変人奇人喜んで!!貴族転生〜面倒な貴族にはなりたくない!〜

赤井水

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世界樹を救え?

215話

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 今、俺達は遂に……世界樹の根元へと向かっていた。

 そこは厳かな雰囲気だったり神聖な空気がある訳でもない寒村だった。

「廃れてるねぇ~」

 俺はそう言って巫女を見る。
 そして外縁部にある家は木造の素朴で質素な……言い繕うのはやめよう。

 中心に行けば行くほど建物の様式が変わっていく。

「誇り高き一族ね……選民意識高すぎて処理出来なくなって同族すら貶める種族が誇り高いのかね?」

 そう言って世界樹の精霊と巫女を睨んでいた。
 俺には言語理解というチートがある。本来であれば理解できない言語や文字を簡単に読め話せ聞こえる。

 建物の様式が変わる間に建っている看板には

『○○等級民は立ち入りを禁ずる』

 と区別では無く、差別のような文言が書いてあった。
 そして中心部の住民はほぼ居らず外縁部のみすぼらしい建物には立ち上がることが出来ない程疲れた顔をしていたりやせ細ったエルフ族が座り込んでいた。

 中心部にある世界樹の横には多分巫女の家とその横にはため池の前に石像……?
 魔力感知をしてみるとこの石像は生きてる。

「おい、巫女こいつなんだ?」

 俺の視線から外れボソボソと言っていて何を言っているか分からない。
 それに見兼ねて世界樹の精霊が答えた。

『エルフ族の英霊。過去の神罰で攻めいられた時にこの里を守ろうとして呪いをかけられた子達よ。
 この中には先々代のハイエルフも居るわ』

 俺はその言葉にニヤリと笑う、前神罰とやらはかなり昔のことで今生き残ってる奴らに知ってる連中は指の数居ればいいはずだからだ。

 そしてこの頼りない巫女がこの里で最高権力者というのが気に入らない。
 つまり神罰でやられたこいつらは魔力を感じるということは生きてる。

 俺は右眼の目の前に魔法陣を出してその石像を見る。
 ふむふむ……? 石化に時間停止? それに保全恐ろしいな。

 一切壊れないしそのまま晒し者になっておけという悪意を感じた。

「おい、世界樹。力貸せ、俺がお前に魔力を渡すからお前の聖なる魔力を寄越せ」

 キョトンとした表情の世界樹の精霊だったが言われた通りに俺が渡した魔力を聖なる魔力に変えて
 俺が石像達の足下に魔法陣を魔力で書いてそこに聖なる魔力を流し込む。

 そして詠唱句を唱える。

「呪縛解呪」アンチカーズ

 すると魔力をどんどんと吸い込み足下の魔法陣から光が空へ昇り始める。

 石像が光り輝き始め、神罰ということで多分こいつらを石化させたのは神級魔物となる。
 そんな相手の呪いを破壊するには同じ神と同等位の世界樹の精霊の魔力で対抗するのだ。

 世界樹の本質は浄化だからだ。
 空気中にある世界の澱んだ魔素を吸い取り綺麗にして行く異世界版超巨大空気清浄機なのだから。

 俺の魔力の強度もどんどんと上げていく。
 聖なる魔力の浄化と俺の魔力のクロのお気に入りが使える
 破壊属性の魔力で呪いを破壊しながら浄化するという理論でしているが無理か?

 そんな時、遂に俺の魔力の方が上回り世界樹の精霊の聖属性の白い魔力と
 俺の破壊属性黒い魔力が混ざり灰色の魔力となり魔法陣へと流れ込む。

「おいっ!! 世界樹! お前はエルフは可愛い子なんだろ気合い見せろよ!」

『うるさいっ! 集中させろ!』

 俺の目の前にある魔法陣が先程からブレて新しい何かを表示しようとしている。


 グンッと魔力が世界樹から流れて来て俺も上げる。
 すると目の前の表示が変わった。

『混沌属性』

 となった瞬間に石像が光り輝き石像の周りがポロポロと剥がれ落ちた。

「ここはどこだい? 世界樹様?」

 訝しげに周りを確認した女性が世界樹の精霊を見て世界樹の精霊は泣きながら抱きつく。

 そして俺を見て驚いた様な表情をする。

「随分と高貴な方が来てたのだな。私は世界樹の巫女のアラレオです」

 その先はまずいと思いこちらから言葉を遮った。

「私は世界樹の危機に立ち上がり解決しに来たケビンです。種族は秘密でお願いします。
 元は人族です。貴方が生きて居た時代よりかなり時が経っています」

 色々説明していくとアラレオさんは顔を顰め、元老院? とかいう長老の存在を伝えたら現在の巫女へアイアンクローをした。

 先々代の巫女と同じく石化されていた人達はその姿を見て一言俺達に……

「なぁケビンさん。酒無いかな? アラレオ様は鉄拳制裁当たり前だからあれを見て俺達は酒を飲むのがエルフ族の戦士って奴だ」

 そんな時にグロリアスが「あっ!?」と驚いた表情をする。

「ケビン! 酒を渡してやってくれ。この方達は尊敬に値する人達だ。
 魔国の初期同盟時代の方達だ! 人族や獣人族は昔から1人ひとりの寿命が長く魔人族やエルフ、ドワーフ族が国を持つのに反発したんだ。

 その時に世界樹戦争というここで戦争をしようとしたのに怒った神が全ての種族に罰を与えたのが神罰の始まりだ」

 へぇ……すげぇな。
 俺は秘蔵のお酒をエルフ族の戦士に渡すと全員の顔が光り輝やいた。

 エルフ族の立て直しはこの人達に任せるか。

 俺達は外縁部に廃れている方に行き全員で料理を作り炊き出しをすることにした。
 その様子を遠くから見ていたのは女性のエルフ族の戦士達だった。

 俺の周りには多種族が多いのでかなり珍しいからな。世界樹戦争なんてしようとしていた時代の生き残りだからな。

 そして外縁部のエルフ族はいい人ばかりだった。
 街に来て欲しいな……なんて思ってしまうのだった。
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