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最終章:知識の街
261話
しおりを挟む獣人族の街並みはかなり変わっていて少し悲しくとあった。
狭めに作った家と家の間に寝ている人なんて見た時には
最初作った時はこんな風に使う為に作った訳じゃないのにな
とか思ってしまったりする自分もいる。
そしてふと獣王と笑いあった記憶が蘇った。
そしてその肩を組んで笑いあった店に来ると……
「あら? 可愛いお嬢ちゃんと坊ちゃんね?
寄って行かない?」
看板娘? が俺達を客引きしてくれたので自然とそちらに向かう。
「ケビン兄?」
俺顔に出てたか? セラの不安そうな顔に少し笑みを浮かべて返す。
店に入るとあーだこーだ言って獣王と作ったこの店の中を思い……出す前に疲れきったサラリーマンの様に
モーモー族のミルクバーに獣王が普通に居た。
「いらっしゃい! 注文は決まったらお呼びください」
俺は会釈をして素知らぬフリをして獣王の隣に座る。
するとセラは獣王には気付かず……いやまぁ知らないが正しいか? まぁ知らないので普通にぶっ込んでしまった。
「ここのお姫様怖かった。 足がすくんで動けなかったのにどうして兄は動けたの?」
軽くむせてる獣王を尻目に俺は答えてやる。
「んー何だろうな? 昔みたいに国民の為にって覚悟ある時は視野が広くて縦横無尽に空間を使って攻撃するタイプでな?
厄介な奴だとは思ったが今は猪だからな?
あんなもん戦闘とは言わねーさ!」
「ぶっ!?」
既にプラテリアとぶつかったことに驚いた獣王がソワソワしだす。
「お姉さーん!! 鮮度抜群のミルクをよろしく! 妹は初めてなんだ!」
お姉さんは少し俺の顔を近くに寄ってきて見た後に「あっ!!」と声をあげた。
「オーナー? 私孤児院出身なんですよ!」
えっ!? なんですと? 確かにあの孤児院には設立当時、俺より歳上の人とか居たけどこんな人は居たかなー? かなり微妙だな……
「そう……立派になったね……」
「兄? どこ見てる?」
「なぁ? セラよ? お兄ちゃんはそんなことされていたら嫁が居なくなってしまうぞ?」
俺の足にチクチクとナイフをツンツンツンツンして
モーモー族の大きなアレを見て話していたらセラに脅された。
「大丈夫! 嫁の貰い手なら知識の街の孤児院に沢山居る!」
ブイじゃねぇよ!
「怖い人や変な人ばっかりだからなー……」
おい……獣王にセラ、モーモー族の女性まで驚いた顔するとはめっちゃ失礼じゃない?
確かに俺もかなりの変人なのは間違いないし自覚もあるけどさ!
それを真正面から言われると腹立つよね!!
「そしていい加減横でソワソワするな獣王!! お座り!」
「誰が犬じゃい!! 」
それで良いんだよ! 獣王とはこの距離感が大切なんだからさ!
「生3つ!」
おい獣王よ! そんな言い方したらほら……セラが物凄い顔をして見てるぞ?
ここに来てる男は搾りたてを見る為だけに来てるんだからな?
「ゴミ……」
セラさん? ボソッと言わんといてね? 俺にもダメージ負うんだからさ?
ほらダラしない顔をしていた獣王や他の男達もかなり気まずそうな顔になっちゃったじゃん!!
「それにしてもこの店は古参だけしか居ないんだな?」
「あ? それはそうだろ? こんな店だぞ? 盛った若いのが来たら大変なことになっちまう。
モーモー族が結界を竜人族に頼んで張って貰ったんだ」
俺はそれに驚く、セラの方を見たが空間魔法が得意なセラですら気付かないレベルの結界とか竜人族も怖ぇよ……
「ふふふ、危険なお客さんが来たらここにある魔石が光るんです。
生でも朝イチ搾った物をおだしする様にしてます
そして裏手に回って作業をするので常連さん達にも分かるようにしてるんですよ!」
へぇ、極薄結界で煩悩が強い奴を弾くのでは無く警戒対象として通知すんのね!
やべぇ魔道具と結界だわ、俺達とは全く考え方が違うな。
「ん、ケビン兄に着いてきて良かった。勉強になる」
「あぁそうだな。拒絶では無く寛容に間口を広げてその後に篩にかける感じだな?」
そこで獣王はふと思い出した様に話を続けた。
「ケビンお前さん娘と戦ったのか? 俺が本調子じゃないままボコボコにされちまったから実権を奪われてたんだよ」
俺はセラに魔法を使うように促す。
俺も同じ魔法を使う……まじか……内蔵までダメージ食らってるな?
「おい獣王? あんた何の攻撃受けたんだ?
普通内蔵が火傷負うなんて聞いたことねーぞ?」
ヘラヘラしていた獣王が真面目な顔になり
「雷を扱う、獣人みたいな奴だった。国を寄越せと言われたがかなり我が強そうだったから断ったら雷を永遠と浴びせられたさ。
それでも断ったら牢屋にぶち込まれてだけだ」
うわっ!こっわ! こんなに根性ある父親が居るのにプラテリアは何やってんだかな?
「気の発露で俺の親父が雷系統の力使ってるから多分それだけ雷貰ったら気が変質してるんじゃないか?」
そういうと獣王はニヤリと笑い頷いたのと同時に親父が使えることを聞いて目が輝いていた。
その間、効力は多少弱まるが再生魔法を使ってやる。
「数週間は絶対安静だぞ? 内蔵はダメージが分かりづらくピンポイントで治すには別の系統の魔法が必要になるから他の治癒術師じゃ判別つかんぞ?」
そういうと獣王はガックリと落ち込んでいた。
その後、話し合い各部族から来ている押しかけ婚約者候補に対して要らないと断ってくれと頼んだ。
「ならうちのプラテ「絶対にお断りします」そうか……顔は良いけど性格がな? 親から見ても残念だからな」
獣王よ……お姫様ならお淑やかにと教育するのがお前の仕事だろうよ……
こうして可もなく不可もなく獣王との話し合いを終えるのであった。
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