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世界樹を救え?
226話
しおりを挟む弓師の少女は俺に怯えていた。
少しでも時間を共有したり、知り合いの可能性もあるが顔見知りが非現実的な現実な状況を見せられて完全なる思考停止状態だ。
アホな連中に自分達は強いとでも教えられていたのだろう。
戦闘能力特化の冒険者達と対人戦特化の騎士や兵士と一緒にされても困るんだよ。
俺はすぐさま弓師を気絶させた。
何が何でもこいつらは最初に倒すべき連中だった。
それは精神的に耐えることが出来ないからだ。
ゲーム感覚から痛みや強大な力の差を見せられた瞬間にすぐに折れるだけなら問題ない。
平和な喧嘩すらしたことない人間が命を奪った瞬間に壊れる、それが精神崩壊ならマシだが破壊衝動に駆られ狂人になる可能性もあったからだ。
瞳術師、結界師、剣聖、弓師の4人が一瞬で陥落したことに歩兵が恐れ戦き動揺と恐怖が伝播する。
それと同時に前に出てきたのは歩兵の粗雑な装備と違い鎧や魔法付与のされた武器を持ってる。
「おいおい……勇者より良い装備してんじゃん」
すぐに魔力を練り直し拳に集める。
そんな時にエルフ族の戦士が戦場に登場する。
鏑矢が鳴り響く。3本ね?
音による原始的な作戦指示を使うことを想定してない。
何故かこの世界の伝令や作戦行動指示は魔法による伝達や人力による伝令兵なのだ。
魔法はジャミングできるし、伝令兵は狙われやすい。
転生者や転移者達は魔法という新たな力に首ったけで古来から伝わる先人の知恵は頭から抜けてるらしい。
今回のエルフ族の戦士の武器は恐ろしい物ばかりだ。
柄に鉄塊を分厚めの板状に形成した物を着けただけの武器だが……
鍔迫り合いや鎧の破壊には持ってこいの武器になった。
あのバカみたいな筋肉という基礎能力値に魔力や精霊術で身体強化をかけるのだ。
今も笑えるくらい人が吹き飛んでいく。
刃が潰れて切れない位なら最初から切らないで物理的に破壊した方が良いらしい。
魔力を練り込んだ魔鉄に『硬質化』を付与したので
本当に壊れにくい鉄の角材みたいな物で攻撃する形になった。
面白くなって角材風と鉄パイプ風と作り、握る部分だけかなり凝った作りにした。
趣味に走ったが、制圧という観点では有益過ぎる。
目の前にいる20人以上の騎士達にエルフ族の戦士が2人やって来て蹂躙してる。
「うわぁ!! 助けてくれーぎゃっ!?」
こんな声ばかり聞こえてくる。
「俺達エルフの奴隷を欲してたんだって?
あ゛ぁ? お望み通り来てやったのに何命乞いしてんだゴラァ?」
エルフ族の戦士がヤンキーにしか見えなくなったのもまた事実だった。
そんな時に遠くでエルフ族の戦士と互角に戦う少女が現れた。
「なして!? そこは勇者だろ!?」
目をひん剥いて驚いた。
他の戦士達も『ほう?』や『中々筋が良い』って褒めてるぞ!?
殴り僧侶ならぬ殴り聖女って……そして最初の時以来姿の見えない勇者はどこいった?
完全に勝敗が決したと思うような状態でどこかバカそうな声が戦場に響いた。
「はーはっはっは!! 俺様が最強だぁぁぁ」
それはプリン勇者が黒い影に覆われて何かSFチックなボディスーツを着てる感じになっていた。
そんな勇者は軽く剣を振るうと黒い斬撃が飛ぶ。
魔力が膨れ上がった瞬間に俺はすぐに転移を使い聖女を後ろから蹴飛ばし目が合ったエルフ達も聖女を蹴飛ばし後ろに後退させた。
魔力大鎌を出して大量虐殺をしている斬撃に相対した。
俺は魔力を込める時間は無いと感じ斬撃に対して属性なしの魔力の斬撃を大鎌を振るい何度も何度も飛ばし削り作業を始めた。
「やめろ!手を出すな!!」
俺の注意も一切聞かずに騎士の1人が勇者が味方を大量に斬ったことに怒り剣でその斬撃を攻撃した。
当たり前だが、魔法付与されていようが使い手が未熟なら全く意味も無く腕を斬り落とされた。
しかし、異変はすぐに起こった。
騎士が苦しみだし、倒れたのだ。
闇属性の上位派生属性の死属性だ。
まじであの自称大賢者チート過ぎんぞ?
死属性と呪属性は同時に使えないのにあの大賢者は使いやがった。
ネクロマンサーに呪いが使えない様にまた呪術師に死属性は使えないはずなのだ。
闇属性は多種多様な進化先のある未だに未知の深堀しきれてない属性なのだ。
闇属性→暗黒属性→影属性
ここから2つに別れるのだ。影から呪いと死属性に。
俺は呪属性という攻撃的では無い属性に進みその後、呪いを受けて破壊するという経験をクロから教わり破壊属性にたどり着いた。
しかし死属性はその極点攻撃性のせいで先が無い、いや知らない。
同属性の派生だからこそ分かるが異常だ。
一撃必殺とも言える魔法属性だが、攻撃が失敗すれば属性が消失するんだが先程から未だに維持してやがる。
かなり大雑把になるが……
魔力大鎌の色が漆黒に変わる、煤の様な粒子が出てくる。
「「「ケビン殿!」」」
俺は死属性の斬撃に突っ込んでいき魔力大鎌で斬りかかった。心配する声や悲鳴が聞こえたが知るか!
ここで限界を超えなきゃもっと死ぬ。
「んぎぎぎぎっ、ドラッシャア!」
俺の魔力大鎌の魔力が僅かに勝ち斬撃を上にカチ上げた。
上空で何か魔物の悲鳴が聞こえたが知らん。
遠くで落ちた音が聞こえた、結構大物だったらしい。
『ふはは! やはり我の目の前に立ちはだかるか!ならば死ね!』
「そうだ!俺様の邪魔をするなら全員死ね! 女は頭を垂れて奉仕すればいい!あははは!」
勇者とは思えない程のゲスで軽い思考だな。
『ふむ、流石は勇者だ! 適応能力が高いぞ!
奴隷や農民で実験して良かった』
「あぁん? 当たり前だろ! 『何でもしますからぁ』って命懸けは最高だったぜぇ!
嫌がる女を遊ぶのは楽しすぎるもんなぁぁ!」
もう、既に汚染されていたか?
これは地球に返すことの出来ない害悪だ。
「勇者さんよ、恨むなよ『空間断裂』」
俺は魔力大鎌を下から上に振り上げた。
「『は?』」
『何故だ? 何故そこまでの力を人族が持ってるぅぅぅ』
全員助けたかったが無理だった。
誰が人族って言ったっけ?
後ろにあった積乱雲も綺麗に真っ二つに割れていた。
はっきり喋れていたからまだ終わらないだろうなぁ……
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