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最終章:知識の街

256話

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 俺達は堂々と王都の中に入り込む。
 知識の街にある様な強制誘導魔道具はなかったらしい。

 まぁあの魔道具は空間魔法の魔法陣を理解してないと
 使われた魔法に対しての狙い撃ちで強力な術式にしてるから仕方ないっちゃ仕方ないか?

 空を飛んできたりするのは目立つので結局忍びこむには空間魔法か隠蔽系のスキルや魔法が必要になる。

 それと相手が高レベルな気配感知・察知系のスキルを持ってるとバレるからな。

 俺達がやった行動はとてもシンプルだ。
 住民が城の近くに行くことは許可されているので
 それに紛れた上で一瞬で門を視認転移で通る。というものだった。


 そしてこういう場所には結界が張られてるけれども俺からしたらセキリュティが甘すぎる。
 パソコンと同じ原理で中に入るまでが大変で入ってしまえばやりたい放題になっている。

 結界を乗っ取れば極小量の魔力で探知も出来るし

「さてさて国王陛下の居場所は……居た。
セラあそこの屋根に転移行けるか?」

 セラが転移するとどこかの魔道具のベルが鳴った。

「おぉ! どこかの貴族とは大違いだ!」

 場内が慌ただしくなってきたので俺が城に魔力を流し
 屋根裏部屋を把握して俺達は城特有の隠密がいるような場所に転移した訳だが

「ホコリ臭い……」

 セラにそう顔を顰められたのでそのまま転移して突撃訪問してやることにした。


 部屋に入ると何故か笑みを浮かべ魔力を昂らせる水仙国王陛下が居た。

 そんなアホに呆れつつも普通に声をかけた。

「毎度~!」

「まいどー?」

 セラ? 分からないなら真似すると恥ずかしいぞ? しかも完全なる棒読みじゃないか。

「「!!? 誰だ!?」」

 俺はフードをとる。

「あのさ!貴族嫌いの国民性の国に押しかけ婚約者とか要らないから?
 苦情言いに来たわ……それとかなりセキュリティ甘いぜ?」

「甘いかも?」

 そっちは理解してんのね……

「ケビン!? やっぱりお前か!」


 おろ? バレてたん? まっいっか!

「それに孤児院に来て平民見下すような奴送ってくんな!!」

 俺が怒り、魔力を少し漏れ出ると焦った様にここに近付く奴が居たので結構強力めな結界を部屋に張る。

「後、辺境伯領地のバカ3トリオの領地えらい荒れててあれじゃ税金もはらえんぞ?
 なんだあの暴力が全てな領地は!

 因みに亡命を望んだ連中は既に知識の街に送った。慰安訪問するならお早めにね?」

 そう言うと水仙国王陛下は音がこちらに聞こえるほど悔しそうな顔をして歯が鳴る。

 1人の隠密がこちらに向かってきたが最初から居ることに気付いてるので余裕で対処する。

 四肢を切り落とし水魔法で傷口から出る血を止めてやる。

「陛下と知り合いってわかった時点で襲って来るなよ……確かに知り合い同士でも平民じゃ国王陛下に会えないのがわかるだろ!!

 なら直接的に侵入するしか無かったんだわ」

「ほう? なら貴殿はこの国に爵位でも貰いに来たのか?」

 俺を怪訝な顔をして見た後に将来有望そうなセラを見てニヤニヤしていた爺さんが
 こちらに声をかけてきた。やり手の社長みたいな雰囲気があるから宰相かな?

「いや、要らん。本来なら街からの正式な苦情を入れたいが
 実質的な被害はアピール合戦で毎日、毎日孤児院の目の前でわちゃわちゃやってることくらいだからな。

 俺はこの国を見て思ったことを伝えに来ただけだ」

「それはなんですかな?」

 宰相の儂偉いんじゃぞーアピールを無視して普通に話しかける。

「お前らさ? 力が正義というのは国や種族の文化だから何も言わんが……
 子供達は護り育てて行かないとその力すら得る場所がねぇんだよ?

 伯爵家では人身売買をしていたぞ? 男は皆女性達の前で殺されったってさ?
 なにやってんの……?」

 魔力が漏れ出て宰相に攻撃的になると宰相は顔が真っ青になった。

「宰相良い……ケビン。正式に謝罪と感謝をする。
 それと我が国民を助けてくれたことにも感謝する」


 この人根は良い人だからな。
 相当堪えてんな?

「謝罪は受け取った。大体200~300人位が亡命を希望したので送った。
 何か伝えたい時にはよく考えて来てくれよな?」

 2人ともその言葉に首を傾げる。
 おい!? 2人とも身分が高過ぎて平民のこと理解出来てねーじゃんかよ!

「国王や大貴族なんて平民は会えないし
 凸凹した道に座り頭を垂れないと不敬罪になる領地もある」

 セラがそう言うと何故か驚いていた。
 嘘やん……

「あと、回ってきた当主の不正な書類とか全部持ってきたから。何かに役立ててくれ」

 水仙国王陛下と宰相が書類を見終えると水仙国王陛下は怒り、宰相は老人特有の得体の知れない冷酷な目をしていた。

 言いたいことも言えたので最後に俺達の孤児院に押しかけてきた奴らの名簿を渡す。

「他国に迷惑かけているんだから責める材料位にはなるぜ?」

 そう言うとセラが『飽きた』と言うので水仙国王陛下は顔を綻ばせながらお茶の準備を始めるのであった。

 セラが1番大物かもしれん……あのシリアスな状況でつまらん飽きたとはっきり言うのだからな。

「ケビン……それと暗部の者を治してやってくれ」

 あ……忘れていたわ。直ぐに治したよ。
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