上 下
245 / 296
最終章:知識の街

244話

しおりを挟む

 食べ盛りチームや大食漢連中の腹を満たしデザートを出し始めた頃に親父が爆弾発言をしやがった。

「あ、ケビン。来月皇女様達がこの街の学校とやらや孤児院の視察に来るそうだ」

 ん? 達?

「はぁ? 皇帝陛下は普通に送り出したのか?」

「うむ、既に商業ギルドマスターには通達してある。
 そもそも竜人族の長代理に水仙国王、エルフ族の長代理まで居るのに
 人族だけ伯爵家じゃバランスが取れぬだろう?
 獣王は今は衰弱して動けんから後ほど来るだろうな。王女はプライドがどーたらで今はダンジョンに籠ってるらしい」

 うん、それは2度と出てこないで欲しい。

「へぇ!お姉様達が来るのね!」

 そういやあんたのこと忘れてたわ。ローズティアさん。

「結局、あんたは平民なのか? それともどうなんだ?」

「んー多分それも一緒に通達に来るのでは無いかしら?」

 へぇ、まぁあんたは兎に角創造神教って新しい宗教作って治療院作ったんだから頑張れ。

 周りのアホな宗教みたく神の嫁だから結婚は……なんてことも無しにしたしな。

 創造神の像や他の神の像も順次俺が造った。
 龍神だけは人型のアホ面で作ったら本神からブーブー言われた。
 とにかく人体構造の勉強をさせてから治癒魔法を学ばせているので
 普通の治療院よりかは治癒率が高くそれに薬師ギルドのバックアップもあるので病気も対応している。


「未だにあったことの無い神は想像で創る訳にも行かないのが難点だよな……」

 そして最後の片付けを子供達に任せて俺はキャロ、セラ、カイン、親父、母上、義母上を応接間に呼んだ。

「どうしたケビン? 改まって……」

 カインは何故か緊張してるせいでこちらも緊張しそうなんだけど?

「冥界に行って自分を見つめ直す良い機会を貰ったんだ……
 その時に家族のことを思い出してこっちに戻って来れたよ。
 ありがとうございました! こんな放蕩息子に愛情を注いでくれて。

 キャロやセラはなんのこっちゃと思うかもしれないけれどな。
 俺は5歳辺りから家を出て好き勝手し放題していた」

「ん? ハビスや騎士達から聞いてる」

 おっふ! セラよ、それは秘密にしといてくれ。

「私もムゥ、メロ、サツキから聞いてますわ!」

 キャロ……あいつら何故かキャロの護衛やってんだっけ?

「もう、今更よ?」

 母よ……諦めた様に言わんといてくれ!

「そうね! 美泥パックの材料で相殺出来てるわね!
 カインも何か考えなさい! ケビンばっかり良い物を作るんじゃなくてね!」

 義母上! それは辛い要求だぞ!?

「ぐはっ!? お前がちゃらんぽらんなのは我が家では当たり前で頭が良いのも知ってたさ!

 だからこそそれに負けないようにした結果、父上に追い縋ることは出来るくらいの実力はある。
 後はケビンのお陰で領地経営は順調だしな!」

「カイン……ありがとうな!」

「む? 俺には何か無いのか?」

 ……? 首を傾げてみる。

「そろそろ娘離れしたらどうだ?」

「……確かに」

「その通りですわ!」

「父上…… それは私も同意しますね!」

 俺→セラ→キャロ→カインのキラーパスにより親父に言葉の針がクリティカルヒットした。

「ぐはっ!? 子供達が辛辣!」

 こうしてずっとあったわだかまりが消えた時だった。

「そう言えばお・兄・様?」

 キャロが口火を切り始めた。

「ん? どうしたキャロ?」

「お兄様の周りには女性が多すぎませんこと?」

 何か姑みたいなこと言い出したぁぁぁ!?

「セラもそう思う。トア、ミア、メル、ナギ、カロン、ユリア。そして今日ミカサ商会の人達も追加された」

「いや、ミカサ商会は立ち上げ時に俺が一応建物とか資金の1部を出資していたからな?」

「それはあれか? ミカサ商会のオーナーは誰だか知られてないがケビンお前だったのか?」

「は? はぁぁぁ!? アイツら儲けたら俺の口座に金入れて買い取れって言ったのにやってないのかよ!?」


 全員がため息をつく。

「そりゃお前……あの下着のアイディアを出したんだろ?
 それにボタンも。ならそんなアイディアを出せる人間を商人が手放す訳なかろうよ」

 珍しく親父がまともなこと言ってるぅぅ!?

「お前のことは知らなくても今この街には経済も権力者もいない状態だ。
 まだまだ人が集まり多種族集合都市になるそぞ?」

 親父の言葉に俺はニヤリと笑い。

「多種族が集まるからこそ知識も集まるんだよ。住む場所が違えばその風土の知識や風習がまたこの街を育てるんだ」

 そう言い切り更に話す。

「知識はワインの醸造の様に沢山熟成させて発展していくのにそれを種族が違うからと拒絶するのは1番の悪手さ。
 今回のエルフ族がいい例だ、水仙国と早くから交流していればもっと早く世界樹の件は終わっていた。

 まぁ、戦士達はおまけだったけどな?」

 親父は考えて質問してくる。

「ケビン知識とはなんだ?」

「力かな? 技術だって知識だし、勉強の知恵だって知識だ。
 あって困るものじゃない。だから剣術道場だって俺達は受け入れているさ!」

 そう言うと剣術道場の辺りで親父が反応したので道場破りはやめてくれよ?

 その後ミカサ商会の3人を呼び女性陣の服や下着の商売をしていたので俺達男は脱出した。
しおりを挟む
感想 74

あなたにおすすめの小説

フリーター転生。公爵家に転生したけど継承権が低い件。精霊の加護(チート)を得たので、努力と知識と根性で公爵家当主へと成り上がる 

SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
400倍の魔力ってマジ!?魔力が多すぎて範囲攻撃魔法だけとか縛りでしょ 25歳子供部屋在住。彼女なし=年齢のフリーター・バンドマンはある日理不尽にも、バンドリーダでボーカルからクビを宣告され、反論を述べる間もなくガッチャ切りされそんな失意のか、理不尽に言い渡された残業中に急死してしまう。  目が覚めると俺は広大な領地を有するノーフォーク公爵家の長男の息子ユーサー・フォン・ハワードに転生していた。 ユーサーは一度目の人生の漠然とした目標であった『有名になりたい』他人から好かれ、知られる何者かになりたかった。と言う目標を再認識し、二度目の生を悔いの無いように、全力で生きる事を誓うのであった。 しかし、俺が公爵になるためには父の兄弟である次男、三男の息子。つまり従妹達と争う事になってしまい。 ユーサーは富国強兵を掲げ、先ずは小さな事から始めるのであった。 そんな主人公のゆったり成長期!!

異世界転生したらたくさんスキルもらったけど今まで選ばれなかったものだった~魔王討伐は無理な気がする~

宝者来価
ファンタジー
俺は異世界転生者カドマツ。 転生理由は幼い少女を交通事故からかばったこと。 良いとこなしの日々を送っていたが女神様から異世界に転生すると説明された時にはアニメやゲームのような展開を期待したりもした。 例えばモンスターを倒して国を救いヒロインと結ばれるなど。 けれど与えられた【今まで選ばれなかったスキルが使える】 戦闘はおろか日常の役にも立つ気がしない余りものばかり。 同じ転生者でイケメン王子のレイニーに出迎えられ歓迎される。 彼は【スキル:水】を使う最強で理想的な異世界転生者に思えたのだが―――!? ※小説家になろう様にも掲載しています。

転生5回目!? こ、今世は楽しく長生きします! 

実川えむ
ファンタジー
猫獣人のロジータ、10歳。 冒険者登録して初めての仕事で、ダンジョンのポーターを務めることになったのに、 なぜか同行したパーティーメンバーによって、ダンジョンの中の真っ暗闇の竪穴に落とされてしまった。 「なーんーでーっ!」 落下しながら、ロジータは前世の記憶というのを思い出した。 ただそれが……前世だけではなく、前々々々世……4回前? の記憶までも思い出してしまった。 ここから、ロジータのスローなライフを目指す、波乱万丈な冒険が始まります。 ご都合主義なので、スルーと流して読んで頂ければありがたいです。 セルフレイティングは念のため。

好色一代勇者 〜ナンパ師勇者は、ハッタリと機転で窮地を切り抜ける!〜(アルファポリス版)

朽縄咲良
ファンタジー
【HJ小説大賞2020後期1次選考通過作品(ノベルアッププラスにて)】 バルサ王国首都チュプリの夜の街を闊歩する、自称「天下無敵の色事師」ジャスミンが、自分の下半身の不始末から招いたピンチ。その危地を救ってくれたラバッテリア教の大教主に誘われ、神殿の下働きとして身を隠す。 それと同じ頃、バルサ王国東端のダリア山では、最近メキメキと発展し、王国の平和を脅かすダリア傭兵団と、王国最強のワイマーレ騎士団が激突する。 ワイマーレ騎士団の圧勝かと思われたその時、ダリア傭兵団団長シュダと、謎の老女が戦場に現れ――。 ジャスミンは、口先とハッタリと機転で、一筋縄ではいかない状況を飄々と渡り歩いていく――! 天下無敵の色事師ジャスミン。 新米神官パーム。 傭兵ヒース。 ダリア傭兵団団長シュダ。 銀の死神ゼラ。 復讐者アザレア。 ………… 様々な人物が、徐々に絡まり、収束する…… 壮大(?)なハイファンタジー! *表紙イラストは、澄石アラン様から頂きました! ありがとうございます! ・小説家になろう、ノベルアッププラスにも掲載しております(一部加筆・補筆あり)。

テンプレな異世界を楽しんでね♪~元おっさんの異世界生活~【加筆修正版】

永倉伊織
ファンタジー
神の力によって異世界に転生した長倉真八(39歳)、転生した世界は彼のよく知る「異世界小説」のような世界だった。 転生した彼の身体は20歳の若者になったが、精神は何故か39歳のおっさんのままだった。 こうして元おっさんとして第2の人生を歩む事になった彼は異世界小説でよくある展開、いわゆるテンプレな出来事に巻き込まれながらも、出逢いや別れ、時には仲間とゆる~い冒険の旅に出たり 授かった能力を使いつつも普通に生きていこうとする、おっさんの物語である。 ◇ ◇ ◇ 本作は主人公が異世界で「生活」していく事がメインのお話しなので、派手な出来事は起こりません。 序盤は1話あたりの文字数が少なめですが 全体的には1話2000文字前後でサクッと読める内容を目指してます。

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

【味覚創造】は万能です~神様から貰ったチートスキルで異世界一の料理人を目指します~

秋ぶどう
ファンタジー
書籍版(全3巻)発売中! 食べ歩きだけが趣味の男、日之本巡(ひのもとめぐる)。 幻の料理屋を目指す道中で命を落としてしまった彼は、異世界に転生する。 転生時に授かったスキルは、どんな味覚でも作り出せる【味覚創造】。 巡は【味覚創造】を使い、レストランを開くことにした。 美食の都と呼ばれる王都は食に厳しく、レストランやシェフの格付けが激しい世界だけれど、スキルがあれば怖くない。 食べ歩きで得た膨大な味の記憶を生かし、次から次へと絶品料理を生み出す巡。 その味は舌の肥えた王都の人間も唸らせるほどで――!? これは、食事を愛し食の神に気に入られた男が、異世界に“味覚革命”を起こす物語である。

転生王子の異世界無双

海凪
ファンタジー
 幼い頃から病弱だった俺、柊 悠馬は、ある日神様のミスで死んでしまう。  特別に転生させてもらえることになったんだけど、神様に全部お任せしたら……  魔族とエルフのハーフっていう超ハイスペック王子、エミルとして生まれていた!  それに神様の祝福が凄すぎて俺、強すぎじゃない?どうやら世界に危機が訪れるらしいけど、チートを駆使して俺が救ってみせる!

処理中です...