはコノエさんだ。

「特殊新型魔法具? 魔道具の話は有名ですからね。
 私達は独自の情報網を使ってあなたが製作者なことは予測出来て居ましたが
 工房を建てたら自ら作りましたと喧伝してる様な物ですからね」

 ほら見ろ、情報網を使って情報を集めて予測する。
 これが商人の怖さだ、そしてどれだけ儲けが出るかどうかも予想出来てるんだろ?

 俺は曖昧な笑顔で回答はしなかった。

「それに俺今、各国で見つけた数百人の孤児の子供を知識の街の孤児院に送ったのでそんな暇無いんですよ」

 その言葉に狼狽えたのはコノエさんだった。

「そんな!? 獣王国はそこまで酷い状況なのですか?」

「えぇ、何かやばい薬もばらまかれていたみたいでしてね。
 お姫様ですらその薬物を知らずに使われ依存症が出ていましたよ?」

 ガタッと立ち上がり外に向かおうとしたコノエさんだったがふと先程の言葉を思い出して固まった。

「ん? お姫様ってプラテリア様よね? 薬を使われたことに気が付いているということは戦闘でもしたの?」

 俺は頷き1つの薬瓶と許可証の紙を手渡す。

「解析用に1つは兵士達から受け取って置いたんです」

 本当は3つ取ってあって実際は1つだけは本当に兵士達に許可を取り
 帝国外の薬師ギルドか商業ギルドに手渡す為に貰ってきておいたのだ。

「既に姫様は知識の街の元薬師ギルドマスターのグロリアスの元へ搬送済みです。
 解析と解毒をお願いしてます。禁止薬物の名前は楽園降魔薬でした」

 その言葉に驚いていたのはアレンサリーナさんだった。
 エルフは薬に強い種族だからこれがどんな薬かわかっているのだろう。

「獣人族と相性の良い薬とは言え、中毒性の強い薬を使うとは……」

 この薬元々は生死の境を迷わせて脳のリミッターを強制的外す薬らしい。
 それを使い始めた人々が余りにも苦痛が大きかったが為に緩和させるように中毒・快楽性の強い素材を混ぜていた。

 しかし死兵の為の薬だったので使われずに済んだりして
 大量に余ったり使って生き残った人が中毒になり依存性が高いことが発覚して禁止薬物になったのだ。

 それを裏で流して財貨を得た連中が当時の国の上層部に居て
 その当時、流通させていた裏の連中が残したレシピがある為にイタチごっこなのだ。

 薬の材料はその辺で取れる安価な物にとある毒性魔物の血を浸し寝かせることで毒性が抜け出来上がる。

「あっ、なので解毒剤の流通は多分知識の街から情報発信されるのでそちらに問い合わせてくださいね?」

 俺はそれとは別に数種類のペンダントを取り出す。
 セラと空間魔法の特訓の時に遊びで遊びで作った高温圧縮した人工ダイヤモンドを付けたペンダントだ。

 金属部分に色々な効果を持つ魔法陣を刻みその上に人工ダイヤモンドを着けている為魔法陣は見えない。

 知識の街に来たドワーフに暇つぶしにカットさせた物だった。

「鑑定してもらっても構いません。左から防毒・対物理障壁・対魔法障壁・隠蔽の魔法効果を持つペンダントです。
 宝石のカットはドワーフ職人に任せたので技術力は完璧です。
 魔法陣は刻んだ後に特殊な加工をしているので見えないです」

 まぁ簡単に言うと宝石に光が当たり反射する様に
 錬金術で不純物を抜いた100%鉄を磨いて裏に仕込んだだけだったりする。

「ダイヤモンド? えっ!? 人工……?」

 俺は追加で研究資料を取り出して渡す。
 これは清書した後に魔法で転写した資料なので気にしない。

 って言うよりこの方法だと熟練の空間魔法使いが居ないと作れない代物なので情報を渡しても構わないのだ。

 後はアホな転生者や召喚者が錬金術でも作れることに気付かなければ大丈夫だろう。

「それを預けますので売り捌いといてください。
 俺の名前で売ると面倒事の素になるのでね?
 セラもただでさえ地元や国の学園に行くと擦り寄って来る連中が嫌な状態になってるのに
 家族に迷惑を掛けてまで売り捌きたい物ではなかったんですけど……

 セラが知識の街で勉強するならもっと本や魔法の知識を集めれる元手が必要になったんでね」

 そう言うとアレンサリーナさんはサラサラーっと保証契約の書類と品物預かりと廊下に出て外に何か紙を渡していた。

「ケビン様のことですから半分はセラ様に送るのでしょう?」

 俺は敵わないなぁと頷くとニッコリと笑みを浮かべたアレンサリーナさんは
 契約内容を変更し製作者(隠蔽)の横にセラ・クロスとケビンと書いていた。

「セラ様にギルド口座をお作りしてもらう様にお願いしてきた所です。
 名目はセラ様にギルド口座からの支払い体験をケビン様より仰せつかったということにしてます」

 できる人って怖いなぁ……体験させていざと言う時にめちゃくちゃ金が入ってる様にしたいんだろうね。

 俺は苦笑いを浮かべながら口座費用と金貨10枚をセラの口座に入れてもらう為に手渡し契約書に署名するのであった。
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