変人奇人喜んで!!貴族転生〜面倒な貴族にはなりたくない!〜

赤井水

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最終章:知識の街

251話

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 俺は朝イチ召喚者達を屋敷に呼ぶと朝から俺にくっついて来ていた光球が全員に飛んで行く。

「まぁ、今知識が入ってきてるから分かると思うけど。
 君達がこちらに来なかった時に勉強していたはずの未来から神様が先取りしてこちらに持って来てくれた。

 天照大御神様なんて会えると思わなかったからね」

 何故か多田くんだけ顔が真っ青だった。
 そしてボソッと呟いたのを1番近くに居た俺は聞き逃さなかった。

「俺40無職……?」

 お疲れ様でぇーす! マジで帰らないで良かったね!
 君にはこの街の為に馬車馬の様に働いてもらうからね?

 多田くんは現在この街に来て道場を開きたい武術道場全ての師範の相手をしてもらってる。

 それは多田くん自体が人間の体を極限まで鍛え洗練された古流武術の使い手だからだ。

 こちらの世界では気や魔力があれば超人的な動きも出来るが……この街に欲しいのは洗練された技術なのだ。

 力任せや超人的なド派手な技の武術は必要ない。
 そもそもこの子も性格は残念だけど前の世界では有名だったらしい。

 しかしあちらの世界では武術の神童と呼ばれたとしても扱う場所がかなり少ない。
 特に全ての競技で幅を狭めたり危険な技が扱えない競技が多い。

 もしそれを一般人やヤンキーや喧嘩自慢と使ったとしても
 相手が黒帯を持ってなければ素人扱いで多田くんが襲われて少しでもやりすぎたら過剰防衛になる可能性も出てくるからな。

 多田くんの流派は生粋の戦国時代から伝わる流派で殺人術が多かった為に普通の競技に参加は難しかった。

 相手の攻撃が来ると反射的に技が出る様に訓練されたらしい。


 天野さんはほっこりしていた。

「私ちゃんと勉強したみたいですね!」


 楽しそうに言うその姿はとても良き未来から知識を貰ったのだろう。

 他の皆も色々な知識を貰って商業ギルドマスターに会わなきゃと出て行った。
 1……

「多田くん? 君には今、職があるんだからさ? それを喜びなよ?」

 そう言うと顔を明るくして

「ハンナさんを射止める為にも今日も頑張ってきまーす!」

 そう言って飛び出して行った。
 ハンナは多田くんのスーパーアタックに気付いてないからな(ブーメラン)

 俺が貰った炎との親和性の話を思い出していると
 丁度よく、メルとミアが来たので魔法と精霊術を使って炎を出して貰ったらめちゃくちゃ温く感じた。

 俺自身が炎に同化してるかのように温かい感じなのだ。

 灼熱の熱さには耐えられないかもしれないがまた1つ状態異常耐性が着いた形になったのだが……なんか騒がしいな?

「なぁ? なんかうるさくない?」

 そう言うと2人とも「あっ!」と声を揃えた。

「そうだった何かケビンにお客さん沢山来てるよ?」

 メルの言葉にゲンナリする。
 まだ朝食前なんだけど? こんな案件朝飯前だぜ!なんて言う様な騒ぎじゃなさそうなんだが?

 転移で庭に出ると更にテンションが下がる。

「妾は水仙国ミズリー公爵家長女サムランなるぞ?
 ここに居るケビンの嫁になってやろうと思って来たのじゃはよ歓待せい」

 あの手紙来てから1週間経ってないんですが?

 その後もそのミズリー公爵の後に続いて各国の貴族の子女が名乗りを上げて醜い戦いをする。

 そしてコイツらの本当に痛い点はこの孤児院や俺に対して一切の悪意も敵意も無くそれに当たり前の様に相手を見下しているのだ。

 そんな連中の前に立ち風魔法で拡声する。

「俺はおめーらみてぇな連中と結婚も婚約もする気がねぇんだよ!!
 まずは俺は貴族になりたくないから国を出たんだ!
 お前らみたいなThe貴族とは関わりたくないんだよ!」

 そう言うと周りの護衛がブチ切れて抜剣したが俺が魔圧で威圧すると全員気絶した。
 そして魔法を上に打ち上げる。

 これで何かあったと判断して兵士が来てくれるだろう。

 その最中ふと思い立った案があった。
 後ろに物凄い圧と悪寒を振りまく女性を無視して……

 そして振り返りその般若顔を見て一瞬怯んだが気を取り直して宣言する。


「うん、決めた。旅行に行ってくるわ! んじゃ!」

「あっ!? まちな……」

 ここで母上は転移で振り切った。
 そして門の近くに転移してくると同時に俺は正直驚いた。

 すぐ横にセラが居たからだ。

「セラはどうするんだ?」

 どうしたいか聞いてみたら

「一緒に行く。楽しそう」

「わかった。じゃあ学校を休学する旨の手紙を書いてやるよ」

 手紙を一瞬で書き、兵士に手紙を預ける。

「さぁ、空間魔法の移動方法を見せてやるから着いてこいよ?」

「望む所!!」

 門を出てショートワープゲートを出しそこを2人で走ると15分程でかなりの距離が稼げた。

 最初に目指すのは水仙国だ。
 あのアホな最高権力貴族が来るとか頭おかしいだろ?
 国王は確かに戦闘狂だったけど、そこまで常識が無いわけではなかったしそれに統治能力も高そうだっただけに驚いたのだ。

 俺が決めた案とは断ってるのに擦り寄ってくるアホどもを自国で対応しろと直接文句を言いに行き
 セキュリティを突破することで国防に専念させてやろうという魂胆だった。

「セラ? スピードをもっと速くするぞ? 着いて来れるか?」

 少し疲れた表情のセラがこちらを見て笑う。

「大丈夫やりきる」

 俺は納得してスピードを上げるのであった。
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