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最終章:知識の街
249話
しおりを挟む知識の街が回り始めてしばらくが経ったある日。
俺は朝から椅子に縛られていた。
抜け出せるし椅子も壊せるけどそれをした瞬間に
世界で1番、俺が苦手とする人が激怒するために静かに捕まっている。
全国全世界共通のお母さんには敵わないというあれだよ。
そう何故か俺の前に母が居てその横にはセラがドヤ顔しているので多分超長距離転移が成功してドヤってるのだろう。
「ケビン? 貴方いつになったら結婚するのかしら?」
お母様、お母様。貴方の息子不肖ケビンめはまだ……15歳ですよ?
早いのではなくて? なんて言った日には何故か今日に限って持ち出してる鉄扇で引っぱたかれそうだ。
因みにこの鉄扇クロス家の家宝だ。
代々脳筋当主にツッコミを入れる為に第1夫人に渡されている防御力貫通が付与されているチート装備だ。
親父もスーパーチート脳筋なので普通の騎士の魔力や気の込みの打撃ですら反応は
『む? 何かしたか?』
って感じだ。この鉄扇を使うと
『ぬべぇー!?』
って反応になる。
「母上様よ? 俺は種族変化してしまったので寿命めちゃくちゃ長くなったので
そんなに急がなくても良いと思ってるんだけれど?」
そう言うと俺の寝室の扉の奥でガタッという音が聞こえたと思うとタビが入って来た。
「では失礼。この沢山の書類の断りのお手紙は時間が有り余ってるケビン様にお願い致します」
ドンッという音と共に冊子と手紙が寝室の机に置かれた。
セラが興味を示し開くと明らかに苦虫を噛み潰したような表情になり俺の方へ開いて見せた。
「んー? 何なに? 『水仙国侯爵家3女ベリル・メードラスの婚約者にしてやろう』? 却下で……知るかよ」
そう言うと頭を叩かれた。
「んぼぉぉ!?」
激痛が走り母上を見るととても良い笑顔をしていた。
「貴方の婚約者は誰なの? 誰かお手つきした女の子は居ないのかしら?」
「居ないっすよ? 俺は健全なるどうて……ぬぼぉぉ!!」
また叩かれた……
「女性や子供の前で言うことではありませんよ? 貴方も一応貴族教育は……しましたっけ?」
してねぇよ。
「礼儀と式典の動き方と祝詞や挨拶は学びましたけど
その他は必要ないので省いたはずだな……」
「なら良かったですね! こんなに教材がございますよケビン様!」
タビのいい笑顔がムカつくので俺も反撃をする。
「ほう? 執事兼任のお前がそんなことを言うとはな。
ならグロリアスとの婚約パーティーは1ヶ月後だから覚えとけよ?」
「んな!?」
タビはエルフ騒動の時からグロリアスから猛アタックを受けて最近受け入れたことを俺が知らない訳ないじゃないか!
「ならケビンも婚約者を決めないとね? ふふふ、母の私がケビンと結婚したい女の子を呼んで来ましょうね?」
そういうと母上は笑い声を上げながら部屋を出ていった。それを見たセラは?
「おー……2人とも不憫だ」
「「くはっ!?」」
2人のダメージが1番大きかったかもしれない。
20分程で俺はセラにリビングに転移させられた。
セラが部屋から出て行かなかった理由が俺の転移防止の為だ。
部屋には母上・セラとタビの婚約発表も兼ねてグロリアス。
ナギ・メル・トア・ミア・ムゥ・メロ・サツキ
そして……
「おいちんちくりんなんでいる?」
「ビッグウェーブに乗る為?」
何故かサイネ・カレン・ミクロも居た。
カレン・ミクロなんて面影が多少あるくらい成長しているのにこいつは。
「ねぇ? ケビン? アンタどこ見てんのよ?」
サイネからそう言われたので俺ははっきりと答えてやる。
「学園の頃から全く変わらない体型かな?」
「グバッ!?」
大ダメージを受けたと思ったら起き上がり拘束されている俺の顔に胸辺りを近付けてくる。
「ほらほらー大人の魅力だぞー!!」
俺はスンッと真顔になりセラを見るとテクテクと近寄ってきてサイネの横に立つと自分とサイネを見比べて
「勝った」
ボソッと言うと帰って行った。
おう、セラよ。それはコルセットの分増し増しに見えてるだけだ。
一応膨らんで見えるようにしておくのが貴族の見栄らしいからな。
そしてサイネはミクロとカレンに挟まれ同情されてるけど身長が低いサイネに対して2人の身長も胸も大きい為に綺麗に挟まり埋もれてる。
ぐぬぬ、なんてうらやまけしからん奴だ、おっとサイネが死にそうだ。ビクンビクンと跳ね始めた。
「カレン、ミクロ。サイネが息出来てないぞ?」
全員がその様子を見て驚いていた。
女性陣は違う意味でだろうけどな? 今のコルセットに使われている胸の部分はめちゃくちゃ固く着けづらいと聞いていた。
だから新素材の下着が欲しいとでしょうね。
そんな時に俺の頭が急に掴まれてサイネ達の方ではなく逆側に向けられると青い髪が俺に覆いかぶさった。
「ヒュー大胆ね! 女の子はこれくらい行動力が無くちゃね? 恋はハリケーンよ?」
「「「あぁ!!! ケビン様のファーストキスが!」」」
そして全員を見据えてトアが宣言した。
「婚約者筆頭は私ですからね! 負けません……
というよりこの人は本当に鈍いのでグイグイ行かないと逃げられますよ?」
トアさんや……わしゃ鈍いのではなくて気付いていたとしても
"逃げ"と"勘違い"ということにして有耶無耶にして来ただけだよ?
イエスマンが面倒な人間程、人間関係の綱渡りをしているから人の機微には敏いけど
それを如何に気のせいにするのが高度なぼっちだったんだよ。
そんな言い訳を思い出しながらも母上のしたり顔は一生忘れないだろうな。
この後、『おやつ無しですね。酷い目にあったのでぬぼぉぉ!!』というやり取りがあったことがこの最近で俺が発した、1番大きな声だった。
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