225 / 296
世界樹を救え?
224話
しおりを挟むアホな自滅を聞いた翌日の朝。
偵察部隊の報告に面白いことが書いてあった。
・徴集兵の脱走
そして軍法会議の判決と見せしめの処刑時に
『何もしてくれない、自分達ばかり良いもん食べてお前ら貴族の駒と遊びのせいで俺らは死ぬんだァァ』
と最後の言葉はあるかの問いで発狂して処刑が止まる始末。
平民の徴集兵が恐慌状態に陥り身内で揉めてるらしい。
偵察部隊はその間に色々と事実と嘘を混ぜこみ離間工作を決行した。
それは『本来昨日、潰走した軍の平民は士気上げの為に酒や料理が振る舞われるはずだったが貴族が横領。
労うこともせずに特攻予定捨て駒にすることを画策している』という噂を流したのだ。
そして離間した人を使い更に離間を勧誘させては精霊や黒子と琥珀にお菓子を対価に協力を求めて安全に国に帰している最中とのこと。
詳しい話が聞きたくて偵察部隊の1人を呼ぶとドヤ顔で報告してるけどこれ最早戦争になるか?
勇者が表に出てくるかそれとも自称大賢者が出てくるんじゃないか?
なんかあの自称大賢者は自らの力を使いがって無い気がしている。
梟の姿をしている時点で元人族か何かしらの術で憑依してるんじゃないかと予想している。
「大本を叩けるって考えたらアリなのかもな」
俺もその間抜けな軍や貴族、自称大賢者を見てみたくなってきたので出兵の準備だけを頼んで視認転移で上空を散歩する。
『わー人がいっぱい!』『でも何か変だねー!』
うん、俺もそう思う。
何かしらの暴動が起きてるのか? 魔法が尻を叩くように軍の後続に飛んでいる。
そんな中、一際目立つ少年が居る。
平気で人を殴ってる所を見るとかなり面倒なやつだな。
そして確実に勇者と分かる点があった。
この世界、変身の魔道具があって髪や瞳の色は変えれるけど染色技術は無い。
横暴に振る舞う少年は金髪に根元が黒の髪色をしており言うならばプリンなのだ。
「あれはダメだろ?『アポート』」
俺は抜剣して人を斬ろうとした勇者の剣を空間魔法で奪った。
剣を見てみるがあまり品質は良くないなぁ。
「要らねー……ほら返すぞ?」
武器がなくなり驚く勇者君に俺は上空から剣を投げるのではなく落とした。
勇者の5m位離れた所に上から剣が落ちて来て地面に刺さり腰を抜かして驚いていた。
しかし魔力で強化し軽く重力魔法をかけた剣は地面に深く刺さりこれが抜ければ聖剣!
みたいな感じになってしまった。
ふと、変な気配が近付いて来るのを待っていると
『ふむ? 不思議な魔力を感じて来てみれば貴様の様な奴がどうしてこんな所に居るのだ?』
尊大な態度を取る梟が居た。態度と姿形が合ってないよ。ワイズマン気取りですかい?
「あっ! お前が自称大賢者か? 何者なんだ?」
少し殺気を持ったが不毛な争いは避けるらしい。
すると梟から影が噴出して全てが黒の漆黒の人型を象る。
『ふむ、我はヤマト・タチバナと言う君達の世界で言うなら転移者だ。
勿論神に大賢者というスキルを貰ったのさ!
この世界の危機を救ったのにも関わらず神は我を見捨て国も裏切った。
我はその時の憎悪で人を超越したのだ!』
ふぅん? でもさ? 神様に力を貰ったら帰れないだろにね?
地球の神に力を貰ったなら出し入れ自由だろうけど
他の世界の力に干渉出来る様な自由さは神に無さそうだし。
下級神ですら現世に来てしまうと手出し出来ない位不便なんだよ。
「へぇ? ヤマトね。俺はケビンだ。お前らから見たら敵かもな。
世界樹の守護者の協力者だ。それにしても野営でカレーを食うわ、士気上げの食料横領するわ少しは戦う気あんの?」
『うぐっ、何故この世界にはロクデナシしか居らんのだ!』
俺は笑ってしまった。
「いや正確に言ってくれよ? 自称大賢者さん? 操りやすい奴の中にはだろ?」
おっと? 怒らせ過ぎたかな?
殺気が1段階上がったな。
『勇者と我が損耗なく世界樹に辿り着けば良いのだ!』
ん? どういうことだ?
「ふーん? なら自称大賢者さん1つ聞きたいんだけさ?
勇者って鍛錬した? 危機的状況ですら無い今は多分鍛錬しないとゴミのままだぞ?」
『はははは! そんな訳なかろうが! 勇者だぞ!
邪龍を討伐した時の勇者や大賢者、剣聖は最初から最強格だった!』
あらら? 確かに魔力はかなり多いが多分弱いと思うんだよなぁ。
『怯えるが良い。我らが死の贈り物を渡しに行くその時までな!』
そういうとちっぽけな大賢者は梟に戻り帰ろうとした。
『トリニクー?』『美味そう』
『『じゅるり』』
『我は食肉では無いわっ!!』
かっこよく帰る所か逃げ帰ったな。
「戻るか。行くぞーい!『ゲート』」
『『ほーい!』』
俺達が砦に戻ると歩兵、弓兵、賑わし隊、斥候、精霊兵と並んでいた。
兵士達の目の前の壇上にはアラレオさん、今代の巫女、世界樹の精霊、そして助っ人参加の俺達の仲間がたっていた。
そこに俺達が上空から降りてくる。
『ぜんたーい敬礼!』
冗談で教えた敬礼や隊列の組み方を一糸乱れず動くエルフ族。
そしてそんなエルフ達の目の前には勇猛な気配を常に発露させドンと構えているエルフ族の戦士。
ポカーンとしているのはアラレオさんにしごかれていたユリアさんやカイナ、トア、ミアだ。
驚いているのはグロリアスだけだ。
俺をかなり見ていて口を動かしているな。
『後で話がある』
ふーん何かしら気付いたんだ……まぁのらりくらりかわそう。
そして全員が俺の方を向いているので仕方ないからキャラを作ろうっと。
声に魔力を含ませ一言だけ告げる。
『直れ』
エルフ族達は敬礼を取りやめ気をつけをする。
『さて、諸君らの練度の高さを見て俺は安心したぞ。
敵の士気はダダ下がりだ。諸君らの先制攻撃が効いた形になるな?』
俺はニヤリと笑い全員を見渡すように視線と顔を動かすと斥候・偵察部隊が誇らしげだ。
『だが、敵にも強大な力を持つ者居るだろう。
しかし……そんな時は守りたい者を、信じる存在・仲間を思い出し声をあげよ。
願え・叫べ・お前らの望みは何だ!!』
『『『『我らの願いはこの森の安定!安寧! 子供たちの幸福のみ!』』』』
『良かろう、行くぞ!』
『『『『『『『うぉぉぉぉぉ』』』』』』』
たった数百人とは思えない程の咆哮が響き渡る。
まぁ実際は精霊達も集まってきて声を上げていたので数倍に膨らんでるだけどね。
そして今回の総指揮のアラレオさんに渡す前に何故か決起集会が終わってしまった。
厳しめの鬼軍曹キャラを演じていたらそのまま終わってしまった。
俺はチラリとアラレオさんを見ると目に涙を浮かべ顎が外れんばかり驚き集会が終わったことを悲しんでいた。
ごめんよ……今日は俺のスペシャリテを出すから許してくれ!
決起集会という名のバカ騒ぎの宴会が目的だ。
昼から夕方まで食べて飲み明日に備えるのだ。
今日見た限りでは強行軍として来ても開戦は明日じゃないと無理だからだ。
既に3分の1離間やマヌケの代償になってるんだけど帰る気はないらしい。
「私は要らない子? ねぇねぇねぇ!?」
こう拗ねる酔っ払いのアラレオさんが目下1番の難敵だったりする。
10
お気に入りに追加
2,524
あなたにおすすめの小説
フリーター転生。公爵家に転生したけど継承権が低い件。精霊の加護(チート)を得たので、努力と知識と根性で公爵家当主へと成り上がる
SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
400倍の魔力ってマジ!?魔力が多すぎて範囲攻撃魔法だけとか縛りでしょ
25歳子供部屋在住。彼女なし=年齢のフリーター・バンドマンはある日理不尽にも、バンドリーダでボーカルからクビを宣告され、反論を述べる間もなくガッチャ切りされそんな失意のか、理不尽に言い渡された残業中に急死してしまう。
目が覚めると俺は広大な領地を有するノーフォーク公爵家の長男の息子ユーサー・フォン・ハワードに転生していた。
ユーサーは一度目の人生の漠然とした目標であった『有名になりたい』他人から好かれ、知られる何者かになりたかった。と言う目標を再認識し、二度目の生を悔いの無いように、全力で生きる事を誓うのであった。
しかし、俺が公爵になるためには父の兄弟である次男、三男の息子。つまり従妹達と争う事になってしまい。
ユーサーは富国強兵を掲げ、先ずは小さな事から始めるのであった。
そんな主人公のゆったり成長期!!
異世界転生したらたくさんスキルもらったけど今まで選ばれなかったものだった~魔王討伐は無理な気がする~
宝者来価
ファンタジー
俺は異世界転生者カドマツ。
転生理由は幼い少女を交通事故からかばったこと。
良いとこなしの日々を送っていたが女神様から異世界に転生すると説明された時にはアニメやゲームのような展開を期待したりもした。
例えばモンスターを倒して国を救いヒロインと結ばれるなど。
けれど与えられた【今まで選ばれなかったスキルが使える】 戦闘はおろか日常の役にも立つ気がしない余りものばかり。
同じ転生者でイケメン王子のレイニーに出迎えられ歓迎される。
彼は【スキル:水】を使う最強で理想的な異世界転生者に思えたのだが―――!?
※小説家になろう様にも掲載しています。
転生5回目!? こ、今世は楽しく長生きします!
実川えむ
ファンタジー
猫獣人のロジータ、10歳。
冒険者登録して初めての仕事で、ダンジョンのポーターを務めることになったのに、
なぜか同行したパーティーメンバーによって、ダンジョンの中の真っ暗闇の竪穴に落とされてしまった。
「なーんーでーっ!」
落下しながら、ロジータは前世の記憶というのを思い出した。
ただそれが……前世だけではなく、前々々々世……4回前? の記憶までも思い出してしまった。
ここから、ロジータのスローなライフを目指す、波乱万丈な冒険が始まります。
ご都合主義なので、スルーと流して読んで頂ければありがたいです。
セルフレイティングは念のため。
テンプレな異世界を楽しんでね♪~元おっさんの異世界生活~【加筆修正版】
永倉伊織
ファンタジー
神の力によって異世界に転生した長倉真八(39歳)、転生した世界は彼のよく知る「異世界小説」のような世界だった。
転生した彼の身体は20歳の若者になったが、精神は何故か39歳のおっさんのままだった。
こうして元おっさんとして第2の人生を歩む事になった彼は異世界小説でよくある展開、いわゆるテンプレな出来事に巻き込まれながらも、出逢いや別れ、時には仲間とゆる~い冒険の旅に出たり
授かった能力を使いつつも普通に生きていこうとする、おっさんの物語である。
◇ ◇ ◇
本作は主人公が異世界で「生活」していく事がメインのお話しなので、派手な出来事は起こりません。
序盤は1話あたりの文字数が少なめですが
全体的には1話2000文字前後でサクッと読める内容を目指してます。
転生王子の異世界無双
海凪
ファンタジー
幼い頃から病弱だった俺、柊 悠馬は、ある日神様のミスで死んでしまう。
特別に転生させてもらえることになったんだけど、神様に全部お任せしたら……
魔族とエルフのハーフっていう超ハイスペック王子、エミルとして生まれていた!
それに神様の祝福が凄すぎて俺、強すぎじゃない?どうやら世界に危機が訪れるらしいけど、チートを駆使して俺が救ってみせる!
【味覚創造】は万能です~神様から貰ったチートスキルで異世界一の料理人を目指します~
秋ぶどう
ファンタジー
書籍版(全3巻)発売中!
食べ歩きだけが趣味の男、日之本巡(ひのもとめぐる)。
幻の料理屋を目指す道中で命を落としてしまった彼は、異世界に転生する。
転生時に授かったスキルは、どんな味覚でも作り出せる【味覚創造】。
巡は【味覚創造】を使い、レストランを開くことにした。
美食の都と呼ばれる王都は食に厳しく、レストランやシェフの格付けが激しい世界だけれど、スキルがあれば怖くない。
食べ歩きで得た膨大な味の記憶を生かし、次から次へと絶品料理を生み出す巡。
その味は舌の肥えた王都の人間も唸らせるほどで――!?
これは、食事を愛し食の神に気に入られた男が、異世界に“味覚革命”を起こす物語である。
異世界に転生をしてバリアとアイテム生成スキルで幸せに生活をしたい。
みみっく
ファンタジー
女神様の手違いで通勤途中に気を失い、気が付くと見知らぬ場所だった。目の前には知らない少女が居て、彼女が言うには・・・手違いで俺は死んでしまったらしい。手違いなので新たな世界に転生をさせてくれると言うがモンスターが居る世界だと言うので、バリアとアイテム生成スキルと無限収納を付けてもらえる事になった。幸せに暮らすために行動をしてみる・・・
異世界転生した俺は平和に暮らしたいと願ったのだが
倉田 フラト
ファンタジー
「異世界に転生か再び地球に転生、
どちらが良い?……ですか。」
「異世界転生で。」
即答。
転生の際に何か能力を上げると提案された彼。強大な力を手に入れ英雄になるのも可能、勇者や英雄、ハーレムなんだって可能だったが、彼は「平和に暮らしたい」と言った。何の力も欲しない彼に神様は『コール』と言った念話の様な能力を授け、彼の願いの通り平和に生活が出来る様に転生をしたのだが……そんな彼の願いとは裏腹に家庭の事情で知らぬ間に最強になり……そんなファンタジー大好きな少年が異世界で平和に暮らして――行けたらいいな。ブラコンの姉をもったり、神様に気に入られたりして今日も一日頑張って生きていく物語です。基本的に主人公は強いです、それよりも姉の方が強いです。難しい話は書けないので書きません。軽い気持ちで呼んでくれたら幸いです。
なろうにも数話遅れてますが投稿しております。
誤字脱字など多いと思うので指摘してくれれば即直します。
自分でも見直しますが、ご協力お願いします。
感想の返信はあまりできませんが、しっかりと目を通してます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる