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共和国編〜好きに生きる為に〜

181話

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 親父と今対峙している。
 轟々と吹き荒れる気が炎の様に揺らめいていて肌がピリつく。

 俺も魔力を練り上げ最初から全開で体に纏わせて行く。

 開始は2人同時に俺は身体能力に任せた縮地擬きで親父は縮地の上の瞬動術で拳を合わせた。

 ドカンと言う音とその空気の振動で周りに衝撃波が舞う。

「お前本当に魔法使いか?」

 呆れた様子の親父に俺はニヤリと笑みを浮かべる。

「さぁな。こんな街の近い所じゃ魔法を使ったら折角作った街を破壊しちまうからな。『雷光』」

 そう、会話をしつつ雷を落とした。
 これは雷光・麒麟の単発バージョンの魔法で意外と使い勝手が良いのだ。

 そんなことを思ってると雷に当たった親父が消えた。

「は? んぐぉ?」

 急に目の前に現れた親父に腹を殴られそうになりガードする。

「『雷鬼・瞬動』炎の方はネロに教えてしまったからな!ハッハッハ!」

 気の運用には4大属性しかない、それは炎・水・風・雷だ。全て人体で発現出来るものになる。

 しかし、雷はほぼ伝説上の物だったはずなのに。

「親父……それどうやって発露した?」

 俺はこの笑みを浮かべる憎たらしい顔をする親父に問いかけていた。

「誰かさんの手記の手記を読み込んで覚えた」

「­­理論の窃盗じゃねぇか!」

 絶対に俺の手帳が出処だと分かっていたからこその質問だった。

「じゃあお返ししないとな? 死ぬなよ?」

 俺は魔力の練り上げを更に加速させて臨界点を超える。
 魔力の強化率は気の運用によるものに比べれば低いがそれでもある一定の場所まで行けば関係ない。

「『グラヴィティ・ルーラー』」

 最近考えていた重力魔法の最新作だ。
 重力を無くし、スピード特化で動く。

 接敵した瞬間に重力を増加させ相手に拳を叩き込む。

「グボォォ!」

 帝国の英雄と呼ばれる親父が吹き飛んでいく。
 数秒もしない内に戻ってきた時の姿は親父は本物の角を持っていた。

「ふぅ、負けられん。『神鬼・剛腕』」

 俺はため息をつく。

「普通の喧嘩で神クラスの者の力借りるか?」

 親父は気の総量がかなり多いがそれと同じくらい魔力も持っている状態だな。

「息子には絶対に負けん!!」

 そう言って物凄いスピードで近寄って来た時だった。
 急に俺の後ろに女の子が転移してきた。


 首を傾げている、誰この子? って言うより親父興奮し過ぎて気付いてないな。
 仕方ないか……親父がこちらに拳を当てようとした瞬間に
 親父の重力をゼロにして吹き飛ばしその後その周りを重力100倍にして叩き込んだ。

 出来れば肉弾戦で勝ちたかったのだけどな。


 俺は親父を無視して女の子に目線を合わせて問いかける。

「俺はケビンだ。君は?」

「セラリウム。5しゃい」

 自己紹介をしているとナギが転移してきた。

「ケビン!こっちに女の子が来なかったか!?」

「あぁ。この子だろ?」

 俺は女の子を抱っこしてやると女の子は「おんぶ!」と言って来たので背中に乗せてあげる。

「良かった。クロス伯爵家の次女らしい。空間魔法の適性があるらしくてな。教えていたら使ってしまって慌てて追いかけて来たのだ。
 あれ? 伯爵は?」

 あっ……やべぇ忘れてた。俺が魔法を解除するとピクピクとしながらも地面から出てきた。

「お前……急にそれは無いだろ……」

 戦闘狂バカに呆れつつも

「仕方ないだろ。急に後ろにこの子が転移して来たんだ。愛する娘に怪我させたら奥さんに腕の1本切り落とされますよ?」

「むっ!セラ!何故そのバカの背中に居るんだ!?」

「お兄ちゃんの背中、安心。魔力が綺麗」

「パパの方が広いぞぉぉ??」

 俺はドン引きしていた……娘が居なかった時の親父は優しかったがデレデレはしてなかった。

「や~! パパはピリピリするからヤッ!」

 クリーンヒットしました。下手したら俺の攻撃よりダメージ入ったかもな。

「さて戻って説教されましょうかね。伯爵様1人で……」

「なっ!? 裏切るのか? 薄情者!」

 いきなり会いに来て戦闘しかけて来たのに裏切りも薄情でも無いだろ?

「それに領地はどうしたんだよ?」

「そっちはカインに任せている。キャロはお留守番だ。神罰時に勝手に外に出ていたからな」

 俺はそうなんかーと思いつつもナギを含めた4人で孤児院に戻ると
 義母上と母上が笑顔で待っていて怒っているのに気付かない親父に呆れて俺は膝カックンを仕掛けて正座させる。

「うおっ!? 何をするケビン?」

「いや、普通の常識で考えろよ? 人様の家に押しかけて来てあの量の気や魔力を噴出させた非常識さと
 何も分からず馬車の中に居た2人は大層御立腹だぜ?

 さて、セラって言ったか? 中にお菓子があるから食べるか?」

「食べる。あ。でも勉強終わってない」

「へぇ。なら勉強も教えてやるよ」

「よろしく。パパ凄いことになってる」

 俺が親父の方を見ると完全に海老反り固めにされていた。
 怖っ……俺とナギは自然に逃げる様に転移して客室に向かった。

 ナギはお菓子を用意しに行き、セラは何と!?
 マジックボックスが使える様で普通に勉強道具を出し始めた。

「驚いたな……俺が同じ年頃の頃は魔力が足りなくてマジックボックスは使えなかったのに。ハビスに習ったのか?」

 セラはコクリと頷く。
 すると扉がノックされハビスが入って来た。

 おい……髭にカレー付いてるぞ?
 その後ろには疲れた顔をしたタビも入って来た。

「セラリウム様は純魔法師の様でして魔力が生まれつき多かったのです。
 しかも適性が空間属性のみという稀有な様でして……色々大変なのですよ」

「うぇ~他の貴族や商人に狙われてるのか? 良くやるよな。
 あの脳筋の娘狙うとか滅ぼして欲しいと宣言してるもんじゃないか」

 そこでセラは首を傾げた。

「ケビンはセラのお兄ちゃん?」

 俺はそこで驚いた、えっ!? 知らないでお兄ちゃん呼びしてたのか?

「まぁ、家は出てるから元だな?」

「そう、なら偶にここに来る」

 そう言うとハビスが汗をかきはじめた。

「セラ様。いけませんぞ、流石に私めとてこの距離は転移して探しに行けませぬ」

 俺は唖然としていた。
 クロス領からここまで簡単に転移出来るとセラは宣言したのだ。

 俺は久々に魔力を目に集め鑑定をしてみる。

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セラリウム・クロス 年齢:5歳
『空間属性の申し子』

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 頭が痛くなってきた。空間属性の申し子を鑑定しようとしても弾かれるのだ。

 寵児や申し子という言葉は称号や2つ名として聞くことはあっても鑑定では初めて見たぞ。

 こりゃー狙われるわけだな。頑張れハビス。
 そしていい加減髭のカレーに気付け!!
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