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共和国編〜好きに生きる為に〜
159話
しおりを挟む神罰というからかなり身構えていたのだが……
拍子抜けしたと最初は感じていたがそれは誤ちだったと思わざるおえない。
最初こそC~Aランクの魔物が我先にとこちらに突撃してきて互いに邪魔しあってたお陰もあり余裕もって対処出来ていたが。
今やもう夕方で、時間は関係無いとひっきりなし襲ってくる。
Cランク魔物は既に魔物同士の争いで消え会敵しなくなった。
今もB~Aランクの魔物がこちらに向かってくる。
そして偶に戦術の様な動きをするBランク魔物に少数精鋭の伏兵のAランク魔物が現れる。
現在は4人ずつ交代制をとり、時間を区切り動かないと疲労で倒れそうになる位連続で長時間戦っていた。
ここで常にソロの弊害が出始める。大技を使い、周りに被害を及ぼすと
『荒いぞ~ もっとスマートに倒せぇ~』
とヤジが入るのだ。
他のSランク冒険者やネロを見るとかなりセーブして敵を倒しているのが見える。
何ならアームさんはトヤ達のお守りまでしてる。
数時間経ち、魔物をかなりの数倒しているのに嫌な感じがどんどんと膨れ上がっているのが分かる。
何故なら未だにSランク魔物が出てこないのがおかしい。
Aランク魔物すら統率出来る魔物が存在してるはずなのに出て来ず
こちらを観察してるのでは? という疑念が度々浮かび上がっては目の前に集中せねばと頭を振る。
そんな時に空気の読めない奴がぶっ飛んで来る気配を察知する。
目の前の魔物がそれを待ち構える様に『タイラントアリゲーター』が口を大きく開く。
「ちっ、アホ! 」
飛んできた奴を蹴飛ばし後方に吹き飛ばす。受け止めたりすれば隙を晒すことになるからこれが最善だ。
それを追いかけようとするのは『レッサーフェンリル』だ。
「フリスビーじゃないんだぞ! 『レイ』」
速さ重視の魔法で牽制する。このクラスの魔物になると危機察知能力が高く
急に止まり、後ろ方向にエビの如く勢い良く飛んでいく。
飛んできた奴を見るとトヤだ。既にユリアさんの精霊術により回収されていく。
トヤ達にはお守り付きとは言え、まだ早かったんだろう。
俺やネロも防御を念頭に置いて行動してるためにかなり神経すり減らしてるからな。
それでも偶に意識と無意識の認識しづらい中間点を攻められダメージを受けているのだ。
高ランクになればなるほど、察知や感知能力が上がり何時でもどこでも戦闘できる様に準備を怠らない。
諸説あるが常在戦場状態だからこそ高ランク冒険者は『冒険しない』傍から見れば危険区域にスイスイ入って行って憧憬の眼差しで見られるが
本人達からしたらしっかりと情報を集め下見をして準備を整えているのだ。
そして見切りがかなり早い、今回は逃げられないから正面からぶつかってるだけで本来なら即退散してる。
そんなこんなしてると夜のとばりが降りて来る。魔物有利な環境に入れ替わる。
闇……もとい暗黒属性が1番相性が良くなってから暗い環境は俺も得意だが
他の人は魔法や気を使うとピカピカ光注目を集め始めてる。
ネロなんて紫の炎を纏いガンガン集めてる。
俺も魔力を纏うと視界がクリアになる。
暗黒属性の派生属性の影のお陰だな!
日が落ちてからワーウルフやオークの最上位種の様な鼻が良い奴らがバンバン出てくる。
オークが出て来てすぐに動いたのは食欲の権化ことカロンだった。
「豚ァァァァ、私の晩御飯になりなさーい!」
オークの動きが鈍くなった様な……君たち他種族の女性を見ると理性が飛んだように追いかけるよね?
あれが捕食者に見つめられて逃げようとする野生の勘か。
そんな様子を見ているとかなり遠くからワーウルフが跳躍して来て上からの爪の攻撃をして来たので折角貰った仕込み杖の剣を抜く。
腰だめから抜いてそのまま並行に振るうと……やり過ぎだってドワーフ達よ!
斬った感覚ほぼねぇじゃんかよ、またヤバい武器を貰ったみてぇだ。
「『黒雷槍』消し飛べ!」
かなり奥の方に何か蠢いている集団が見えたので打ち込む。
ん? 着弾したよな? 何で爆発しない?
目を凝らし見て正体が分かった瞬間に顔が引きつった。
魔法で拡声して拠点に声を飛ばす。
「ぐ、グラトニースライムだ! 最初のSランクはスライム様が来ました!『紅炎』さん。ネロ! 頑張って!」
「「お前も手伝えよ!」」
えぇ……得意じゃないんだよな。火属性ってあっ! そして息ピッタリだな?
「伝令、伝令! タビ廃棄用の揚げ物油って持ってきてるか?」
そう伝えるとすぐにタビがこちらにやって来て
「使い所もない為に火山にでも捨てようと思ってましたのでありますよ? 燃料になさるので?」
俺は頷きマジックボックスから大量の樽に詰めてある油を何個も出す。
時間止まってなかったら腐ってるんだろうなこの油。
そんなしょうもないことを思いつつ頭の中で油の樽をイメージしてバンバン出すと呆れられた。
「ケビン様? マジックボックスの中身を整理なさった方がよろしいかと。
どうして樽が40個も出てくるのでしょうか? 数が異常ですよ?」
獣王国に居た時に秘密裏に揚げ物惣菜屋やってた何て言えない……
後はカレーパンの試作品を作ってたこともまだ秘密だ。
レンカさんとネロも合流して作戦を練る。
「俺とタビでこの大量の油をスライムにぶっかけます。そしたら火を着けてください!」
簡単で単純明快で相手側に全てを押し付ける。なんと素晴らしい作戦だろうか!
「「分かった」」
ん? わかった? 思わず2度見してしまったぜ。
「よし!作戦は以上だ! タビ行くぞ!『サイコキネシス』」
「異常の間違いでは? 作戦って1つも告げてないのにどうして理解できるのでしょうかね?」
「き、聞くな。知らないで良いんだよ多分」
そんな無駄話をして走っていると1km先まで迫ったスライムの大きさに少し圧倒された。
2人で一気に樽を空から降らすと攻撃されたも勘違いしてスライムは触手を伸ばし取り込み始めた。
「よし!撤退!」
俺達2人がネロとレンカさんの後ろに転移すると2人とも既に準備万端で技を繰り広げた。
「『精霊憑依』ハァァ!『紫炎轟爆撃』」
紫の炎の衣を纏ったネロは剣を唐竹割りの要領で振るうとそこから三日月状の炎が轟々と音を立ててスライムに向かう。
その隣ではレンカさんが
「『炎狐爪焔波』行ったれやぁぁ!!」
急に尻尾が生えたと思ったら舞を踊る要領でクルリと回りブレイクダンスの様に脚をブンブン振るう。
そこから放たれる炎は綺麗だが確実に広範囲攻撃だ。
なんか2人とも男臭いのに、技がすんごく美人がやりそうな演目で負けた気がする。
もっと技を考えよう……
そう決意した所で樽に火が着き……爆発したんだけど。
あれ? 何あの連続爆発? 俺はタビを見ると
「あっ、間違えて晩御飯用の小麦粉も一緒にスライムに投げて来てしまいました」
好アシストプレーをうっかりでやらかすイケメンなんて嫌い。キィィィ!
粉塵爆発と樽が1つ1つ連続で爆発して凄いことになった。
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