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共和国編〜好きに生きる為に〜

188話

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 俺は数ヶ月ぶりにダンジョンに来ていた。
 イレギュラーが有り過ぎてこのダンジョンは未だに攻略もしてないのだ。

 まぁ、この世界のダンジョンは管理されている所とされてない所がありこの街は管理されていない。

 何かあったら慌てて冒険者がギルドに駆け込み対処するだけだ。

 これを聞いた頭が痛そうにしていたと思ったら平気で次の言葉は

「ここうちの領地にしちゃダメか?」

 アホかっ!! 親父の話では帝国側に近い州や都市は全滅していた為に今なら普通に占領出来るそうだ。

 帝国には高ランクダンジョンが少ない為(高ランクは魔の森に集中)
 帝都の守護を任されている親父達にとってはこの周辺の土地は輝いて見えるのだ。

 帝国は元々建国帝が全ての争いにへきへきとしていて
 緩衝地帯として大陸中央の戦争のし過ぎで草の根も生えなかった土地を力でねじ伏せ分捕った場所だ。

 だからこそ今現在は建国当時からある家がめちゃくちゃ発言力が強いとも言える。
 東西南北の辺境伯は建国当時は全方位の国へ睨みを効かせる為の最大戦力だったのだから。

 クロス伯爵家は東西南北と打って変わって中央の守護を任されている家だ。
 しかし、最近は平和も平和過ぎて実力を維持する方が難しいのだろう。

 親父の話では神罰を平定した後、ウエスタン辺境伯領地に出向き相手を蹴散らし、
 その後にサウス辺境伯領地に出向き横槍を入れてきた後にそのまま共和国に来たらしい。

 サウス辺境伯は武人が多い領地で遠距離攻撃が出来ずに困っていたらしい。
 ウエスタン辺境伯は新当主がまとめきれずに崩壊仕掛けていたとも言っていた。

 俺はそんなことを思い出しつつ、サクサクッと20階層まで降りていく。
 ダンジョンの調査も兼ねて居る為ここから先が本番だ。

 ネロでも20階層分往復するのに半日かかるのでここまでしか来れてないと言っていた。

 それに10~15階層はオークやボアが出るので肉確保はここで出来ると先に進んでいなかったらしい。

 20階層のボスはオークボアに乗ってる意味わからん仲良しこよしのボスだった。
 四角い中華包丁の様な武器を持つオークを俺は『レイ』で眉間を撃ち抜きボアの突進を回避するすれ違い様、『黒雷槍』を撃ち込んだ。

 ゴブリンライダーの様にウルフの様なスピードのある奴は確かに厄介だけどさ?
 重量×重量でスピード減速したオークとボアは戦力低下してると思う。

 いや、普通のパーティならタンクがこれでやられたら終わりだから結構大変なんだろうけどさ?
 足場崩されたらボアは走れないからめちゃくちゃ楽だと思う(普通の魔法師の実力をしらない)

 俺はお肉になったオークとボアを回収し目の前にある宝箱を開けると……
 何か出た。いや普通に言うぞ? 何か目の前に土下座した男が出てきた。

『儂の義骸を返してくれ』

 ぜってぇヤダ。
 俺は見なかったことにして21階層に向かおうとすると足にまとわりつかれ物凄く鬱陶しい。

 俺は義骸をマジックボックスから取り出したらその男はサッと義骸に入り込もうとしたので結界で弾く。

『むむっ!?』

 俺は男が見てる目の前で牙を折り、鱗を剥がしていく。

『ひぃぃぃぃ』

「龍の肉って美味いって言うよな? じゅるり。
 本当はドラゴンハートが欲しかったんだけどこいつの中空っぽだったしな」

 ツルンツルンの龍の義骸を見て怯える男……いや面倒だから龍神。

「それで何で義骸が必要なんだ?」

『へい、それは……真龍達、あ。こっちの言葉で言うと属性龍が神罰にブチ切れて反乱を起こそうとしてるので〆に行かないといけないのです。
 鱗と牙は儂が入れば治るのでどうぞ、あ。後髭と尻尾の毛も高級素材でっせ?』

 俺は三下口調になった龍神を見て笑いそうになったがいいことを聞いたと尻尾の毛……やべっ、尻尾も切っちった。
 まぁいいや。髭も回収した。

 結界を解くと龍神が義骸に入ると瞬く間に鱗も身体も治り威圧感満載で目の前に空間の歪みを作る。

『あ。龍玉あげるんで、これお礼です。では感謝します~』

 そう言うと俺に1つの金色に輝く石を渡して消えていった。

 気を取り直して21階層に行くとそこは砂漠だった。

「あれ? 密林層が無くなったのかな?」

 目の前には景色が歪んで見えている。一瞬蜃気楼かな? と思ったが何か動いてるようにも見えた。
 俺はおかしいと思いそこに『レイ』を放りこんでみると……

 三又に別れた尻尾を持つサソリが出てきた。

「へぇ? サソリって食べるとエビっぽいって言うけどどうなんだろうなぁ」

 倒したサソリを回収しつつ動き回ると何かが飛んで来るのを確認したので『魔力障壁』を張ると

ーーカンカンカンッ

 無数の針が飛んで来ていた。
 ここは殻が硬く無いと攻略が難しいゾーンらしい。

 よく見るとダンスしているサボテンが沢山いて回転する度に針を飛ばしてきていた。

 360度針を飛ばしているが、仲間の針は自分の針に出来るようでサボテン同士にダメージは無い。

 俺は火魔法で攻撃するも耐性が有るらしく有効打にはならないならしい。
 仕方無いので水をかけて見たらしなしなっと萎れてしまった。

 乾燥地帯の植物は水を沢山含み貯めて置ける代わりに水や湿気に弱いのは変わらないらしい。

 2時間ほど魔物と戦いつつ進んで行くといきなり石造りの建造物が現れた。

「物凄く嫌な予感がするのは俺だけだろうか? ヤダなぁ。怖いなぁ。『フォトン・レイ』」

 ちょっとした出来心で建造物に光魔法をぶち当てたら建造物の周りから大量も大量のサンドワームが飛び出してきた。

「ひぃぃぃぃ。キモイ」

 ダンジョン→砂漠→サソリ・サボテン
 までは予想も出来たし、居るだろうと思ってたけどファンタジー定番のこいつらが居ないわけ無いよな。

 多足類とワーム系って歳を重ねるごとに嫌いになって行ったんだよな。
 前世の子供の頃はハサミムシだって余裕だったんだけどなぁ(多足類では無い)

 俺はワームを避ける為に建造物の入口前に転移するのであった。



­­--­­--­­--­­--­­--­­--­­--­­--­­--­­--­­--­­--­­--­­--­­--­­--­­--­­--­­--­­--­­--
ハサミムシは似ているだけで多足類では無いです。
作者は年々虫嫌いになってますw

田舎では季節の食材で昆虫食が未だに食べられてる所もあります……
JKが喜々としてイナゴを乱獲している姿に少年時代の作者はドン引きしました。

イナゴもバッタもトンボも蜂も全て噛まれてから嫌いです。
蜂に噛まれたことがある人は少ないと思いますがめっちゃ痛いです。

作者無駄知識。
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