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共和国編〜好きに生きる為に〜
153話
しおりを挟むアームさんが孤児院に身を寄せる様になってから2週間経ったある日の夜。
俺は夢を見ていた。
何故か夢を見てるとわかる不思議な感覚。辺りを見渡しても真っ暗。
あの4年間居た精神世界に近い気がして声をあげる。
「クロか? 居るんじゃないのか?」
するとクロとは違う腹にずっしりとした感覚を与える声が空間中に鳴り響く。
『汝、世界の規定を破り捨てる禁忌を犯し者を戒めよ』
「は? それはいつ起きるんだ?」
『戒めよ、許すな滅せよ』
ここで俺は強制的に目が覚めた。
「はぁ……勝手だよな神って奴は。つまり本当のことをストレートに言えないって確か神託前世では言われてたよな?
参ったなぁ、どうしたもんかなぁ」
『戒めよ』
「ひょえっ!?」
俺は周りを見渡し誰も居ないことを確認した所で怒りが湧く。
「ふざけんなっ! 夢で伝える所までは100歩譲って許すけど……
起きた瞬間に声がするのはホラー真っ青な展開だろ!
ジャンル考えろ! ん? 俺は何を言ってるんだ全く……焦ったよ。ホラー苦手なんだよいきなり系は」
俺は心臓がバクバク鳴る音が永遠と聴こえるのが嫌で先程の声でかいた冷や汗が気持ち悪く
廊下に出て庭を見ると不思議な光景があった。
ナギ、アームさん、それに子供達が庭に居るのだ。
ナギとアームさんは何故か完全武装だった。
俺は横着して『テレポート』を使い庭に出る。
子供の1人が気付き声を掛けてくる。
「あ!ケビンお兄ちゃんおはよう! なんかね~ピリリとしてるの?」
俺はそこで初めて空気が脈動している様に偶にピリッと刺激する様な空気が出ていることに気付いた。
「うむ、ケビン。お前さんは気付いたのか?」
俺は今さっき気付きましたと言えずに頷く。
だってアームさんの目がキラキラしてて小さく『流石は実力者だ』とか言ってんだよ? 訂正しづらいわ!
ナギに腕を引っ張られ少し離れると
「ねぇケビン? アンタかなり魔力持ってるからどうせ気付いて無いんでしょ?」
ジト目で睨まれた上に呆れられて更には気付いてないことも看破されてた。
「うん、って言うより夢で『禁忌を犯した奴』が居てそれを滅せよって言われて飛び起きた」
うん、知ってた。めっちゃくちゃ胡散臭いよね?
そんな訝しげな目で見られても本当のことだし。
「寝惚けてたんじゃ?」
「いや、起きてボーッとしてたら背後から最後に『戒めよ』ってもう1回言われたから。
じゃなきゃ朝からこんなに汗だくになってないさ」
「そ、そうね。そもそも子供達も違和感を感じているってことは……かなりヤバいことが起きそうよね?」
俺は首を傾げつつも
「『禁忌』の内容がわからんからな。そもそも俺の龍神ぶっ飛ばしたのだってとある種族から見たら禁忌だしな。
でもそれなら俺に直接来ないし、多分俺に来たと言うことは……魔法神様か破壊神様のどちらかの関係者からの言葉だと思う」
ナギは少し考えた後に
「魔法神様だったら何か封印を解いた系かしらね? 破壊神様って実在してたんだ……」
うん、それ約10年前に既に俺がやってしまってます。テレテレ。
「何、変な動きしてんのよ!」
「ぶふぉ! 痛いわ!」
照れてたらナギにチョップされた。
ん? ふと俺の結界の近くに反応があり魔力感知を使う。
おぉ、お客さんがヒーフーミーよー……ん? 6人多くね?
「ナギ、アームさーん! 門に客が来た! 多分6人。子供達は中に入って朝食の準備しろーい!」
「あいわかった!」
「「「「準備だぁぁぁ~!!」」」」
ん? え、ショック……1人普通に結界通り抜けてきたんだけど。
ナギが急に凹んだ俺を見て驚いてる。
「どうしたのよ? ケビンも普通の人と同じで落ち込むのね? 」
早く人間になりたーいじゃねぇよ!
「結界1人抜けられたんだよ……」
「えぇっ! 一大事じゃない! 行くわよ!」
抜けられた理由はすぐにわかった。
「ケービーンさーまー!」
爆走してくるイケメン執事風のタビが戻ってきたのだから……
そういやハビスとコイツは結界幾ら頑丈に難解に張っても通り抜けて来るから忘れてた。
「タビお前……結界簡単に抜けてきたらショックと警戒心で禿げちゃうだろ!!」
「気にするのそこなの!?」
やべぇ……ツッコミ役が居ると楽だな。
「ふむ、執事として当たり前の技能です!」
「えっ!? 執事ってそんなに特殊な仕事なの!?」
デンッと胸を張るタビに驚愕するナギ。
「いや、お前元帝国最凶の諜報部隊員だろうが!」
「えっ!? この人『黒影鬼』の人なの!?」
何その厨二病な部隊名は?
「俺達は影としか呼ばないから知らないぞ? タビ?」
「ケビン様。敵や他国が勝手に当主様になぞって鬼の裏に居る影として通称として使われているだけですよ。我々に名はありませんでしたよ?」
やっぱり怖いわ。
諜報部隊員なのか使用人なのか判断つかない奴とか普通に領地には居るからなぁ。
「タビそれで? 一緒に来た連中は?」
「あ、カロン様と薬師ギルドのギルドマスターの女性とエルフの人と他数名ですね」
他数名って誰だよ……まぁ行くか。
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