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共和国編〜好きに生きる為に〜
184話
しおりを挟むお茶会の翌日、俺とセラリウムとハビスの3人は街の外にある拡張区域内の暫定農地に来ていた。
それは昨日のことだった。
そろそろお茶会が落ち着いた様子だったのでセラリウムに聞いたのだ。
「なぁ? 空間魔法は何種類使えるんだ?」
セラリウムは首を傾げて固まってしまった。
ハビスを見ても同じで更にはナギまで『何言ってたんだコイツ?』という顔をしていて唖然とした。
「ケビン様? 空間属性は簡単に言うと転移と収納の規模の大小の数しかございませんので2つですぞ?」
「よしセラリウム!明日お兄ちゃんと一緒に魔法の練習すっか? 今ならなんとハビスも知らない魔法を伝授してやるぞ?」
「行く!!」
「私めも行きますぞぉぉぉ!」
ハビスがガシッと脚にしがみつく、この爺さん最近厚かましいぞ?
「ハビスは仕事しろよっ!?」
◇
そして今ハビスも来ている……親父。監督はしっかりしようぜ。
「ケビン様何をすればよろしいのですかな?」
「ん? 畑の土を工夫して混ぜろ。これはハビスの宿題な? 勝手にくっ付いて来たんだから頑張れ。
よしセラリウムはこっちでやるぞ」
「ん! セラで良い」
「そっか。じゃあセラ行くぞ!」
「天国と地獄ですぞぉぉ」
知らんよ……いい歳こいたお爺さんが何を言ってるんだか。
俺はまずずっと感じいて居たことを聞いてみる。
「よし、まずセラ。左手でマジックボックスを開いてくれ」
コクリと頷き実行するも何も起きなかった。
「ん? えっ!?」
「じゃあ次だ。左足を踏み出す感じで転移してくれ」
しかし何も起きない。
人間にとって1番怖いことは何かと言うと『慣れと先入観』だ。
セラは驚き過ぎて完全に固まっていた。
「さぁ。セラ面白い物を見せよう」
俺は普通に立っている状況から目の前に氷球を作る。
「なぁ? セラ? お前魔法って片手から出るもんだと思ってないか?
魔法は自由だぞ? 俺みたいな魔法剣士や戦士は武器や体術と共に魔法を使うから何処からでも放出出来ないと困るからなぁ」
俺は左手でマジックボックスを使うと中から木刀を取り出しそこら辺に投げる。
カランカランという音が鳴り響いてる中、突然その音が消える。
「さぁ木刀はどこに行ったでしょうか?」
その声にセラが驚き後ろを振り返ると俺の右手には木刀が握られていた。
「え? 何で?」
「あ~これ? 簡単さ。何で物や人を空間ごと転移出来るのに俺達から離れた所にある物を空間ごとこっちに持って来れないんだろうなってな?
最初は難しいから硬貨でしてみると良い」
俺は右手と左手に硬貨を持ち魔法でビュンビュンと移動させる。
「どっちだ?」
セラは完全に当てずっぽうで最初に硬貨を見せた手とは逆をさしたが……
「残念、正解は……セラの靴の裏!」
「えっ!? ほんとにあった!すごぉい!」
驚いて足をあげるとそこには確かに硬貨が置いてあったことに喜びの声をあげるセラ。
「次は魔力感知を働かせて場所を当てて見ると良い」
そう言うと3回連続でセラは硬貨の場所を言い当てた。
「じゃあお遊びの最後に難題を見せてやろう……」
俺はコイントスをしてキャッチした瞬間に大袈裟にアクションして袖の中に硬貨を隠した。
そして何度も手の中で硬貨がまるで移動してる様な演技をする。
「さてどっちだ?」
セラは顔を顰めて分からないけど適当に右手を指定した。
「残念……「なら左手は?」こっちも残念」
「え? 硬貨どこ?」
「まぁセラ。魔法が使えなくても人の技術力だけでここまで出来るんだよ。
だから自分の限界を自ら狭めるのだけはダメだぞ?」
そう言うと多分俺が見た中で1番の笑顔で笑っていた。
この子は自由に魔法が使える様に教育しないとな。
そして1週間後……
俺とセラは向かい合っていた。そう模擬戦だ。
「ケビン兄行くよ?『空間切断』」
「うん、中々良いじゃん。『遮断』」
俺は完全にイメージが出来上がってるので最初に空間等付け加えなくてもその魔法が使える。
セラは俺の横に転移してきて一言。
「『空間膨張』」
しまった、これは……遮断の派生系か!?
四角い箱型の目には見えない物により体が思い切り打ち上げられたのだ。
「『固定』『断層』」
自分の体を空中に固定し迫り来る『空間膨張』を『断層』でぶっ壊した。
2人が定位置に戻った所でセラがぺこりとお辞儀をした。
降伏のサインだな、中々面白かったな。
俺達の模擬戦を見た保護者達は……
「「「「「や、やりすぎだぁぁ!!」」」」」
きっちり仕上げたのにしっかりと怒られた。
ハビスは簡単に俺が教えたことを模擬戦の後のお披露目実践で出来るならもう少し真面目にしてくれたらちゃんと教えるのにな。
カレーの為になるとグイグイ来てやかましいからな。
ハビスにヒントを与えて教えたのは物質の任意転移だ。
まぁ、簡単に言うと少し離れた所から無機物に限り転移させることが出来る。
ハビスは驚異的な頭脳でちゃっちゃと覚えてしまった。
今日こそこの理不尽の塊に天誅を!!
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