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世界樹を救え?
206話
しおりを挟む俺達はスティアで1日過ごしたらすぐに旅立つことにした。
あまりにも貴族の腐敗が酷いので多種族を連れ歩く俺達の集団は良くも悪くも目立つのだ。
物資を買い込みマジックボックスに詰め込みまくっているが数分毎に絡みに来るバカが多くて困ってる。
ーープチュン
「んぎゃあぁぁぁ!!」や「ほんぎゃぁぁぁぁ!」
と新たな第2の産声を上げる音と同性の悲鳴の理由にヒュンと股間が寒くなる。
この人達マジで遠慮無く潰すから怖いんだけど……
毎回仕入れの度に勘違いおばちゃん連中に『浮気はダメよ』と諭されるんだけど。
そして門から出ようとすると何故か兵士や騎士が門前に集まってた。
「おい!そこの異種族の連中、止まれ!」
「あー……やり過ぎたかあのバカ貴族の手回しかなぁ?」
と頭を抱えるしかない。
ニヤニヤとしながら近づいて来る嫌悪感をヒシヒシと感じる騎士に俺は目の前に立ち。
「何か用か? そして何故門を閉めている?」
あらら……激高して抜剣する何てこの国大丈夫なのだろうか?
「抜いたな? なら敵だなお前らは」
俺は魔力大鎌で騎士の首を難なく跳ねた。
拡声魔法で全員に警告する。
『こちらはCランク商人とSランク商人のケビンとユリアだ。
ユリアさんは元Sランク冒険者でもある。立ちはだかるというのなら消し炭にしてやろう』
俺とユリアさんは魔圧で威嚇すると全員が膝を土に着けて物理的に土下座の体勢になる。
顔が真っ青だが知らんよねー。
そんな時、門の上から1人の青年が騒ぎ出した。
『おい! 貴様! この俺を誰だと思ってる!
イースティア辺境伯の嫡男のバルメ・イースティアだぞ!』
ん? 辺境伯って嫡男居たか?
俺も応対してみた。
『知らん、イースティア辺境伯に嫡男は居ない筈だ。偽証罪で引っ捕らえるぞ?
あー……そういえば洗礼式でやらかして廃嫡になった奴なら知ってるぞ?』
俺は話してる途中に思い出して声を出すと周りが驚いてる。
『あれ? もしや皇帝陛下に廃嫡を宣言しておいて領内では後継者として育てて居たか?
ゴミだな? さぁ最終警告だ門を開けなければ外交問題にさせてもらおうか?』
『ぐぬぬ、うるさいうるさい! そこの女共を俺に寄越せ! あいつは殺せ!』
そう宣言したが……結局誰も立ち上がれなかった。
『最終警告を無視した事を確認した。この門は破壊させて貰う。
苦情や裁判をしたいなら正式に商業ギルドに問い合わせてくれ。
その前に皇帝陛下に報告が行くがな? 何人の首が飛ぶか楽しみだなぁ?
責任逃れの辺境伯一族よ』
これは帝国で長年言われているイースティア辺境伯の蔑称だ。
俺はそのまま手を目の前に翳して魔力感知で門の周りに人が居ないことを確認して
「さて、祭りの始まりだ『グラヴィティ・ホール』」
薄黒い球体がゆっくりと門に向かう。
『ギャハハ! 何だあのくそ遅い魔法は! くだらねぇぶっころ……は?』
ゆっくりと門に到達した魔法は門をひしゃげさせ『メキョ、バキ』と人があまり聞きたくないような音を立てて崩壊した。
その効果を見た兵士や騎士は口をパクパクとさせた後、こちらに怯えた視線を向けていた。
「あーユリアさん弓貸して」
「壊したら許しませんですの!」
俺は弓を持ち下手だけれど視力を強化して適当に辺境伯の息子に放った。
良い感じにズレて2人隣の騎士の首に当って倒れパニックになり全員を引き連れ逃げていった。
「ありがとうございます!」
因みに勿論ズルはしてるぞ? あの距離を視力強化だけで狙える程俺は弓なんて扱えない。
矢を放った瞬間に風の魔法でブーストしただけだ。
「さて、どうする?」
そう言うと同時に魔圧から解放すると逃げ出してのが6割でこちらに道を開けたのは残りの4割だった。
全ての騎士が逃げたってことはコイツらはあれだよな。
「ここの貴族はゴミだろうが頑張ってくれ。それが嫌なら帝国軍に移動するんだな。
貴族と違い平民の兵士は異動願いを自由に出せる。
邪魔されるなら直接帝都で受理させれば移動できるぞ? 法律で決まってるからな」
そう言うと全員が敬礼をして俺達を通してくれた。
俺の耳に『ピュイ』という音が聞こえたので手を伸ばすと目の前に紙で出来た鳥が止まる。
俺は『受け取った』というと紙の鳥は手紙に早変わりした。
「ふむふむ? ヤバいなぁ俺の資産がまた増えそうだ」
「ケビンさん? また何か作ったんですか?」
トアがキラキラとした目でこちらを見てくるので一言。
「昨日の男爵令嬢の領地のアイツらが気付いてない特産品を作る商会や生産者を軒並み買い叩いた」
「「「「は(え)?」」」」
全員の声が重なったのであった。
そこからはまたゲートを潜りながら移動して野営地までは3時間程走る。
野営の準備をしているとユリアさんが早く話せと急かしてきた。
「ケビン、先程の商会を買った理由を教えてくださいな!」
俺は周りに誰も居ないことを確認してから話し始める。
「あの領地では税金を搾り取り過ぎて商会も生産者もかなり厳しい状態です。
そして貴族も特産品に気付いてないのでこちらで抑えただけですよ?
もしこれからその商会の商品が爆売れしたら?」
「貴族が確保しようと動きますの!」
俺は頷く
「だからその前に条件を提示したんですよ。売れる商品の提案とその後に起きる厄介事を。
個人でやって貴族に搾取されるか? それともそれなりの報酬で俺に商会を売り雇われるかでまぁたったの10しか無かったので簡単に済みました。
生産者は村4つ単位だったので多少大変でしたけどね……
イースティア辺境伯ではその村4つに対しても農作物を作れと言っていた為に
困っていたそうですから商業ギルド経由で農作物は納品することにしました」
その話を聞いて全員が首を傾げ始める。
「それって虚偽の申告になるんじゃ……」
ミアが顔を青くするも俺はケラケラと笑う。
「ならないね。俺の伝手と言うより親父を使って直接皇帝陛下まで連絡するし」
そこで遂にユリアさんが根を上げた。
「その特産品ってなんですのぉぉぉ!」
「魔蚕ですよ、そしてエルフ族の奴隷が沢山居るんですよ?
知識奴隷として買おうかなって、だってエルフ族の服って植物を使った染色ですよね?」
カイナとユリアさんは驚いていたが頷く。
「前にアレンサリーナさんから聞いたんですよ。エルフ族なら全員が1度は染色をしていると、それとこのババァです!」
「グロリアスって自己紹介したもん!」
プンスカ怒るババァ。
「コイツの服見てください、たぶんこっちは鉱石成分の染色か虫による染色による色合いなのでそれらを合わせたら良い服が出来ると思いませんか?」
キラーンと目が光ったことには一切気が付きたく……
「ねぇ? ケビン、私達には優先的に買い取れるんですよね?」
ユリアさん、ですの!はどこ行った?
「そろそろ胸がキツくなってきてねー? ねぇミアちゃん?」
トア、ミア。それは街で買いに行けば……ダメですか。
「あぁでも服飾関係には強くないからなぁ。
これから育てないといけないから今は糸と布を綺麗にする所からですね」
女の人に美と服と宝石の話はダメだったという事に改めて気付くのであった。
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