261 / 296
最終章:知識の街
260話
しおりを挟む俺とセラの目の前には3種類の子供が居る。
1つ目は好意的な目や期待感を募らせる目。
これは建てた当時から居る子供達やその仲良しな子供。
それと勉強が出来ることや今の生活から抜け出せると希望・期待感を持ってる子供だ。
2つ目は疑念・敵愾心を持つ子供達だ。
この子達は孤児になった当初や今回の神罰で痛い目にあった子供達や
俺達が人族風だからという理由だろう。
今の獣人族は『力こそ正義』らしいからな。
そんな親の考えを子供は特によく見て真似する。
そしてそのままの価値観のまま大人になるのだ。
絶望や無謀で命を散らす者も多いだろう。
最後は……欠損がある子供達だ。
神罰で親しい人を亡くし自らの体も失い絶望しかないのだろう。
もっと深く言えば、欠損したことにより捨てられた子も居るだろうな。
総勢135人……おい。40人規模を想定して作った孤児院だから
食堂や共有部分合わせれば住めるとは言え多すぎたろ……
孤児院は国や街を現す1番のウィークポイントだったりする。
荒れていれば荒れているほど孤児は多くなるのだ。
さーてやりますか。
「『静まれ、お前達は今幸せか?』その疑問に答えれる者らは手をあげろ」
ザワザワとしていた子供達が静まり返る。
敵愾心を見せて居た子供は睨みを効かせるか怯える者に2つに別れた。
その者の中でいきなり生意気そうな奴が声を荒らげ始めた。
「幸せな訳あるかっ!ふざけんな!」
その子供に同意する者が居たが俺はついつい鼻で笑ってしまった。
「何がおかしい!?」
俺に物を投げてきたのでそれをキャッチするとそれはフォークだった。
「お前ら浅すぎるよ? このフォーク銅貨5枚もあれば買える代物だけれど?
このフォーク1つとっても俺が金をだして買った物だ。
それを粗末に扱うな!! お前達が不幸だと?
今、世界中で孤児が増えてお前らとは違い孤児院に入れず物乞いをしてたり
空腹に耐えかねて魔物が居る森に行き死んでいく子供がどれだけ居ると思ってんだ!!」
俺は昔のトアとトヤを思い出していた。
あの2人は孤児からダンジョンに入り死にかけたりもしていた。
だからこそただ入って飯貰って成人になったらバイバイだけはしたくなかったから
ここの孤児院には勉強できる写本や絵本の複製を置いていたのだ。
さっき確認したら全てボロボロにされてた。
最近入ったこいつらがやったらしい。
「お前らは経営者として金を出している俺の援助がなければ死ぬ運命だった。
それに院長先生も必死にお金をやりくりしてお前達を食わせる為に頑張って努力してきたのだぞ?
院長先生の優しさがなければ『定員満杯なので受け入れることが出来ません』と言われてもおかしくなかったんだぞ?」
そう言うと欠損した1人の女の子が院長先生に抱きついて感謝していた。
「それにな……お前らまだまだ絶望を知るには早すぎるんだよ『神よ、我の願いを叶えて欲しい、希望を与える奇跡が欲しい再生魔法』」
これは祝詞や詠唱とは違う。どちらかと言うと直通電話をして堅苦しい言葉で
絶望・荒れた都市の子供に希望をくれでやんす! というちょっとしたお願い聞いてねーという軽い気持ちで唱えたが
欠損をしている子供達が急に体が光り出すと失った部位がモリモリと治った。
「ふぁー? 暖かい。おめめが見えるよー?」
という声で周りが反応に困る。
あの子は確か目も耳も聴こえにくくなっていて会話が難しい子だったな。
完全に力量差が見えた子供達は俺に怯える者や力を欲する怪しい目をした者。
それとキラキラした目で俺を見つめる子供も居た。
2人の子供が走ってくる。
片方が俺にみょーんと飛びついてきたのでキャッチしてやる。
「やっぱりケビン様はすごいや! 昔もこの孤児院を一瞬で建てたもんね!」
「こらレミカ!すみません妹が……おぼえていますか?
孤児院創設時に4歳だった僕らも8歳になってこの孤児院でお手伝いを始めていましたが
ケビン様が住む街まで行きたいです」
俺は鑑定魔眼でそれなりに鑑定をすると1人の少年とか凄い才能がありそうな能力を持っていたが知識の街に来たら直ぐに分かることなので今は放置しておこう。
そして俺は全員に対して言う。
「良いか全員聞け!! 決めるのは個人だ!
お前らは今連帯感、一体感とかで気にならないかもしれんが
未来を決めるのはお前達個人個人であり、周りじゃない。
相談は禁止する。全員にスモッグという魔法をかけた
残る奴は座ってくれ!」
敵愾心を持った連中がいの一番に座ったので院長先生に話しかける。
「彼らは力の信望者のようですので院長先生も多少力を見せた方がよろしいかと」
「わかりました。最近は子供が多すぎて見てあげれなかったのでビシバシ挨拶からみっちり教えてあげますわ!」
俺の横にセラが戻ってくる。
面倒事の最中に金銭管理室に魔道具の設置とお金の補充をして貰ったのだ。
俺はその間、院長先生が書いてくれた数年分のお金の動きを見ていた。
うーん、やっぱりココ最近の物価の上昇は各国の連携が取れてないのと獣人族の力の信望が問題だな。
まぁさすがは院長先生、細かく書いてくれるからこのまま任せることが出来るな。
「はい! 考えるのおわり! 今日は盛大にパーティーやるから遊んでこい!」
隣では移住をすることにした子供の名前を全員メモが終わった
院長先生がへにょりとした笑みを浮かべていた。
「やはり子供達が旅立つ瞬間は寂しいものですね。
でも知識の街の話は獣人族の中でも有名になりつつあるので神に皆の幸せを願ってきます」
また知識の街に子供が増えることになるのであった。
11
お気に入りに追加
2,524
あなたにおすすめの小説
フリーター転生。公爵家に転生したけど継承権が低い件。精霊の加護(チート)を得たので、努力と知識と根性で公爵家当主へと成り上がる
SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
400倍の魔力ってマジ!?魔力が多すぎて範囲攻撃魔法だけとか縛りでしょ
25歳子供部屋在住。彼女なし=年齢のフリーター・バンドマンはある日理不尽にも、バンドリーダでボーカルからクビを宣告され、反論を述べる間もなくガッチャ切りされそんな失意のか、理不尽に言い渡された残業中に急死してしまう。
目が覚めると俺は広大な領地を有するノーフォーク公爵家の長男の息子ユーサー・フォン・ハワードに転生していた。
ユーサーは一度目の人生の漠然とした目標であった『有名になりたい』他人から好かれ、知られる何者かになりたかった。と言う目標を再認識し、二度目の生を悔いの無いように、全力で生きる事を誓うのであった。
しかし、俺が公爵になるためには父の兄弟である次男、三男の息子。つまり従妹達と争う事になってしまい。
ユーサーは富国強兵を掲げ、先ずは小さな事から始めるのであった。
そんな主人公のゆったり成長期!!
異世界転生したらたくさんスキルもらったけど今まで選ばれなかったものだった~魔王討伐は無理な気がする~
宝者来価
ファンタジー
俺は異世界転生者カドマツ。
転生理由は幼い少女を交通事故からかばったこと。
良いとこなしの日々を送っていたが女神様から異世界に転生すると説明された時にはアニメやゲームのような展開を期待したりもした。
例えばモンスターを倒して国を救いヒロインと結ばれるなど。
けれど与えられた【今まで選ばれなかったスキルが使える】 戦闘はおろか日常の役にも立つ気がしない余りものばかり。
同じ転生者でイケメン王子のレイニーに出迎えられ歓迎される。
彼は【スキル:水】を使う最強で理想的な異世界転生者に思えたのだが―――!?
※小説家になろう様にも掲載しています。
転生5回目!? こ、今世は楽しく長生きします!
実川えむ
ファンタジー
猫獣人のロジータ、10歳。
冒険者登録して初めての仕事で、ダンジョンのポーターを務めることになったのに、
なぜか同行したパーティーメンバーによって、ダンジョンの中の真っ暗闇の竪穴に落とされてしまった。
「なーんーでーっ!」
落下しながら、ロジータは前世の記憶というのを思い出した。
ただそれが……前世だけではなく、前々々々世……4回前? の記憶までも思い出してしまった。
ここから、ロジータのスローなライフを目指す、波乱万丈な冒険が始まります。
ご都合主義なので、スルーと流して読んで頂ければありがたいです。
セルフレイティングは念のため。
テンプレな異世界を楽しんでね♪~元おっさんの異世界生活~【加筆修正版】
永倉伊織
ファンタジー
神の力によって異世界に転生した長倉真八(39歳)、転生した世界は彼のよく知る「異世界小説」のような世界だった。
転生した彼の身体は20歳の若者になったが、精神は何故か39歳のおっさんのままだった。
こうして元おっさんとして第2の人生を歩む事になった彼は異世界小説でよくある展開、いわゆるテンプレな出来事に巻き込まれながらも、出逢いや別れ、時には仲間とゆる~い冒険の旅に出たり
授かった能力を使いつつも普通に生きていこうとする、おっさんの物語である。
◇ ◇ ◇
本作は主人公が異世界で「生活」していく事がメインのお話しなので、派手な出来事は起こりません。
序盤は1話あたりの文字数が少なめですが
全体的には1話2000文字前後でサクッと読める内容を目指してます。
元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
【味覚創造】は万能です~神様から貰ったチートスキルで異世界一の料理人を目指します~
秋ぶどう
ファンタジー
書籍版(全3巻)発売中!
食べ歩きだけが趣味の男、日之本巡(ひのもとめぐる)。
幻の料理屋を目指す道中で命を落としてしまった彼は、異世界に転生する。
転生時に授かったスキルは、どんな味覚でも作り出せる【味覚創造】。
巡は【味覚創造】を使い、レストランを開くことにした。
美食の都と呼ばれる王都は食に厳しく、レストランやシェフの格付けが激しい世界だけれど、スキルがあれば怖くない。
食べ歩きで得た膨大な味の記憶を生かし、次から次へと絶品料理を生み出す巡。
その味は舌の肥えた王都の人間も唸らせるほどで――!?
これは、食事を愛し食の神に気に入られた男が、異世界に“味覚革命”を起こす物語である。
転生王子の異世界無双
海凪
ファンタジー
幼い頃から病弱だった俺、柊 悠馬は、ある日神様のミスで死んでしまう。
特別に転生させてもらえることになったんだけど、神様に全部お任せしたら……
魔族とエルフのハーフっていう超ハイスペック王子、エミルとして生まれていた!
それに神様の祝福が凄すぎて俺、強すぎじゃない?どうやら世界に危機が訪れるらしいけど、チートを駆使して俺が救ってみせる!
異世界に転生をしてバリアとアイテム生成スキルで幸せに生活をしたい。
みみっく
ファンタジー
女神様の手違いで通勤途中に気を失い、気が付くと見知らぬ場所だった。目の前には知らない少女が居て、彼女が言うには・・・手違いで俺は死んでしまったらしい。手違いなので新たな世界に転生をさせてくれると言うがモンスターが居る世界だと言うので、バリアとアイテム生成スキルと無限収納を付けてもらえる事になった。幸せに暮らすために行動をしてみる・・・
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる