変人奇人喜んで!!貴族転生〜面倒な貴族にはなりたくない!〜

赤井水

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世界樹を救え?

205話

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 ユリアさんに助けを求めようとすると目を逸らされ。

「お茶が美味いねぇ~」

「おい!ババァ!今更、ババァのフリするんじゃねぇ!!」

 お茶をすすりほのぼのして老婆のフリをするババァに俺は怒鳴っていた。

「ケビン様? 老人には優しくするものですよ?」

 アレンサリーナさん以外は白い目で見ているが事情を知らないアレンサリーナさんはそう言うよね?

「こいつも長命種で実際は変装でこの姿になってるだけで本来の姿はアレンサリーナさんとほぼ同じ位の見た目ですよ!」

 その言葉に驚き、老婆の姿を見ようとしたら既にそこに居たのはお茶をすすりながらクッキーを食べる若い女性の姿だった。

「え? え? この方は?」

「どうも~共和国のとある州都市の元薬師ギルドマスターだったグロリアスでぇーす!」

 そんな自己紹介をしてると全員が驚いた……

「えっ!? 何皆驚いてんのさ?」

「グロリアスって初めて名前聞いたなババァ?」

 俺はそう言うとめちゃくちゃ睨まれた。

「ケビンに自己紹介をしようとすると何かと邪魔されて今までババァで通じていたからね?」

「では、ケビン様だ「よし!早速エルフの国に向かおうか?」ケビン様~」

「ダメでしょうか?」

 そう会話に入ってきたのは扉から顔を出してこちらを覗く女性だった。

「いやぁ多分御本人なんだろうけどね? 入って来ちゃダメでしょ?」

 そう言うとフードを被っていた女性はフードを取りお辞儀をする。

「申し訳ございません。それほど逼迫しているのです……私はカルビノ男爵家長女のマユラでございます」

 赤茶髪の女性はそう言うと綺麗に挨拶してきた。

「ふーんあっそ、こっちはエルフの国に向かう途中の1団だ」

 相当切羽つまってるんだろうけどこうズケズケ来る感じが嫌いだ。
 簡単に言うと先に挨拶させてこちらは無視とは拒絶の意を表明している。

 ポカーンとしているのは平民出身のトアとミアとカイナだけだ。
 3人は『モゴモゴ』しているが他の人に口を塞がれている。

 マユラと名乗った令嬢は眉をひそめた。

「こちらが恥を忍んで挨拶をしたのにそちらはしないのですか?」

「ははっ、それだよそれ。結局本音は俺達に助けを求めて来ておいて権力の笠で下に見てるゴミだよお前ら」

 俺はギルド証を机に投げ捨てた。
 ちなみにその行動にユリアさんも追従して机の上にギルド証を置く。

 ギルド証はランクが上がれば上がるほど発言権が上がる。
 商業ギルドのSランクに横柄な態度を取り滅びた領地がある程なのだ。

「さぁ男爵家令嬢様とCランク商人の俺とSランク商人兼Sランククランの幹部のユリアさん。どちらが偉いんだろうな?」

 俺はニヤリと笑う、アレンサリーナさんはこいつがこんな対応をするなんて思ってなかったんだろう能面の様な表情をしている。

 美人の無表情って怖いよね……

「それと帝国貴族は拒絶の態度の意思表示をされたら時間を置くや距離を置くと習う筈何だけどな? 俺の勘違いだったか?」

 俺は令嬢を軽く睨みつけるとかなり動揺している。

「それに随分とこの街はきな臭い。本当に民の為と言うなら父親に爵位返上とイースティア辺境伯領の現状を報告するのが筋だと思うがな?」

「私のことも知らないで!」

 そう顔を真っ赤にして怒るが俺には響かない。

「知らないね、俺はこの国を捨てた側の人間だしな? 
 何でお前らは民の為とか言ってその座にしがみつく。
 本当に民の為にならないのならその席から退けよ」

 正論に正論を重ねた結果ぐうの音も出ないらしい。
 実は無駄な会話をしつつアレンサリーナさんから貰った資料を読んでいたりする。

 そこには明らかに他領に差がつく様なポイントがあるのに見向きもしてない。

 俺はマジックボックスからペンを取り出し丸をつけてそこの横に『染色または布や糸状態で染められると良い服が出来る』と書いてアレンサリーナさんに渡した。
 その後ろにももう1枚紙を書いて渡した。

「じゃあアレンサリーナさん、2枚目の件も出来たらすぐに行動に、それと買収もよろしく。
 あ、それともし税金とか上げられたらすぐにギルドや帝国皇帝に苦情入れるからと伝えといて」

「かしこまりました」

 申し訳なさそうにお辞儀をするアレンサリーナさん。

「ねぇちょっとさっきから私を無視して、きゃっ!」

 あれは風の精霊術ということはミアか……

「すみません、差し出がましいと思いましたが貴方が手を出そうとした相手はこの組織の実質トップより偉い方と世間的大発明を成されている方ですよ?
 ギルドの要人と帝国の木っ端令嬢どちらをこの辺境伯様は取るのでしょうね?」

 めっちゃ怖っ! 誰? ミアに変なこと教えたのぉぉぉ。
 そんな変な成長を見た俺達は部屋を後にするのだった。




「はぁ……マユラ様? 何故ちゃんとしてくれなかったのですか?
 あの方達2人は総資産で言うと2人合わせれば公爵家にも引けを取らないほどで

 男性の方は永続的に資金が増えていく方ですよ? 
 あっ、その顔は嫁にとか思ってるなら止めたほうがよろしいかとノース辺境伯夫人に消されますよ?」

 顔を青くするマユラ。

「な、何で国を捨てた人間にそんな大物が絡むのよ!?」

 頭が痛い位のキンキン声だった。

「そりゃ国を出た理由が成人前の未承認強制的に爵位を渡そうとされたからよ」

「えっ!? それって……クロス家の……」

 顔が真っ青になった。
 アレンサリーナは昔から情報を幅広く集めていたのでとあることを思い出す。

「昔助けて貰ったのに上から目線でえらそうにしてたら嫌われるよねー」

 これがトドメに見えたがケビンはもう1つ先に手を打つのであった。
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