変人奇人喜んで!!貴族転生〜面倒な貴族にはなりたくない!〜

赤井水

文字の大きさ
上 下
239 / 296
世界樹を救え?

238話

しおりを挟む

 冥界の門を潜り抜けてから落ちてるのか堕ちてるのかは分からないがこの空間に居ることへの拒否感や拒絶感だけが強く残る。

 そして遂に俺と賢者は離れそして最後の足掻きとばかりに5重? いや、7重の魔法陣を展開しやがった。

 俺はそれに対してとある2つの属性を組み合わせて大鎌に込める。

『ふはははは! 我を邪魔したお礼だ。最後に貴様も亡者にして黄泉に引きずり込んでやろう!
 地上に居る連中への最大限の嫌がらせだ!』

 マジで嫌だし、断りたいわ。

『属性暴風流! ミンチになれ!』

「はぁぁぁ!! この技は……こう言うしか無いな『次元斬り』」

 俺が込めた属性は破壊と空間だ。
 勇者と融合していた時に空間が効いたのはわかっていた。

 それにエストとクロイツァーの得意属性で相性が良いとわかっていたが
 次元を斬ろうと思うと地上で使ったら大量虐殺出来てしまうから使い道がなかったのだ。

 最大限、最後の魔法のぶつかり合いは……俺の勝ちだった。
 破壊属性で魔法を破壊して空間も切断する強烈な一撃だからな。

 そして呆気なく賢者は真っ二つになったが……冥界の中の次元が斬れてしまった。

 いや馬鹿じゃないこいつって思うだろ?
 でもこの魔法はこんなに斬れると思ってなかった。

 空間自体がかなり不安定で参っちゃったよ。


 そんな時何か凄い光の玉が賢者の中に入っていく。

『くっ、無理か……吾輩も消滅間近か、体に無理やり引っ張られて
 体を見つけ再生出来るのであれば余裕であったがな……』

 声質の違いからこいつが邪龍なのだろう……しかしかなり理知的だがこいつが本当に昔ヤバい奴だったのか?

 そんな時だった次元の先から龍神の力を感じると一変した。

『吾輩をまた貶めるのか!? 虹龍め! 貴様だけは道連れにしてやるわ!
 天星降臨!! ふはははは! あんなクソな星消えてしまえ!!』

 俺はそれを見て牛乳飲んでるか? 皆イライラし過ぎじゃないか?
 魔法の名称からして先程の賢者よりも更に大きい隕石を落とすんだろうな。

『吾輩の手向けとして沢山の命が冥界に来れば良い! ん? 貴様!!』

 げ? こっち来たぞ?

『生者が何故ここに居る? む? 記憶があるな? 吾輩を乗っ取ってた奴に連れてこられたのか!? 
 まぁ頑張って帰れ! 吾輩の後輩の眷属よ』

「え? 邪龍って神だったのかよ!? しかも馬鹿龍神より常識人じゃねぇか!!」

『ぬぅ、初代破壊神とは吾輩のことぞ! アバターで虹龍と喧嘩して剥奪されたがな!
ヴァハハハハ!』

 意地でも回収したい理由がわかったわ。
 それに龍神が現世に来た理由もな。


 そんな時、大鎌がブルりと鳴動し光輝き幼女となる。

「何故に前世のバスガイドさん!?」

『君はこっちに来てはならない子、帰ると良い。でも入ってきてしまったら試練を課すのが決まり

 ルールは1つ。我を忘れずに振り返らないで帰ること

 神言:汝に指し示す光の道あれ』

 言うこと言って幼女は消えたと思ったら落下も消えた。
 しかし……真っ暗闇の中、足下の道だけが俺の行く道になってしまった。

 俺は帰れるだろうか……不安だ。





 あれから数日経った様な感覚があるが未だに終わりの終着点は見えない。

 参ったなぁ……この暗闇の空間で孤独なのが1番辛い。
 クロの時はひとりじゃなかったというのがどれだけありがたいことなのかを理解した。

 それに暗闇に一人でいると今までの過去を振り返ってしまうのは人間の性なんだろうね。

 今、思うと俺やらかし過ぎてることに気付いた。
 両親にはちゃんと感謝しないとダメなんだということに気付いた。

 4年間も消息絶っていたのにも関わらず居ると分かればすぐ様会いに来たあの2人にはちゃんと向き合わないといけなかったんだな。

 俺が転生者であることも理解してくれてるし。
 それにカインとも話さないとダメだとも感じた。
 全てを背負わせてはい、終わりにしていたし喧嘩別れ状態だもんな?

 次期当主として今は立派になっていると思う
 それが終わると前世のことを思い出していた。

 時間の感覚は既に無くなり今歩けているのか? 
 振り向いて居ないのか? すら分からなくなった。

 そんな時唐突にフラッシュバックした。
 疲れ切った終電間近で到着間近の電車に乗り込もうとして駆け込み乗車並みにダッシュしてくる酔っ払ったオッサンに階段で突き飛ばされホームに落ちそうになりそのまま……


「そっか……俺、着地出来たとホッとした瞬間にぶつかってきたオッサンがブチ切れてそのまま落とされたんだ」

 思い出してたら人を憎んでたかもしれないからエストはこの記憶を消していたんだなあ。
 それにしても体頑丈だけが取り柄だったはずなのに最後は電車にごっつぁんゴール決められ転生してたとは。

 余りにも前世では卑屈過ぎて自らパターンで最後の記憶がなかったと思っていた。

「ふふふ、ふはははは! ダセェ超ダセェ。でもオッサンには今なら感謝するよ!
 俺は魔法が大好きで欲しい物は婆さんのお陰で作ることが出来た!
 なんの不自由も無く、こんなわがままな奴を好いてくれたり呆れず関わってくれる友達もいる。
 結構、酷いこと言ったんだけどな?

 俺は、前世に引っ張られる転生者じゃねぇ!
 なんか前世譲りでトラブルに巻き込まれやすい魔法大好きな魔法バカだ!」

 こんなことにも気付けないある意味愚者だよな!!

 俺の目の前に扉が出現していた。

「自己の確立が鍵かよ……一生出られなかったかもしれんぞおい。まぁ帰るぞぉぉ!」

 扉を開くと視界が真っ白になった。
しおりを挟む
感想 74

あなたにおすすめの小説

【完結】初級魔法しか使えない低ランク冒険者の少年は、今日も依頼を達成して家に帰る。

アノマロカリス
ファンタジー
少年テッドには、両親がいない。 両親は低ランク冒険者で、依頼の途中で魔物に殺されたのだ。 両親の少ない保険でやり繰りしていたが、もう金が尽きかけようとしていた。 テッドには、妹が3人いる。 両親から「妹達を頼む!」…と出掛ける前からいつも約束していた。 このままでは家族が離れ離れになると思ったテッドは、冒険者になって金を稼ぐ道を選んだ。 そんな少年テッドだが、パーティーには加入せずにソロ活動していた。 その理由は、パーティーに参加するとその日に家に帰れなくなるからだ。 両親は、小さいながらも持ち家を持っていてそこに住んでいる。 両親が生きている頃は、父親の部屋と母親の部屋、子供部屋には兄妹4人で暮らしていたが…   両親が死んでからは、父親の部屋はテッドが… 母親の部屋は、長女のリットが、子供部屋には、次女のルットと三女のロットになっている。 今日も依頼をこなして、家に帰るんだ! この少年テッドは…いや、この先は本編で語ろう。 お楽しみくださいね! HOTランキング20位になりました。 皆さん、有り難う御座います。

誰も要らないなら僕が貰いますが、よろしいでしょうか?

伊東 丘多
ファンタジー
ジャストキルでしか、手に入らないレアな石を取るために冒険します 小さな少年が、独自の方法でスキルアップをして強くなっていく。 そして、田舎の町から王都へ向かいます 登場人物の名前と色 グラン デディーリエ(義母の名字) 8才 若草色の髪 ブルーグリーンの目 アルフ 実父 アダマス 母 エンジュ ミライト 13才 グランの義理姉 桃色の髪 ブルーの瞳 ユーディア ミライト 17才 グランの義理姉 濃い赤紫の髪 ブルーの瞳 コンティ ミライト 7才 グランの義理の弟 フォンシル コンドーラル ベージュ 11才皇太子 ピーター サイマルト 近衛兵 皇太子付き アダマゼイン 魔王 目が透明 ガーゼル 魔王の側近 女の子 ジャスパー フロー  食堂宿の人 宝石の名前関係をもじってます。 色とかもあわせて。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

チートな親から生まれたのは「規格外」でした

真那月 凜
ファンタジー
転生者でチートな母と、王族として生まれた過去を神によって抹消された父を持つシア。幼い頃よりこの世界では聞かない力を操り、わずか数年とはいえ前世の記憶にも助けられながら、周りのいう「規格外」の道を突き進む。そんなシアが双子の弟妹ルークとシャノンと共に冒険の旅に出て… これは【ある日突然『異世界を発展させて』と頼まれました】の主人公の子供達が少し大きくなってからのお話ですが、前作を読んでいなくても楽しめる作品にしているつもりです… +-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-  2024/7/26 95.静かな場所へ、97.寿命 を少し修正してます  時々さかのぼって部分修正することがあります  誤字脱字の報告大歓迎です(かなり多いかと…)  感想としての掲載が不要の場合はその旨記載いただけると助かります

スキルが覚醒してパーティーに貢献していたつもりだったが、追放されてしまいました ~今度から新たに出来た仲間と頑張ります~

黒色の猫
ファンタジー
 孤児院出身の僕は10歳になり、教会でスキル授与の儀式を受けた。  僕が授かったスキルは『眠る』という、意味不明なスキルただ1つだけだった。  そんな僕でも、仲間にいれてくれた、幼馴染みたちとパーティーを組み僕たちは、冒険者になった。  それから、5年近くがたった。  5年の間に、覚醒したスキルを使ってパーティーに、貢献したつもりだったのだが、そんな僕に、仲間たちから言い渡されたのは、パーティーからの追放宣言だった。

母親に家を追い出されたので、勝手に生きる!!(泣きついて来ても、助けてやらない)

いくみ
ファンタジー
実母に家を追い出された。 全く親父の奴!勝手に消えやがって! 親父が帰ってこなくなったから、実母が再婚したが……。その再婚相手は働きもせずに好き勝手する男だった。 俺は消えた親父から母と頼むと、言われて。 母を守ったつもりだったが……出て行けと言われた……。 なんだこれ!俺よりもその男とできた子供の味方なんだな? なら、出ていくよ! 俺が居なくても食って行けるなら勝手にしろよ! これは、のんびり気ままに冒険をする男の話です。 カクヨム様にて先行掲載中です。 不定期更新です。

劣悪だと言われたハズレ加護の『空間魔法』を、便利だと思っているのは僕だけなのだろうか?

はらくろ
ファンタジー
海と交易で栄えた国を支える貴族家のひとつに、 強くて聡明な父と、優しくて活動的な母の間に生まれ育った少年がいた。 母親似に育った賢く可愛らしい少年は優秀で、将来が楽しみだと言われていたが、 その少年に、突然の困難が立ちはだかる。 理由は、貴族の跡取りとしては公言できないほどの、劣悪な加護を洗礼で授かってしまったから。 一生外へ出られないかもしれない幽閉のような生活を続けるよりも、少年は屋敷を出て行く選択をする。 それでも持ち前の強く非常識なほどの魔力の多さと、負けず嫌いな性格でその困難を乗り越えていく。 そんな少年の物語。

転生した体のスペックがチート

モカ・ナト
ファンタジー
とある高校生が不注意でトラックに轢かれ死んでしまう。 目覚めたら自称神様がいてどうやら異世界に転生させてくれるらしい このサイトでは10話まで投稿しています。 続きは小説投稿サイト「小説家になろう」で連載していますので、是非見に来てください!

処理中です...