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世界樹を救え?

218話

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 俺は今、グロリアスとタビを追いかけている。

「うーらーみー」

 と巫山戯てます!! 尋問用の魔人族? え?
 ランデブーに向かう車のアルミ缶の如く引きづられてますが? なにか?

 しかも複数人。
 それを見たグロリアスが逃げるもんだから調子に乗って俺も引きづり回して

 そんなお巫山戯の最中に空が暗くなった。
 全世界が多分空を見上げるほど暗くなったのだ。

 そして……それは起こった。
 体から力が抜け立てなくなる、よく見ると植物が萎れて行く?

「な、なんだ……?」

 俺が見えたのは泡を吹いて倒れている魔人族とぶっ倒れているグロリアスだった。

 体から抜けたそれは粒子になり同じ方向に向かい最後に見た光景は光の柱が空に向かって立ち上って居た所だった。




 少し時間が戻り、ケビンが魔人族と応戦している時とある場所では20人の人が集まっていた。

「さて、皆様方。我らの時代が始まろうとしている。
 昨今では我らを化石貴族や旧型等バカにするゴミや穢れた血が多い!!」

 自分の言葉に酔いしれ机を叩き立ち上がったその男性は歯茎を剥き出しにして叫んでいた。

「平民や亜人等我らの餌であり養分で価値のない物だ! それを人権だ、統治は要らないだふざけるなぁ!!

 皇帝に相応しいのは我だと言うのに」

『くぷぷ、その通りだ。人は高貴なる血だけが残ればそれで良い。
 獣やモドキ等ペット以下の価値しか無い。
 我に任せよ、知恵を与えよう』

「「そうだ!そうだ!」」

 そう掛け声をかける周りの人間は狂って見えた。

 男性の肩には1羽の梟が乗っていた。
 言葉を操りし高位の存在である。

『それでずっと計画していた禁書庫の中にアレはあったのか?』

 そういうと合いの手や同意を大声で叫んでいた全員が静かになる。

「おぉ、ありましたぞ! 勇者召喚の魔法陣です!
 こちらの鎖の封印すら解ければ何時でも始めれます!」

 そう言って机の上に置いたのは人が持つには男性でも重いと感じる程の厚さの本だった。
 更に絶対に開かせないように何重にも鎖と鍵が着いており封印されていた。

『ふははは! 異世界を恐れる下等種族が我らを阻めること等出来んのだ!!
『解錠』アンロック 『呪破壊』カースブレイク 『罠消去』トラップデリート
 さぁ開け教えてやれこの世界の覇権の主は誰かをな!』

「「「「「うぉぉぉぉ! それは我ら帝国の純貴族で本物の貴族の物也!」」」」」

 中央に居た男性が本を開くと床に巨大な魔法陣が刻印される。
 そして全員がその刻印に血を流し込む。

『ふふふ、こんな自由意志しかない召喚なぞゴミだな! これをこうすれば隷属の効果も出せるぞ!
 この世界で魔法陣を理解できるのは賢者の我だけだからな!ふははは!』

 血で満たされた刻印が光り輝き形を変える。


「おぉ……本当に賢王様が見つかり我らは神の思し召しを感じますぞぉぉ」

『さぁ貴様ら詠唱せよ!』

【星が流れ、消えてなくなるその摂理に逆らいし者達よ
 危機に立ち向かい次元を越えし顕現せよ
 運命に導かれし勇天の将よ、我ら人々の希望の戦士よその武猛により道を切り開け。

 全てを捧げし星の力を持って現れよ】

『「「「「勇者召喚」」」」』

 魔法陣に流した血の効果によりここに居た全員の魔力は吸われなかった。
 それどころか光り輝く柱の中で天空より降臨してきた少年少女達を見て只管欲望を膨らませていた。

 この場所に居た連中にとっては一瞬だったが外を見ると数多くの人が倒れていた。
 その為、長い間召喚儀式をしていたのだろうと感じていた。

 すると5人の少年少女達は目を覚ましこちらを見てくる。
 男2人に女3人……素晴らしいなぁ。

 下卑た笑みを浮かべると少年少女達は騒ぎ始めた。

!! 貴様らは神より呼ばれた勇者だ。
 この世界はゴミが多すぎるそれを排除しろ私の名は……イースティア王国国王ゴッドⅠ世だ。
この世界には要らない物が沢山あるんだ。

やれるな? これはお願いでは無いだ」

 少年少女達は涙を流し1人の少女が拒否しようとした時だった。
 首に紋章が浮かび上がり赤く光ったと思ったら首から雷の様な物が出たのた。

「ぎゃあああ」

「ふむ、貴様命令を拒否しようとしたな?
 後で罰を与えよう。他の連中にはきっちり教育してやろうか!はっはっはっ!」

 そういうと気絶した少女の髪を引きずり王と言った存在は出ていったがニヤニヤしている欲望の堕落者達は止まることを知らない。

 そんな時、1羽の梟が少年少女へ語りかける。

『全ての命令を遂行したら元の世界へ帰してやろう。それまでは生き延びることだけを考え強くなるが良い』

 勇者召喚された少年少女達の目に光が戻り全員が出て行く。
 ポツリと残った賢者を自称する梟は笑う。

『欲望に塗れた豚と純粋無垢なる少年少女……くっくっく。
 どこまでも堕ちて行くだろうなぁ……まぁ希望が壊れた時の落差かあればある程堕ちる深度も変わるだろう。

 帰る方法等無いのになぁ』

 影には梟とは思えない程の巨大な影が映っていた。




 ケビンは頭がクラクラとしてガンガンと叩き込まれた様に痛かった。

「嘘だよな……? これもしかして緊急事態の神託なのか?」

 周りを見渡すと異変が起きて居た。
 世界樹の周りにあった魔力が溜まりすぎて沼地になっていた森が普通の土に戻る位魔力が吸い取られていた。

 こんな現象と先程の気絶寸前の光景を思い出して判断するとなると不味いな。

 俺は心の中で創造神に願った。
 勇者召喚? とやらは知らんがこの世界のくだらない理由で尊厳が踏みにじられたら神界にまで行って滅ぼすからな?

 「魔力枯渇なんていつ以来だろうなぁ……吐きそう」

 ちょっとえずきそうになってグロリアスを確認したらえずいて吐いてた上に悲惨なことになっていた。
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