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世界樹を救え?

209話

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 あれから数日で外縁部分の間伐や土壌改良を行ってきたが……1つだけおかしな点があった。

「エルフの国に入る正規ルートが見つからないんだが?」

 カイナも慌てていた、カイナの知る正規ルートの場所に行ってもそこに道は無く鬱蒼とした森しか無かったからだ。

 それに世界樹も森への魔力の供給を止めるつもりは無いらしい。
 寧ろ、間伐のおかげで各樹木に渡せる魔力が増えて森自体が俺達の侵入を拒む様にも見える。

 世界樹と言った神話の生物に魔力制御で勝てたとしても魔力量でゴリ押しされたら意味無いから接続自体を切ろうとはしてない。

 そして先程から甘い匂いが漂い始め、俺の周りに居る闇の精霊達が慌ただしく動いている。

「ふむ? 何が居るのかな? 十中八九アイツだろうなぁ」

 ぐんぐんその匂いの発生源に向かうと樹木の中に女性の様な奴が居てそのまわりにはウツボカズラの様な巨大な植物系魔物がひしめいていた。

「そんな甘い匂い出した所でこんな奥地に入ってくる魔物や生物はいないんだけどな」

 コイツらは本来は虫系の魔物を引き寄せ食べる植物なのにね。

『君らどうしてここに来たの?』

 あ、ドライアドって精霊に近しい魔物だっけ?
 人型だけあって流石に言葉は交わせるか。

「ん? 世界樹やエルフが間違った知識を使って無駄な魔力を使ってるから正しにきたが、現状拒否されてるしエルフ族も敵対するだろうからぶっ飛ばしに来た」

 ドライアドの女性は手を横に振ると周りに居たウツボカズラみたいな多分プラントが離れていった。

『君と君が誘引の耐性が高過ぎる。他の人は防御してるからその内勝てるけど貴方達は無理』

 指をさされたのは俺とグロリアスだ、薬師に植物系の状態異常は効かないぞ?
 幼少期から状態異常にかかる薬物を扱い耐性を付けるのが当たり前の職業だしな。

 俺の場合は漏れ出てる魔力を勝手に吸っては状態異常をガードしてくれる精霊が居るからな。

『世界樹、疲れてる。でも私達世界樹の派生。逆らえない、生き物居なくなった。森広げられない』


 シュンとするドライアドに俺はどう答えたら良いのか分からなかった。

「いやワーム呼び込むまでぐちゃぐちゃになった土壌では植物もその内枯れるだろうさ」

『ダメ、ゼッタイ! それだけは……』

 そんなこと言われてもなぁ? 

「んで? ドライアドはなんて言ってるさね?」

 グロリアスはそう俺に問いかけてきた。はて? 普通に話してるじゃないか?

「はぁ……あんた土竜の時もそうだったけどアタシ達には全く言葉を交わしてる様に見えなかったよ」

 言語理解の理不尽さを目の当たりにした気がするよ。

「状態異常に俺とババアがかからないことと、世界樹の疲弊が酷いがドライアド達も聞き入れて貰えないらしい」

 そう言うとグロリアスはポーチから1本の瓶を取り出しドライアドにぶっかけた。
 最初は驚いた顔をしていたドライアドだったが……

『これ! 凄い美味しい! 好き! 仲間になる!』

 俺はそのままグロリアスに伝えるとグロリアスに契約の魔法陣を書けと言われる。

「はぁ? 契約の魔法陣なんてしら……うわぁこの感覚気持ち悪いなぁ」

 口に魔法陣の名前を出した途端全く無い知識の筈が頭の中で魔法陣が浮かんだのだ。
 嫌な顔をしつつも俺は魔法陣を書く、そしてお互いの契約の条件を翻訳して互いに魔力を注ぐと

「アドちゃんさね! これで世界樹の縛りからは抜けられたね? さて! 行くよ!」

 俺は魔法陣を消し1つ疑問に思ったことを聞  いてみる。

「ババアは何で契約の魔法陣なんて知ってたんだ?」

 少し渋い顔をした後にグロリアスは話始めた。

「昔は契約の魔法陣は婚姻に使ったり奴隷に使っていたんだよ。
 それにこの契約の魔法陣はお互いに納得した状況じゃないと使えないし
 今の奴隷の様に隷属の首輪も使わないから信頼関係のある者同士でしか使わないものだったんだよ。

 それに隷属の首輪は先に契約がされていると上書きできない特性もあったからね。
 そもそも隷属の首輪は契約の魔法陣の劣化品なんだよ。

 手っ取り早いからと主流になってしまったんだけどね」

「へぇ、めんどくさい。これは本当の話を俺がミスして話さなきゃいい感じだな」

 まぁ、2日もすれば忘れるだろうしな。
 俺は都合の悪いことや面倒事に関しては鳥頭で居ようと心がけている。

 下手に関われば厄災は俺に降ってくるのだからね。
 違法奴隷商や裏の人間にはヨダレものの話だからな。

 ドライアドとプラント型の魔物がめちゃくちゃ有能だ。
 同じ植物系魔物だけあってトレントのいる場所が分かるらしい。

 陽の光が射し込む状況をドライアドに見せると驚いていた。

『木が元気になった? 何故?』

「木が必要な物はな? 陽の光と空気と水と土の中の栄養だ。それを魔力で全て補っていたんだ。
 それが無くなれば世界樹の負担は消えるさ」

 それに俺達どころかカイナですら迷いかけていた森の中をドライアド達は迷うことなく進んでくれる。

 それから更に数日が経ち、半分位の森の間伐が終わり休憩しているとプラントとドライアドが同じ方向を見て震え始めた。

『バケモノきた……』

 表情豊かだなぁなんて思うほどドライアドの顔は真っ青になっていた。

「「ケビンさん」」

 トアとミアは立つことすらキツいらしい。
 俺はあのアホ龍神の経験があるのでそこまで気にしてなかった。

「トア、ミア。自分の身を護りたいと願いながら魔力を循環させろ。龍達も俺達みたいなちょっと魔力が出てる存在を気にしない。
 正し、他の連中には言うぞ? アイツらはプライドが高いから敵意だけは持つな」

 物凄い魔力の塊を結構遠くにぶつけてるのがよく分かる。
 その度に地中に張り巡らされた魔力線に魔力がグンッと流れるのを感じる。

 龍神は元凶を止めるより現状維持を狙ってる……?

「ん? もしかしてアイツ……俺に任せようとしたな?」

 ちょっと仕返ししたろ!

「トア! 厄介事ばかり持ってくる龍神様なんて大嫌いって心で念じてみ?」

「え? あっ!はい!」

 遠くで『グハッ!』という空耳が聞こえた気がする。

「神に喧嘩を売るなんてあんたぐらいだよ……」

 失礼な。多少舐めてるだけだ!


­­--­­--­­--­あとがき­­--­­--­­--

ウツボカズラを知らない人に対しての補足です。

ウツボカズラは筒状になっていて中から甘い匂いを出して虫を食べる食虫植物です。

あまり思い浮かばないという方はポ○モンの植物みたいなウ○ボ○トを思い浮かべてください!

※感想でご指摘? 助言があったのであとがきを訂正しました。

ハエトリソウは食虫植物ですが。
ラフレシアは食虫植物ではありません甘い匂いに惹かれて真ん中には虫だらけですけどね……
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