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共和国編〜好きに生きる為に〜

198話

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 対応しているのはサリアとユリアさんだった。
 同じエルフ族として対応してるんだろうけど何でまたこんなにも偉そうなんだろうな?

 俺は2人のそばに転移する。

「やぁやぁエルフ族のお2人さん。ここは孤児院だ。
 君達みたいな大人が来る様な場所ではないんでな。帰って欲しいんだけど?」

 俺は最初から魔力を滾らせた状態で相対する。

「くっ、何だこの魔力は! 貴様何者だ!名を名乗れ!」

 エルフ族の男性がそう言うけどさ……

「いやここの経営者だけど? それに偉そうにあーだこーだ言わないでくれるかな?
 門の前で騒がれると飲食店の売上にも関わるからね?

 あ……後抜いたら分かってるよね?」

 俺は殺気を2人に飛ばすイメージは大鎌を一瞬で形成し首を跳ねるのを強く想い込む。

 ペタンと女性のエルフは腰が抜けた様だ。
 男性の方は汗がダラダラと流れ落ちる。

「私達は選ばれし光精霊魔法使いだぞ!!」

 男性のエルフはそういうと精霊に魔力を与え始める。
 しかし精霊は困惑して攻撃してこない。

「おい!どうした!?」

「精霊に命令ばかりしてる奴が俺に勝てる訳が無いだろ?
 さぁ、そんな奴捨てて俺の所に?」

 最後の言葉に魔力を含み声を発する。
すると光の精霊はビュンビュンと渦巻き状に飛び俺の所に来た。

 そしてマジックボックスからクッキーを取り出し与える。

「さぁ俺の所に来た対価だ。ありがとう」

 顔を真っ青にした男性のエルフは急に顔を真っ赤にしながら喚き始めた。

「私達を適当に扱いやがって下等種如きが!」

 俺は剣の柄に手をかけたエルフの男性の首に大鎌を引っ掛けニッコリ笑う。

「人族の国に来て下等種扱いねぇ」

 かなりデカい声だったので化け物達が集まって来てしまった。

 エルフの女性の後ろには既にカロンとナギが居てカロンが槍を突きつけてる。
 空にはミアを抱えてメルが飛んでいる。

 そして逃げ道には腕を竜化させたアームさんとトヤと盾を構えるスクテロ。
 俺の横には感情が昂り魔力によって形成される鱗が見え隠れするトアが居た。

「ひぃぃ、何なんだここは! 絶滅したはずの天人族に竜種の気配に」

 するとスキップしながら超絶違和感のある婆さんがやってきた。

「魔人族も居るわさ!」

 お前はまずキャラ決めと言葉使いを設定してから来い!

 エルフの男性は叫びながら走って逃げていった。

「ナギ、住民と警備部と連携して監視しておいて。一応というかほぼ間違いなく不法侵入、不法入国してるから」

「わかった!」

 軽く返答してくれたナギはそのまま転移して居なくなった。

「それで? そちらの女性はまずは名乗ってくれるかな?」

 声をかけるとビクビクとするエルフの女性の顔を見るとどこか見覚え? 似ている人がいる気がする……

「カイナサリーナです。えっと……私の精霊も取り上げられちゃうのですか?」

 ん? んんぅ?

「なぁ? ユリアさん? エルフの名付けって似てる名前は基本的に親族か一族の名前か?」

 質問に答えずに変な質問しているから全員がポカーンとしていた。

「えぇそうですの! 大体姉妹や同性の親族の名前は似てるんですの!」

「もしかしてアレンサリーナさんって妹?それともお姉さん?」

 全員が再びポカーンとしていた。

「えっ!? 姉をご存知なのですか? 家出してから
 かれこれ数百年どこに居るのかも掴めなかったのに!」

 あっ、やっぱりそうなんだ。

「それはあれだよ。ギルドのそこそこのお偉いさんになってるから情報規制してるんだと思う。
 用件聞いたら帝国のクロス領に行けば一応会えるはずだよ?」

「ありがとうございます。それでケビンさんは在宅でしょうか?」

 この一言によりこの場が凍りついた。
 この人天然だなぁ、しっかりもの+ちゃっかり者のお姉さんとは真逆だなぁ。

「うん、今更だけれど俺がケビンだね」

 そう言って笑ってしまった。カイナサリーナさんは顔を真っ赤に俯いてしまった。

「全員撤収! それとエルフ族の人と多分婆さんは応接室に。トアはお茶の用意してくれるとありがたいな?」

「はい!」

「「「撤収~撤収~」」」

「え? 婆さんってアタシのことかな?かな?」

 だからキャラ決めしてこいボケ

「え!?えぇぇぇぇ!!」

 良い混乱による悲鳴を聴けました。
 混乱するカイナサリーナさんを……面倒だからカイナを宥めて応接室に連れてきた。

 カイナの横には婆さん(笑)、俺は奥の端っこでその隣にユリアさんのサリアだ。

 先程連れてきた光精霊とカイナの精霊にクッキーを渡す。
 その様子にカイナは何故か目が点になってる。

「あぁ、そう言えば精霊って基本的に情報を共有しあってるからこういうお菓子の誘惑に簡単に負けるから気を付けなよ?」

 顔を真っ青にしてカイナは聞いていた。
 全員にお茶が配られたのでカイナに今回来た理由を聞く。

「えっと……先の神罰の功労者の中に女王様が世界樹を回復させる手段を持ってる人が居ると神託を受けた為にこうしてエルフの国総出で一人ひとりに当たっているのです……」

 全員が頭を抱えていた。

「お前ら……国賓で人を迎えようという使者なのにあんなに偉そうなことを言っていたのか?
 正直お前らの国がやべぇっていうのが分かって安堵したくらいだ」

 その様子に慌てふためくカイナだが、男性エルフの蛮行を止められなければ同じ場所に居た時点で共犯で連帯責任なんだよなぁ。

 しかし、次の言葉で全員が絶句した。

「でもでも、早くしないと世界樹が枯れちゃうんですぅ。枯れたら世界がやばいんですぅ」

 神罰終わったばかりで世界の危機ですか? 皆さん事件ですよ!
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