上 下
220 / 296
世界樹を救え?

219話

しおりを挟む

 グロリアスをクリーンで綺麗にして引きづり回していた魔人族を更に追加の紐で連結させてその上にグロリアスを乗せた。

 即席ソリという非道な作品だ!しかし出来は素晴らしく安定度も高いぜ?

 転移で直接中心部に飛んでも良いんだけど世界全土から魔力を強制的に奪われた状態では何が起きるか分からない。

 軽く使って『土の中に居る』なんて笑えないし空間自体もかなり不安定な気がする。
 嫌な予感とは人の獣としての本能が起因になっているから当たる確率の方が高いって前世の昔何かで見た気がする。

 異世界召喚とは前世のラノベイメージではしたい人が命や召喚する人達の魔力を対価として行うことだと思っていたがこの世界は意外とシビアなのか……

 それとも昔に禁止になったとかで世界のルールが変わり全員に認知出来るようになったかだと思う。

 こんな世界に負担をかける術なら確実に抜け駆けは出来ずに強行したら反発が起きるとわかってるからだ。

「はぁ……まいったなぁ。それにあの魔法陣を組み換えした梟何もんだ?」

 ケビンも魔導王の称号を貰ってから初めて魔法陣という知識を得た。
 この世界の魔法陣を使う魔法は基本的に大規模戦術魔法という

 既存の魔法のさらに上に位置する物だと思っている。
 そんな魔法の使用者は見たことがなかった。

 適当に付け足したのなら理解するが今の魔導王から得た知識ならわかるが
 次元を超えた先にある世界から人を引っ張り込み
 そして周囲から世界の全てから魔力を強制徴収する程の大規模魔法にいとも簡単に隷属の魔法陣を組み込むなんて無理だ。

 しかも勇者召喚の魔法陣を見て全てを理解した上の行動だ。
 今の自分では負ける気がする、魔法という分野では8割の確率で力も技術でも敗北するだろう。

「愚者の方の力の…………は使いたくないんだだよなぁ。
 代償が絶妙に効いて来るからなぁ」

 俺はズルズル紐を引きづりながら進んでいく。
 愚者の代償は『やる気の使用料に応じて喪失』だ。

 魔導王の方は『新しい魔法陣の開発は脳内アーカイブに保存』が義務になっている。
 魔導王の方は代償が全てエストの趣味実益になっている。

 これを知ったらクロが真面目に代償を与えたことに不満たらたらだろうな。

 20分程歩くと俺は顔がピクピクとびくついていた。
 目の前には地面から体半分が飛び出した後に暴れたワームが土の上の地上力なく倒れていた。

 土を触ると泥の様な柔らかい土では無く魔力が吸い取られて固くなっていた。

 土とワーム本体の魔力どちらも抜かれて耐えきれなかったのだろう……
 植物を見る限り空中より地中の方が魔力を吸い取った様だな。

 せっかく環境整備をした森も半分程度既に枯れ果てていた。
 ちょうど森の入口からエルフの里まで半分過ぎた所でタビを発見した。

 ちょっとしたイタズラでグロリアスとタビを抱き合わせ紐で縛った。
 あとから仕返しされたとしてもこれはやめられない。


 エルフの里にたどり着くとそこら中に倒れているエルフが居て地獄絵図としていた。
 エルフ族の戦士や先々代の巫女のアラレオさん達は疲れた表情をしているが他の人達を介抱している。

 この人達の魔力量は人よりかなり多いらしいな。
 そして人をソリにして人を回収してきた俺を見てドン引きと魔力量の多さに驚いていた。

「んぎゃぁぁぁイケメン!ちゅー」

「うおっ!? 離れろぉぉぉババァ!!」

 気が付いたタビとグロリアスのコントを見てゲラゲラと笑っていたらアラレオさんに首根っこを捕まれ引っ張られた。

「我々エルフ族には今の世界の変調は分からないしどうしようも無い。
 今回の事件は「勇者召喚だろ?」どこでそれを知った?」

 駆け引きや説明が面倒臭いので途中で遮り答えを言うと眉をひそめてこちらを睨むアラレオさん。

「魔力が抜かれた時に頭痛が酷くてどこかの映像を見せられた。
 どこかのお節介な何者かによってな。下手したら神託なのかもしれないが理由は知らない。
 そして勇者召喚の魔法陣に隷属の魔法陣を掛け合わせた黒幕が居る。

 必ず問題を起こす頭の痛い思想の持ち主だ」

「ま、待て……魔法陣を理解出来るのは職業や偉業系称号の持ち主だけだ。
 ケビン君の称号を聞いても良いかい?
 私のは巫女と世界樹の友だ」

 俺は少し悩んだ後に

「愚者の魔導王だ」

「ん? んん? 何それ?」

 俺は2人の神に祝福されたことを伝えると少し頭が痛そうにしていたが理解は得られた。

「これからどうするんだい?」

「奴らは人種や高貴なる者以外要らないし頂点に立つと言っていたから必ずここにも攻め込んでくる。
 非道と謗られようがなんだろうが、勇者と呼ばれる者達が少年少女だろうが……解放できなければ……殺るよ」

 俺は言葉を紡ぎながらも大切な場所や人を壊されると考えれば許すことが出来ないと感情が昂った。

 アラレオさんはその感情にあてられたのだろう額に汗をかいていた。

「そうか……なら私達も協力はなるべくする。世界樹だけは護らないといけないからな」

 俺達がそう言って手を取り合おうとした時に上からバカが降ってきた。

『グハハハ! 我も手伝うぞぉ! 降臨しておって良かったグェ!?』

 アラレオさん? その残念な物を見る目はやめてあげて俺も完全に同意するけれどさ

「ケビンあれ知り合い?」

「一応知り合いっすね、あ……やっぱ無し。顔見知りです」

 結界をバンバン叩いて『入れてよぉぉ』と泣いている龍神を見て顔見知りにグレードダウンした。

「へぇ、それで誰?」

「ん? 龍神ですよ?」

「え?」

 その言葉にアラレオさんが完全に壊れた……
しおりを挟む
感想 74

あなたにおすすめの小説

フリーター転生。公爵家に転生したけど継承権が低い件。精霊の加護(チート)を得たので、努力と知識と根性で公爵家当主へと成り上がる 

SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
400倍の魔力ってマジ!?魔力が多すぎて範囲攻撃魔法だけとか縛りでしょ 25歳子供部屋在住。彼女なし=年齢のフリーター・バンドマンはある日理不尽にも、バンドリーダでボーカルからクビを宣告され、反論を述べる間もなくガッチャ切りされそんな失意のか、理不尽に言い渡された残業中に急死してしまう。  目が覚めると俺は広大な領地を有するノーフォーク公爵家の長男の息子ユーサー・フォン・ハワードに転生していた。 ユーサーは一度目の人生の漠然とした目標であった『有名になりたい』他人から好かれ、知られる何者かになりたかった。と言う目標を再認識し、二度目の生を悔いの無いように、全力で生きる事を誓うのであった。 しかし、俺が公爵になるためには父の兄弟である次男、三男の息子。つまり従妹達と争う事になってしまい。 ユーサーは富国強兵を掲げ、先ずは小さな事から始めるのであった。 そんな主人公のゆったり成長期!!

異世界転生したらたくさんスキルもらったけど今まで選ばれなかったものだった~魔王討伐は無理な気がする~

宝者来価
ファンタジー
俺は異世界転生者カドマツ。 転生理由は幼い少女を交通事故からかばったこと。 良いとこなしの日々を送っていたが女神様から異世界に転生すると説明された時にはアニメやゲームのような展開を期待したりもした。 例えばモンスターを倒して国を救いヒロインと結ばれるなど。 けれど与えられた【今まで選ばれなかったスキルが使える】 戦闘はおろか日常の役にも立つ気がしない余りものばかり。 同じ転生者でイケメン王子のレイニーに出迎えられ歓迎される。 彼は【スキル:水】を使う最強で理想的な異世界転生者に思えたのだが―――!? ※小説家になろう様にも掲載しています。

転生5回目!? こ、今世は楽しく長生きします! 

実川えむ
ファンタジー
猫獣人のロジータ、10歳。 冒険者登録して初めての仕事で、ダンジョンのポーターを務めることになったのに、 なぜか同行したパーティーメンバーによって、ダンジョンの中の真っ暗闇の竪穴に落とされてしまった。 「なーんーでーっ!」 落下しながら、ロジータは前世の記憶というのを思い出した。 ただそれが……前世だけではなく、前々々々世……4回前? の記憶までも思い出してしまった。 ここから、ロジータのスローなライフを目指す、波乱万丈な冒険が始まります。 ご都合主義なので、スルーと流して読んで頂ければありがたいです。 セルフレイティングは念のため。

テンプレな異世界を楽しんでね♪~元おっさんの異世界生活~【加筆修正版】

永倉伊織
ファンタジー
神の力によって異世界に転生した長倉真八(39歳)、転生した世界は彼のよく知る「異世界小説」のような世界だった。 転生した彼の身体は20歳の若者になったが、精神は何故か39歳のおっさんのままだった。 こうして元おっさんとして第2の人生を歩む事になった彼は異世界小説でよくある展開、いわゆるテンプレな出来事に巻き込まれながらも、出逢いや別れ、時には仲間とゆる~い冒険の旅に出たり 授かった能力を使いつつも普通に生きていこうとする、おっさんの物語である。 ◇ ◇ ◇ 本作は主人公が異世界で「生活」していく事がメインのお話しなので、派手な出来事は起こりません。 序盤は1話あたりの文字数が少なめですが 全体的には1話2000文字前後でサクッと読める内容を目指してます。

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

【味覚創造】は万能です~神様から貰ったチートスキルで異世界一の料理人を目指します~

秋ぶどう
ファンタジー
書籍版(全3巻)発売中! 食べ歩きだけが趣味の男、日之本巡(ひのもとめぐる)。 幻の料理屋を目指す道中で命を落としてしまった彼は、異世界に転生する。 転生時に授かったスキルは、どんな味覚でも作り出せる【味覚創造】。 巡は【味覚創造】を使い、レストランを開くことにした。 美食の都と呼ばれる王都は食に厳しく、レストランやシェフの格付けが激しい世界だけれど、スキルがあれば怖くない。 食べ歩きで得た膨大な味の記憶を生かし、次から次へと絶品料理を生み出す巡。 その味は舌の肥えた王都の人間も唸らせるほどで――!? これは、食事を愛し食の神に気に入られた男が、異世界に“味覚革命”を起こす物語である。

転生王子の異世界無双

海凪
ファンタジー
 幼い頃から病弱だった俺、柊 悠馬は、ある日神様のミスで死んでしまう。  特別に転生させてもらえることになったんだけど、神様に全部お任せしたら……  魔族とエルフのハーフっていう超ハイスペック王子、エミルとして生まれていた!  それに神様の祝福が凄すぎて俺、強すぎじゃない?どうやら世界に危機が訪れるらしいけど、チートを駆使して俺が救ってみせる!

異世界に転生をしてバリアとアイテム生成スキルで幸せに生活をしたい。

みみっく
ファンタジー
女神様の手違いで通勤途中に気を失い、気が付くと見知らぬ場所だった。目の前には知らない少女が居て、彼女が言うには・・・手違いで俺は死んでしまったらしい。手違いなので新たな世界に転生をさせてくれると言うがモンスターが居る世界だと言うので、バリアとアイテム生成スキルと無限収納を付けてもらえる事になった。幸せに暮らすために行動をしてみる・・・

処理中です...