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共和国編〜好きに生きる為に〜

158話

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 再び転移してきて戻ってくると目の前に短剣が伸びてきたが腕を取りそのまま地面に叩き付けた。

 魔力纏っといて良かった。余裕があるのは大事だね。
 よく見ると先程吹き飛ばしたシーフ女だった。

「おいっ!リーダーをどこにやった!」

 俺はニヤリと笑い答える。
 あの大剣使いがリーダーだったのか。

「責任を取らせるために魔物のど真ん中に置いてきた。
 お前ら仮にもSランクパーティーと認められてんだからそれくらい余裕だろうよ。次はてめぇだよぉぉ」

 俺は殺気を放った瞬間に焦り隠密で消えようとしたシーフ女の頭を掴みもう一度叩きつける。

「逃がすと思うなよ? ん? こっちの方が良いか?」

 と次の転移ポイントを決めるために少し考えて居ると
 女魔法師が街のど真ん中というのに魔法をガンガン放ってくる。

 俺は逆属性で相殺してこれから魔物の中に入れるのに魔力が勿体無いと『サイコキネシス』で全員を捕まえる。

 ん? よく見るとシーフ女が気絶してやがる。

 まぁ良いか。全員に魔力マーキングを着けて居るとそれでも女魔法師は魔法を使おうとするので念力で鼻と口以外全てガッチリ固めた。

「ば、化け物……」

 俺は女魔法師を睨み本気で殺気を当てる。
粗相をしてるが気にしない。

「俺にはお前らの身勝手な行動で大陸中に魔物が溢れ出る結果になってるのに
 責任も取らずにこんなことをしてる方が化け物に見えるがな」

 言うだけ言って転移した。


 女魔法師は人型魔物が多い地点に置き、女シーフは逃げそうな感じがあったので闇属性魔法の『隷属』で命令をする。

「死ぬまでここを離れることを禁ずる。持てる全ての力を使い魔物を倒せ」

 この魔法を使っている所を男神官に見られたがまぁ良いか。
 この魔法実は禁呪と呼ばれている、魔法を行使する側とされる側の魔力量の差が成功率になるので
 魔力オバケの俺にとっては強制的に魔法をかけれる切り札だ。


「ひぃぃぃぃ……ヒヒ、ヒヒヒ」

 ん? 男神官がなんか壊れたな? なら仕方ないこいつは反対側に置いておくか。

 大剣使いを置いた方に転移して男神官にも同じ命令をした。
 ヒヒヒと笑いながらメイスを使い自分を癒しながら戦う狂戦士バーサーカーになった。
 ちょっと怖いわ……ヨダレダラダラで目が血走ってる状態でメイス振り回してるよ。

 普通に思うんだけれど、大剣使いがリーダーで1番強かったなら強制的に連れて行かれたら普通逃げない?

 アホなのかな? それに自分達が勝てない魔物を倒した奴に挑むかね?

 なんて思っていたら後ろから声を掛けられた。

「アッハッハッハッハッ!やはり神は僕の味方だねぇ!」

 振り返ると変態ナルシストが何故か居た……あれ? こいつもしかして逃げようとした?

「おい、お前もしかして逃げようとか思ってないよな?
 逃げたら折角金と権力で買ったSランクがパーだぞ?」

 なんか物凄い挙動不審になった。
 この人ナギの持っていた情報と実際の見た感じの情報に物凄く乖離があるんだよな。

 1人でワイバーン30体倒したとか、ギガンテスという巨人の上位種を単独討伐したとかさ。

 魔力量は雀の涙だから気の達人かと思ったら何か動きを見ると違うんだよなぁ。

「な、な、な。何を言ってるんだ! お前達とギルドが戦ってる所では敵が少ないからな!
 こうして手薄になっている所にキタノさ!」

 金髪ファサーじゃねぇよ……

「手薄になってるのは良いんだけれど……大陸全土同じ様な状況だから逃げても良いけど死ぬぞ?」

 これはお節介だ。この人が本当に切り札があってSランクなら生きていけるけどさ。
 違かったら絶対死ぬって分かってるのに放置は出来ないもんな。

「あ、後こっち側と反対側はドラゴンの処理してないから頑張ってくれやSランク冒険者様!
 今、激戦をして奮闘してるのはなんちゃら王とか言うパーティの大剣使いだ。

 やれば出来る!」

 そう言って俺は転移する時、すごく泣きそうなナルシストを見て笑いそうになるのを我慢した。

 全てを処理して戻って来て最初に見た光景はカロンとタビが本気を出して虐殺してた……

「えぇ……俺の出番が無い。そしてなんか突き刺さってるなデッカイの」

 俺が戻ってきたことに気付き声をかけてくれたのはユリアさんだった。

「あれはよーくよーく目を凝らして地竜を見てくださいまし!」

 俺は指で輪っかを作り集中すると、んん? 人も突き刺さってね?

「いつまでも遊んでるあのハゲが悪いですわ! 倒したら他の場所に居る竜を相手どれば良いのに」

 アァァースさぁぁぁんじゃんか!

 カロンの逆鱗に触れたようだ。真面目な時に空気読めないのと戦闘を楽しんでしまう竜人の特性はしっかりとあったらしい。

 なんかやること無くて俺は拠点に戻りコトコト鍋で具材を煮るのであった。

「いいことなんだけれど釈然としないわ」

 調理を開始するといつの間にかタビが超高速でうどん打ってる。
 いつの間にか俺は遠く及ばない実力者になってきた。

 うどんにした理由って全部魔法で出来るからなんだけどね。
 楽したいじゃない? 横着してもそこそこ美味しいのがミソだし。

 カレーうどんなら多少失敗しても全て帳消しにできるからな!

 カレーうどんにしたことを後悔するのは後15分後。




 今、俺は拠点を出て1人で魔物をバッタバッタ倒している。

 反対方向ではネロが紫の炎柱をドカンドカンとあげて倒してる。


 5キロ程離れた位置でカレーを作っていたのにカロンが

「か、カレーやぁぁぁ! ケビン、私は猛烈に今お腹が空いたから変わって。気にせずハゲは埋めといて」

「えぇ……じゃあユリアさ「ケビン君? カレー好きな私達にカレーをほっぽり出して魔物を狩れと?」い、いえ。是非私が行かして頂きます」

 目、目が怖いよぉぉぉ。

 女の人って怖いです。

 偶に後ろから声を精霊術か魔法で届けられるんだよ。

『あ、ケビン。ケビンから見て右斜め方向からワイバーン来たからお肉の確保よろしく~ うっまぁぁ!』

 あれ? これ街を守るための決死の戦いになる予定だったのになんでこんなに余裕なの?

 ケビンは未だ他が壊滅待ったナシの状況まで追い込まれていることを知らない。

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◆◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 南門Sランク組プラススラム組、今現在ピクニック。

 西門 兵士隊プラス『破壊王』女シーフ・女魔法師 魔法師の上級魔法にて一時善戦。

 東門 『破壊王』大剣使い・狂神官プラスナルシスト 狂神官特攻、ナルシスト・大剣使い門から街へ戻ろうと奮闘しかし開かない(ケビンがガッチリ固めた)

 北門 兵士隊プラス冒険者ギルド総力戦 奮闘しているが低ランク冒険者達の負傷者が相次ぎ士気低迷。

 撤退戦兼籠城戦に移行しようとしてる。
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