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共和国編〜好きに生きる為に〜
197話
しおりを挟む29階層は銀色に青色を足した様な色合いのゴーレムで絶対にアイツだと確信した。
そしてついつい叫んでいた。
「ミスリルを俺にくれよぉぉぉ!」
魔法は相性が悪すぎるので物理攻撃一択で俺はコイツらをぶっ潰すことにした。
「アダマンタイトゴーレムじゃ絶対に出来ねぇけどお前らなら行けるだろ?『インパクトロックフォール』連続だゴラァ!!」
俺はミスリルゴーレムの頭上目掛けて大岩を落とし更にその上から2つの大岩を空中でぶつけた。
振り子の原理だな? 糸で吊られた複数の玉の端っこだけガンガン揺れるあの原理で真ん中の大岩を緩衝? にして高速度で1番下の大岩が弾き出された。
ドガァーンとおおきな音がなりそこに残りの2つの大岩が落ちていく。
土埃が晴れていくとそこには大岩の瓦礫に埋まるミスリルゴーレムが居た。
俺は錬金術で金属のゴーレムの素材を使い金棒を作った。
「さぁて、お前に対してこの金棒はどれくらい保てるかなぁ?」
ニヤリと笑う俺に何故かゴーレムの動きが激しくなった。
「ゴーレムも逃げようとする意思はあるんだな? そっちに驚きだな……さぁて1発目ぇぇ!」
頭に対してフルスイングしたが魔力で金属の金棒を強化をしているので思ったより損耗がひくかった。
そして手に残るビリビリとした振動による感触が金棒とミスリルゴーレムの硬さを物語っていた。
30~40分程かけて累積ダメージによるものなのか分からんがミスリルゴーレムは粒子になった。
「参ったな……時間と魔力と体力の消費が大き過ぎる」
この後、1日中狩って居たが3体を倒した所で体力切れになった。
ドロップ品はインゴットなのだが精々1kgといった重さ分しかない。
1体はドロップ品を落とさなかったので今日の成果はミスリルのインゴット2kgだ。
そして階段前には一切階層ボスは居なかったのでありがたいと休憩部屋に入り情報を読み込んでいると驚愕の事実がわかった。
「はっ? 30階層のボスってオリハルコンゴーレムなの? 勝てなくね? 」
資料を更に読み込むと前回突破は50年程前でドワーフ族の全面協力のもと達成されていた。
俺のダンジョンアタックはここで終わりのようだな。
流石にアダマンタイトも壊せない様な状態で先に進めると思うのは傲慢だと思う。
オリハルコンとは神の金属と呼ばれる程に魔法触媒や良質な武器の素材として重宝される硬い金属だからな。
魔法触媒になると言われているだけあって魔法の効きもあまり良くないのが特徴だ。
ミスリルとアダマンタイトのいい所取りの魔法金属なのだ。
俺はその情報を確認してから3日ミスリルゴーレムを倒しては体力切れでぶっ倒れてを繰り返していた。
そして帰ると決めた日、俺は各階層の階段横に隠した魔法陣に転移する。
昔みたいに魔力を付けてマーキング転移するのが長距離は普通だったけど、
魔法陣なら個別番号を振り分けておくと後々使用時にこんな風に簡単に転移ができるのだ。
ダンジョンの中外を自由に転移で出入りすることは出来ないがダンジョン内では魔力のある限り転移出来るのが楽で助かった。
俺は転移しながら考える。
本格的にドワーフをこちらにも呼び寄せるかそれとも技術だけ貰って来るかなんだよなぁ。
行きは十数日をかけた道のりを2時間で辿り着いてしまった。
俺は身だしなみを整えてから孤児院に転移するのであった。
何か門前が騒がしいなぁ。と思いつつも俺は商業ギルドマスターの執務室の脇の小部屋に転移した。
ここは秘密の小部屋で主に仕入先が俺と見られたくない場合に俺とギルドマスターで作った部屋だ。
俺はノックを5回する、部屋の外側から魔力を感じると小部屋にあった鐘がなった。
俺は小部屋を開けるとギルドマスターが居た。
「ケビン様、お早いおかえりでしたな?」
俺はついつい顔を顰めた。
「オリハルコンゴーレムとアダマンタイトゴーレムがな? 魔法師の俺とは相性が悪くてな?
そのような金属を溶かしたり壊せる文献があれば探しておいてくれ。
素材を出して行くぞ?」
俺は今回のダンジョン探索で真面目な話マジで要らない虫素材を中心に査定をしてはギルドマスターがギルド管理のアイテムバッグに詰めていく。
「これは!! 黒く硬く素晴らしい素材ですな!」
「あっ!? そうだな」
Gの素材に頬をスリスリするギルドマスターにドン引きしてしまった。
査定が終わり紙に書かれた金額を確認してギルド口座に振り込んでもらった。
「あっ! ギルドマスター! 今回の税金は引き落としでよろしく!」
正直いちいち払いに来るのが面倒なので俺はギルドに頼んでいた。
今の業種は一応『卸売』『飲食店舗』の経営となっているが一応露店の販売資格も取ってたりする。
「今回の虫素材がまだまだあるから売っても面白いかもな……」
と査定の値段を見つつも考えるのであった。
俺は横着せずに建物から歩いて孤児院に帰ろうとするととてつもなく高みからの発言と言えるセリフが聞こえてきた。
「おい! 我々エルフ族の女王がここに住むケビンとやらを呼んでいる。
喜ばしいだろ? 早く出せ。いつまで私を待たせるのだ?
わざわざこんな所まで来てやってるんだぞ?」
面倒事が隕石並のスピードと死角から俺に追突してきたんじゃね? と思ってしまった。
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