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最終章:知識の街

241話

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 真っ白な光で視界いっぱいになり目を細め慣れるまで待とうと思った時
 敵意と殺意が入り交じった攻撃に目を完全に閉じて魔力感知の精度を最大限に高める。

 攻撃してくるのは100~120センチ位の小さな子供? だ。
 しかし刃物を持っていて敵意を見せた以上、本気で相対することにする。

 魔力を纏い本気でその子に打撃を与えようとしたら物凄いスピードで近寄ってくる大人が居たのでそちらを相手取る。

「くっ、いきなりクソ強いなぁ? おい!」

 何かたまに『ぐふっ』とか言って笑いこらえててキモイな?

「何か鼻息荒くてキモイな? 」

「グハッッ!?」

 ここで相手が誰だかハッキリとわかった為にこの日の為に温存してきた関節技を決める。
 パンチしてきた腕を取りそのまま飛びつき三角絞めをする。
 まぁ外されても腕を決めて折ってやろう!

「お? おぉ? イデデデデデ! 参った!参ったケビン!」

「あーあーあー聞こえませーん!」

 目が慣れてきたと思って開くとやはり親父と金髪の少女が近くに居た。

「それと初めましてかな? キャロ?」

「ふん!アンタなんか知らないんだから!」

 へ? 何のキャラやねん!!

 よく見ると俺が現れた場所は世界樹の森では無く知識の街の目の前だった。
 スーパー作為的な状況に関節技をかけられ失神寸前の親父を捨て構えると遠くから敵意をビンビン……
 いや、これ敵意じゃなくて怒気だな。

 怖いので転移して逃げたら……

「坊っちゃま。男たる者逃走は恥ですぞ?」

「ふっ、ハビスめ腕を上げたな?」

 ハビスに肩を捕まれ同じ場に戻されたかっこよく返してみたが傍から見ると物凄くシュールだな。

 そんな時に敵意が無かったので反応出来ずにロープに俺は包まれる。

「私の極意は空間の固定と操作に光明を得たり」

 転移しようとしたが一切反応がない!?

「セラ? なんだこれ?」

「ん? 魔力操作と結界と空間の固定と形の記憶の定着の複合魔法。学園ではオリジナルと呼ばれている!」

「妹が2人とも優秀すぎて自信失ってるなぅ!」

「あっはっは!我が息子よ! 同意する!!」

 親父の笑い声が聞こえたので見てみると……なぜお前も縛られている。
 俺は魔力を放出して耐えてるが親父は気の達人の為に
 力ずくで抜け出せなければそもそもアウトなんだよね。

「「「うん、娘に踏まれてニヤニヤしてるとかキモイ」」」

 キャロに踏まれ親父は喜んでてそれを見た俺、セラ、キャロの意見が一致する。

 その放出もとある阿呆によって止められる。
 魔力感知の精度が最大限になっている為に接近には気付いて居たが……

「激辛ァァァカレェェェーヨーコーセー」

 赤い髪を振りまきこちらに向かってくるカロンはホラーだ。

「ひぇぇぇ! グボラ!?」

 打撃を加えようとしたのでガードするとそこから発勁を叩き込んでくる用心さ……こいつ絶対に正気だろ?
 よく見たらセラもキャロも青い顔して逃げてやがる。
 ん? 親父はカロンにひかれてどっか飛んでった。

 空高く舞い上がったので逃げようとすると急に柔らかい物に上昇を阻まれた。

「ん? 結界? ちょちょちょっとまってぇぇ」


 そのまま上昇していたと思ったら地面に逆バンジーで超万死!

 遠くを見ると召喚者達も俺を見てニヤニヤしてやがる。

「おっしゃあやってやらァァ」

 ーー2分後。

「大変皆様にはご心配、ご迷惑をかけて申し訳ございませんでした」

 俺は土下座していた。
 そりゃそうだ、あの宣言直後に最凶の双子が来て俺を永遠と蹴鞠にして行くし、セラに空間魔法を封じられ

 他の属性はバックアップの連中が止め、闇属性上位の物は黒子が相殺、琥珀が反対属性で尽く破壊された。

 流石に死ぬ様な攻撃は出来ない為に潔くボコボコにされた。
 顔はちょっとズルして腫れまくってたりする。

 わざと顔にばかり犬パンチを受けたからな……
 しかし黒子と琥珀よ犬パンチの度に俺の顔にお前らの小さな手がめり込んでいたんだが?

 痛いんだけど……全員が気まずそうな顔をする。
 そしてこのおチャラけたおふざけを顔を真っ青にしてみていた常識人が俺に声をかける。

「お、おい……親父の攻撃だけでもヤバいのに大丈夫かケビン?」

「おー、久しぶりだなカイン。お前が何故かこんな非常識な家に生まれて常識人になったのが不思議で仕方ないよ」

「逆だろ!? 周りが非常識人しか居ないから俺がしっかりしなきゃならんのだろ!?」

 あー……確かにな。 あの親父に任せていたら現状維持は完璧にするけど発展は無いし普通の人の考えは一切理解出来ないもんな。

 俺達は街に戻る中、俺はカインに呆れられていた。
 逆再生を見るように顔が治っていくからだ。

「お前はびっくり箱の宝庫だよ……」

「ん? びっくり箱って何か知ってるっけ?」

「お前が用意してくれた初代皇帝物語にそこそこ驚くことが出でくると『びっくり箱の宝庫や』って出て来るぞ?」

 へぇそんな記述あったかなぁ? 普通のこと過ぎてスルーしてたな。

「じゃあ作れば? 俺が設計図書いてやるから作れば面白いぞ?」

 そんな会話をしていて門まで着くと各国の王や長が集まっていた。

 ほぼ街長になっている商業ギルドマスターが俺達が入ってくると魔法の拡声を使い宣言する。

「知識の街は各国の王、長の認証を受け『完全独立都市』及びカーステッド帝国クロス領と『兄弟都市』を宣言する!」

 姉妹都市は召喚者達の案だろうな。

 こうしてこの大陸で初めての1つの独立都市が出来るのであった。
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