219 / 296
世界樹を救え?
218話
しおりを挟む俺は今、グロリアスとタビを追いかけている。
「うーらーみー」
と巫山戯てます!! 尋問用の魔人族? え?
ランデブーに向かう車のアルミ缶の如く引きづられてますが? なにか?
しかも複数人。
それを見たグロリアスが逃げるもんだから調子に乗って俺も引きづり回して
そんなお巫山戯の最中に空が暗くなった。
全世界が多分空を見上げるほど暗くなったのだ。
そして……それは起こった。
体から力が抜け立てなくなる、よく見ると植物が萎れて行く?
「な、なんだ……?」
俺が見えたのは泡を吹いて倒れている魔人族とぶっ倒れているグロリアスだった。
体から抜けたそれは粒子になり同じ方向に向かい最後に見た光景は光の柱が空に向かって立ち上って居た所だった。
◇
少し時間が戻り、ケビンが魔人族と応戦している時とある場所では20人の人が集まっていた。
「さて、皆様方。我らの時代が始まろうとしている。
昨今では我らを化石貴族や旧型等バカにするゴミや穢れた血が多い!!」
自分の言葉に酔いしれ机を叩き立ち上がったその男性は歯茎を剥き出しにして叫んでいた。
「平民や亜人等我らの餌であり養分で価値のない物だ! それを人権だ、統治は要らないだふざけるなぁ!!
皇帝に相応しいのは我だと言うのに」
『くぷぷ、その通りだ。人は高貴なる血だけが残ればそれで良い。
獣やモドキ等ペット以下の価値しか無い。
我に任せよ、知恵を与えよう』
「「そうだ!そうだ!」」
そう掛け声をかける周りの人間は狂って見えた。
男性の肩には1羽の梟が乗っていた。
言葉を操りし高位の存在である。
『それでずっと計画していた禁書庫の中にアレはあったのか?』
そういうと合いの手や同意を大声で叫んでいた全員が静かになる。
「おぉ、ありましたぞ! 勇者召喚の魔法陣です!
こちらの鎖の封印すら解ければ何時でも始めれます!」
そう言って机の上に置いたのは人が持つには男性でも重いと感じる程の厚さの本だった。
更に絶対に開かせないように何重にも鎖と鍵が着いており封印されていた。
『ふははは! 異世界を恐れる下等種族が我らを阻めること等出来んのだ!!
『解錠』 『呪破壊』 『罠消去』
さぁ開け教えてやれこの世界の覇権の主は誰かをな!』
「「「「「うぉぉぉぉ! それは我ら帝国の純貴族で本物の貴族の物也!」」」」」
中央に居た男性が本を開くと床に巨大な魔法陣が刻印される。
そして全員がその刻印に血を流し込む。
『ふふふ、こんな自由意志しかない召喚なぞゴミだな! これをこうすれば隷属の効果も出せるぞ!
この世界で魔法陣を理解できるのは賢者の我だけだからな!ふははは!』
血で満たされた刻印が光り輝き形を変える。
「おぉ……本当に賢王様が見つかり我らは神の思し召しを感じますぞぉぉ」
『さぁ貴様ら詠唱せよ!』
【星が流れ、消えてなくなるその摂理に逆らいし者達よ
危機に立ち向かい次元を越えし顕現せよ
運命に導かれし勇天の将よ、我ら人々の希望の戦士よその武猛により道を切り開け。
全てを捧げし星の力を持って現れよ】
『「「「「勇者召喚」」」」』
魔法陣に流した血の効果によりここに居た全員の魔力は吸われなかった。
それどころか光り輝く柱の中で天空より降臨してきた少年少女達を見て只管欲望を膨らませていた。
この場所に居た連中にとっては一瞬だったが外を見ると数多くの人が倒れていた。
その為、長い間召喚儀式をしていたのだろうと感じていた。
すると5人の少年少女達は目を覚ましこちらを見てくる。
男2人に女3人……素晴らしいなぁ。
下卑た笑みを浮かべると少年少女達は騒ぎ始めた。
「黙れ!! 貴様らは神より呼ばれた勇者だ。
この世界はゴミが多すぎるそれを排除しろ私の名は……イースティア王国国王ゴッドⅠ世だ。
この世界には要らない物が沢山あるんだ。
やれるな? これはお願いでは無い命令だ」
少年少女達は涙を流し1人の少女が拒否しようとした時だった。
首に紋章が浮かび上がり赤く光ったと思ったら首から雷の様な物が出たのた。
「ぎゃあああ」
「ふむ、貴様命令を拒否しようとしたな?
後で罰を与えよう。他の連中にはきっちり教育してやろうか!はっはっはっ!」
そういうと気絶した少女の髪を引きずり王と言った存在は出ていったがニヤニヤしている欲望の堕落者達は止まることを知らない。
そんな時、1羽の梟が少年少女へ語りかける。
『全ての命令を遂行したら元の世界へ帰してやろう。それまでは生き延びることだけを考え強くなるが良い』
勇者召喚された少年少女達の目に光が戻り全員が出て行く。
ポツリと残った賢者を自称する梟は笑う。
『欲望に塗れた豚と純粋無垢なる少年少女……くっくっく。
どこまでも堕ちて行くだろうなぁ……まぁ希望が壊れた時の落差かあればある程堕ちる深度も変わるだろう。
帰る方法等無いのになぁ』
影には梟とは思えない程の巨大な影が映っていた。
◇
ケビンは頭がクラクラとしてガンガンと叩き込まれた様に痛かった。
「嘘だよな……? これもしかして緊急事態の神託なのか?」
周りを見渡すと異変が起きて居た。
世界樹の周りにあった魔力が溜まりすぎて沼地になっていた森が普通の土に戻る位魔力が吸い取られていた。
こんな現象と先程の気絶寸前の光景を思い出して判断するとなると不味いな。
俺は心の中で創造神に願った。
勇者召喚? とやらは知らんがこの世界のくだらない理由で尊厳が踏みにじられたら神界にまで行って滅ぼすからな?
「魔力枯渇なんていつ以来だろうなぁ……吐きそう」
ちょっとえずきそうになってグロリアスを確認したらえずいて吐いてた上に悲惨なことになっていた。
11
お気に入りに追加
2,533
あなたにおすすめの小説
幸福の魔法使い〜ただの転生者が史上最高の魔法使いになるまで〜
霊鬼
ファンタジー
生まれつき魔力が見えるという特異体質を持つ現代日本の会社員、草薙真はある日死んでしまう。しかし何故か目を覚ませば自分が幼い子供に戻っていて……?
生まれ直した彼の目的は、ずっと憧れていた魔法を極めること。様々な地へ訪れ、様々な人と会い、平凡な彼はやがて英雄へと成り上がっていく。
これは、ただの転生者が、やがて史上最高の魔法使いになるまでの物語である。
(小説家になろう様、カクヨム様にも掲載をしています。)
転生王子の異世界無双
海凪
ファンタジー
幼い頃から病弱だった俺、柊 悠馬は、ある日神様のミスで死んでしまう。
特別に転生させてもらえることになったんだけど、神様に全部お任せしたら……
魔族とエルフのハーフっていう超ハイスペック王子、エミルとして生まれていた!
それに神様の祝福が凄すぎて俺、強すぎじゃない?どうやら世界に危機が訪れるらしいけど、チートを駆使して俺が救ってみせる!
悪役貴族の四男に転生した俺は、怠惰で自由な生活がしたいので、自由気ままな冒険者生活(スローライフ)を始めたかった。
SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
俺は何もしてないのに兄達のせいで悪役貴族扱いされているんだが……
アーノルドは名門貴族クローリー家の四男に転生した。家の掲げる独立独行の家訓のため、剣技に魔術果ては鍛冶師の技術を身に着けた。
そして15歳となった現在。アーノルドは、魔剣士を育成する教育機関に入学するのだが、親戚や上の兄達のせいで悪役扱いをされ、付いた渾名は【悪役公子】。
実家ではやりたくもない【付与魔術】をやらされ、学園に通っていても心の無い言葉を投げかけられる日々に嫌気がさした俺は、自由を求めて冒険者になる事にした。
剣術ではなく刀を打ち刀を使う彼は、憧れの自由と、美味いメシとスローライフを求めて、時に戦い。時にメシを食らい、時に剣を打つ。
アーノルドの第二の人生が幕を開ける。しかし、同級生で仲の悪いメイザース家の娘ミナに学園での態度が演技だと知られてしまい。アーノルドの理想の生活は、ハチャメチャなものになって行く。
元34才独身営業マンの転生日記 〜もらい物のチートスキルと鍛え抜いた処世術が大いに役立ちそうです〜
ちゃぶ台
ファンタジー
彼女いない歴=年齢=34年の近藤涼介は、プライベートでは超奥手だが、ビジネスの世界では無類の強さを発揮するスーパーセールスマンだった。
社内の人間からも取引先の人間からも一目置かれる彼だったが、不運な事故に巻き込まれあっけなく死亡してしまう。
せめて「男」になって死にたかった……
そんなあまりに不憫な近藤に神様らしき男が手を差し伸べ、近藤は異世界にて人生をやり直すことになった!
もらい物のチートスキルと持ち前のビジネスセンスで仲間を増やし、今度こそ彼女を作って幸せな人生を送ることを目指した一人の男の挑戦の日々を綴ったお話です!
システムバグで輪廻の輪から外れましたが、便利グッズ詰め合わせ付きで他の星に転生しました。
大国 鹿児
ファンタジー
輪廻転生のシステムのバグで輪廻の輪から外れちゃった!
でも神様から便利なチートグッズ(笑)の詰め合わせをもらって、
他の星に転生しました!特に使命も無いなら自由気ままに生きてみよう!
主人公はチート無双するのか!? それともハーレムか!?
はたまた、壮大なファンタジーが始まるのか!?
いえ、実は単なる趣味全開の主人公です。
色々な秘密がだんだん明らかになりますので、ゆっくりとお楽しみください。
*** 作品について ***
この作品は、真面目なチート物ではありません。
コメディーやギャグ要素やネタの多い作品となっております
重厚な世界観や派手な戦闘描写、ざまあ展開などをお求めの方は、
この作品をスルーして下さい。
*カクヨム様,小説家になろう様でも、別PNで先行して投稿しております。
異世界転生!俺はここで生きていく
おとなのふりかけ紅鮭
ファンタジー
俺の名前は長瀬達也。特に特徴のない、その辺の高校生男子だ。
同じクラスの女の子に恋をしているが、告白も出来ずにいるチキン野郎である。
今日も部活の朝練に向かう為朝も早くに家を出た。
だけど、俺は朝練に向かう途中で事故にあってしまう。
意識を失った後、目覚めたらそこは俺の知らない世界だった!
魔法あり、剣あり、ドラゴンあり!のまさに小説で読んだファンタジーの世界。
俺はそんな世界で冒険者として生きて行く事になる、はずだったのだが、何やら色々と問題が起きそうな世界だったようだ。
それでも俺は楽しくこの新しい生を歩んで行くのだ!
小説家になろうでも投稿しています。
メインはあちらですが、こちらも同じように投稿していきます。
宜しくお願いします。
転生したらチートでした
ユナネコ
ファンタジー
通り魔に刺されそうになっていた親友を助けたら死んじゃってまさかの転生!?物語だけの話だと思ってたけど、まさかほんとにあるなんて!よし、第二の人生楽しむぞー!!
称号チートで異世界ハッピーライフ!~お願いしたスキルよりも女神様からもらった称号がチートすぎて無双状態です~
しらかめこう
ファンタジー
「これ、スキルよりも称号の方がチートじゃね?」
病により急死した主人公、突然現れた女神によって異世界へと転生することに?!
女神から様々なスキルを授かったが、それよりも想像以上の効果があったチート称号によって超ハイスピードで強くなっていく。
そして気づいた時にはすでに世界最強になっていた!?
そんな主人公の新しい人生が平穏であるはずもなく、行く先々で様々な面倒ごとに巻き込まれてしまう...?!
しかし、この世界で出会った友や愛するヒロインたちとの幸せで平穏な生活を手に入れるためにどんな無理難題がやってこようと最強の力で無双する!主人公たちが平穏なハッピーエンドに辿り着くまでの壮大な物語。
異世界転生の王道を行く最強無双劇!!!
ときにのんびり!そしてシリアス。楽しい異世界ライフのスタートだ!!
小説家になろう、カクヨム等、各種投稿サイトにて連載中。毎週金・土・日の18時ごろに最新話を投稿予定!!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる