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共和国編〜好きに生きる為に〜

193話

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 ボスの扉を開けると目の前には奴が居た。

「やっぱりピラミッドって言ったらこいつが出てくるよなぁ……」

 人面獅子、スフィンクスやマンティコアなんて呼ばれてる魔物だ。

『グォォォォ』

 ビリビリと壁が軋む程の咆哮をあげる人面獅子

 片脚を少し持ち上げると気だるそうにこちらを見て脚を軽く振った。

「うおっ!? 危ねー……あれ物理攻撃なのかよ」

 地面には3本の線の傷跡が残っていた。
 そう、軽く振っただけで鎌鼬を起こしたということだ。

 魔力は一切感じなかったので確実に物理攻撃ということになる。


「んじゃやりますかー『魔力大鎌・黒雷』」

 最近は魔力を象った武器にも名前を付けた。
 セラの『見せて見せてアレ』という攻撃に耐えきれない上に
 セラがどれを見たいか分からなかったので名前をつけて覚えて貰ったのだ。

 俺は大鎌を振るうも一瞬体表に傷をつけたがすぐに治ってしまった。
 それに体表は石や鉱石と何ら変わらない位の硬度だが何か中心部分はえぐいくらい硬い感覚があった。

 人面獅子が俺を踏み潰そうと前足をバタバタさせ鎌鼬で切り刻もうとするので避けまくり傷をつけては治されるを繰り返していた。


 そんな膠着状態がつづいていたが急に人面獅子は停止したかと思えないこちらを見てパカッと口を開けた。

「やべぇおょぉぉ」

 人面獅子の口から出たのはレーザービームだった。
 俺は魔力障壁を4枚張ってみたが、2枚すぐに割られたことで
 防御は無理と判断しすぐに障壁自体を斜めに構えてみたが多少逸らせる程度だった。

 俺はグッと足に力を溜めて横に避けたがそれでもまだレーザービームは止まらない俺を追いかけて来た。

「『縮地』首を落とせば勝てんだろぉ!?」

 俺はレーザービームを避けながら円周状に逃げて急方向転換して人面獅子の首に近付き大鎌を振るい首を落とそうとした時……

『ファッファッファッ!』

「はぁ?」

 人面獅子の背中には金ピカ仮面が乗っていて手に持ってる錫杖で大鎌の攻撃を止められてしまった。

 最悪だ、まさか2体1対のボスだとは想像もしてなかった。
 マンティコアは知らんけどスフィンクスは門番じゃなかったのかよ?

 錫杖を振り上げられ俺は軽々と上に飛ばされたので

「『黒雷槍』取り敢えず逝っとけや」

 すると金ピカ仮面は人面獅子の背中に錫杖をつくと球体状の結界が張られ

 ギャリギャリギャリンと甲高い音を鳴らし俺の魔法は防がれてしまった。

「うわ……お前防御型なのかよ。面倒臭いなぁ『エアバースト』」

 俺は結界を張っている金ピカ仮面に風圧を与えるだけの魔法を放つ、よろめいたことを見た時ついつい笑ってしまった。

「『エアバースト』×20そして人面獅子はじゃますんじゃねぇ!」

『ファッ!?』

『ぐるぁ!?』

 金ピカ仮面は連続して来る攻性魔法では無い魔法のせいで上に飛んでいき邪魔されない様に俺は大鎌を人面獅子の前脚に攻撃を加えていた。

「さて、お前の方はこれに耐えれるか?『グラヴィティ・ホール』」

 俺は金ピカ仮面の方に重力爆弾を放ち物理的に重力を付加した。
 人面獅子の方は俺に噛みつこうとした所を大鎌で牙を叩き折る。

 大鎌は斬撃武器と打撃武器の混合的特殊武器だからな。
 人面獅子の首に刃の無い鎌の柄の部分で思いっきりぶっ叩くその反動で俺は空中に飛ばされるがそのまま回転しながら

「『エアバースト』×15『グラヴィティ』回旋斬り!!」

『グルギャアァァァ』

 ガンッ、ギャリ……バキャという音と共に人面獅子の首が落ちた。

『ファッーーーーー!!』

 人面獅子が死んだと同時に金ピカ仮面が叫びをあげて超重力の中で立ち上がった。
 怒り状態で目が爛々と赤く光っている。

 そしてこのピラミッドに入ってからよく見る黒いモヤを纏い始めた。
 俺はとっくに魔力に暗黒属性を纏っているもおぞましいと感じた。

「腐食や毒、次は何だ?」

 俺は最大限警戒して既に魔力障壁を張っていた。
 金ピカ仮面の錫杖から出した黒い球体はこともあろうかと簡単に魔力障壁をすり抜けてきた。

「は? 破壊じゃなくてすり抜け? やべっ!」

 これは急所に当たったらまずいと避けたが左腕に攻撃を食らって初めてこいつが使った属性がわかった。

「マジかよ……呪いか? これ」

 俺は顔を顰める、めちゃくちゃ激痛が左腕に走ったのだ。
 攻撃が当たった感覚はないので確実に呪いだと思う。
 腐食系の攻撃魔法は魔力障壁で防御できるからだ。

 しかし例外があるそれは支援系の魔法と治癒魔法だ。
 いくら魔力障壁を張っていてもあれは意味が成さない。

 それと同様のことが起きたと思えば多分呪いという推測だった。
 多分、同系統魔法を使うからこれでも軽減されてるのだろう……金ピカ仮面がこちらを不思議そうに見てるので本来なら瀕死案件なのだろうな。

 俺は身体強化を解き、『聖天下』を張る。
 左腕だけに、俺の腕から黒いモヤが抜けていく。

「えっと聖属性をプラスして『反射』」

 俺は同系統魔法を使うあまり効果が無いはずの俺にすらバカみたいか効果をもたらした呪いを金ピカ仮面に返してみた。

 魔法では反射出来ないので聖属性をかけてみたらあっさり出来た。

『ファッーーーーグゥゥゥ……』

 いや何で使い手の方が効果覿面なんだよ!?
 もしかして今まで百発百中の効果だったから返されたこと無かったのか?

 ケビンは前世の知識で呪いは返して終わりみたいな感覚があったが
 この世界では聖水で効果を弱めて消えることを願うのが一般的だと未だに知らず。

 ボス部屋の魔物との戦闘も結局まぐれ勝ちみたいになってしまったのであった。

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