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最終章:知識の街

250話

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 午後まで拘束されていたが急に母上様……御局様が拘束を解いた。

 そして研究室で魔法の研究や記録の洗い出しと
 更に科学との融合魔法の本とを作っているとノックされたので

 これは秘匿技術や知識の保全の為にこの部屋にはタビですら入室を許可してないし入れない。

 夜ごはんの時間になったと推測し部屋を出るとセラが呼びに来ていた。

「ケビ兄、ご飯」

 そう言うと珍しく歩いているセラだ。
 頭にコブが出来ていたので母上に怒られたのだろう。

 母上と義母上は俺やカインの教育の失敗を気にしていた。
 それもあってか優しい面と厳しい面が両極端になっているっぽいね。

 食堂に行くとぐでんぐでんで薬師なので適当な服を着ていることが多いグロリアスが化粧に本気の勝負服を着ていた。

 それだけで何かあるんだろうというのがよくわかる。
 俺が最後だったようでいつもの席に着くとタビが立ち上がり一言。

「私タビとグロリアスは婚約致しました」

 うん? それで? すると母上が立ち上がり感激した様に笑顔を浮かべた。
 皆拍手してるね、俺はまぁ良いやと思い立ち上がると全員の視線がこちらに向く。

「タビ、おめでとう。それとこれ」

 俺はマジックボックスから箱を取り出しタビに渡し、タビが開けると箱からは2つの指輪が出て来た。

 召喚者組の女の子が『ワアッ!』と歓声を上げるが他の子や大人達は首を傾げる。

 そう、この世界は神が身近に感じ取れる世界な為に宣誓するだけで結婚は終わるのだけれど
 どうしても前世の記憶がある俺はこの文化を広めようと思っていた。

 既婚者だと言う証拠? 証があればアホなナンパ野郎が減ると思ったのだ。

 年間小さな街でも数百件そんなトラブルがあるのでそれならと婚約話が出たついでに作ってみたのだ。

 材質はミスリルだけれども、加工して銀に見せかけている。
 付与の効果は危険を感じた時に对になる指輪にお知らせが来るようになっていた。

 夫が冒険者の夫婦はそこそこ居ていつか帰ってくると待ってる嫁さんは多いのだ。
 そんな時にこんなマジックアイテムがあれば便利だと思って作った。

 その他にも効果は多岐に渡るんだけれどこの指輪には俺の付与を極限まで詰め込んだ超大作だ!!

 それと保証契約を永続で商業ギルドと結んだ。
 本来ならアイディア料を取るのが保証契約なのだけれどこの文化を広く勧めたいのと
 その分指輪が高くなり買えない人が出るのは俺が嫌だった。

 だからこそこのアイディアは保証契約として他の人が設定できず尚且つ無料な為に永続契約した。

 召喚者組が2つの指輪の意味を説明し終わったことを確認したら

「タビ。着けてやれば? 指には自動調整を着けたからさ!」

 それを聞いた母上が俺によこせと言う顔をするのは分かっていた為に事前に紙にこう書いた。

『あれめちゃくちゃ時間かかるので無理。ドワーフに作らせたら?
 付与はエルフとか魔人族の職人がしてくれますよ!』


 って言うより俺にとって錬金術は金属を加工するのには向いてるけど
 真円型にするのはかなり難しいんだよ……鍛冶屋や細工師の仕事を奪っても申し訳ないからな。

「ケビン……ありがとう。大事にするよ!」

 早速着けたグロリアスが笑顔で伝えた時に

「まさか、魔人王種の人からアクセサリーを賜るとはねぇ。
 やっぱり種族進化には性格が関係してるかもしれないねぇ」

「「「「「魔人王種族???」」」」」

 全員がその言葉に反応する。

「おい! それはひみつだったろうが!
 それと誰も下賜なんかしてねぇ!!

 それとこの情報がバレると水仙国で争いが起きるか……それとも水仙国の貴族が争奪戦を始めるからな?」

 そう言うと女性陣が動き子供達に秘密にする様に教えていた。
 この日は昔教えたチキン南蛮だった。

 召喚者達がマヨネーズを作ったみたいだな。
 最近はこの地で子育てをしようと金に困ってない冒険者が来ている為

 ダンジョン資源が急激に集まりだしたのと俺が前回探索時に見つけたピラミッドのせいと
 ゴーレム郡の強さが1段階強くなっていたらしく
 Bランクダンジョンの査定がAランクダンジョンになったのも冒険者が集まる理由になった。


 それと孤児院の様な施設とは違い託児所が無かったので取り敢えず俺が作った民間と
 商業ギルドが出資した公営の物を2つ作ったのだ。

 やる気があるのに働けない女性やケガをして引退して先が無い女性冒険者や片腕を失った男性冒険者に率先して引き入れた。

 世界は街の外では武器を持たなければ裸一貫で砂漠を歩いてる様な物なので
 護身術を学ばせる為に人・人型魔物や普通の魔物と戦闘経験が豊富な元冒険者達は最適だったのだ。

 それと知識の街では支援事業を拡充させた。
 かんたんに言うとクラウドファンディングの元締めを商業ギルドで始めたのだ。

 それと職人とのマッチングもかなり強く願ったのだ。

 そんなことを考え紙を取り出し紙に文字を魔法で印字した。

 そんなメモを天野さんが熱心に見ているのでコピーして

「見る?」

 そう言うと喜んで見ていたので彼女は政治の道に進ませるのも良いかもな。

 そう考えていると双子が立ち上がり

『ねぇ? ねぇねぇ?』『まだー?』

『『お腹空いたー!!』』

「じゃあ食べようか!」

 久々のチキン南蛮は美味しかったよ。
 そのうち簡単に作れるように漬物でも作ろうかな?

 その日は簡単にお祝いをして俺は眠るのであった。



 目が覚めるとそこは神界だった。
 目の前にはソウちゃんと炎の羽衣を羽織りこちらを見る人が居た。

「天照大御神様ですか?」

 その女性は驚いた顔をする。

『ほう? よくひと目でわかったものだな?』

「まぁ、こんなイメージというのがありますからね」

 そう言うと天照大御神様は男型にもなる。

『我らには元の姿と人が望む姿がある。
 この変人は他の神の風貌を使ってるから出来ぬがな!』

 結局何が理由で呼ばれたんだ?
 ソウちゃんが話し始めた。

『天照大御神は転生者や召喚者達の動向を視察しに来たんだよね!』

 まぁ強制召喚で世界に穴開けたらしいからな。

『それと今はケビンか? この光球を召喚者達に渡してくれ。
 彼ら彼女らが本来召喚されなければ受け取るはずだった知識だ』

 俺はそれを受け取ると俺にも1つの光球が飛んでくる。

『それは我の力の種だな。炎との親和性が上がるから頑張れ』

 そう言うと消えていくのだった。

『あっ! ケビン寿命気にしてたよね? 1000年は余裕だから計画はきっちりするんだよ!』

 そう言うと俺は現実で目が覚めた。

「1000は余裕って……何時なんだよ」

 困惑するしか無かった。
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