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共和国編〜好きに生きる為に〜

151話

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 この部屋に来た時はやつれた赤茶色の髪をした少女だったメルが……

 カーテンを退けたら金髪で俺の見間違えじゃなければ羽も見えるんだけれど?

『『ほー! 羽が生えたぁー!!』』

 光の精霊達がそう言って騒ぐ。

「なぁ? ケビン? メルは何かの病気なのか?」

 ナギが慌てたようにアワアワしながら確認してくる。
 ん? あぁもしかしてこの2人は見えるけど精霊達の声は聞こえないのか。
 進化云々の話は聞かれていなかったらしい。

 精霊の声って不思議でな?  一定範囲の中で聞こえる人には範囲内なら普通にクリアに聞こえる。

 内緒話とか一切出来ない。その代わり見えない聞こえない奴、相手だとコソコソ会話できるわけ。
 だから見える2人にはラルの声は聞こえていたと思っていたがこの反応は聞こえていなかったらしい。

「なぁメル? 何か頭の中で声が聞こえなかったか? それとその羽は魔力体っぽいけど消せるか?」

 ポケーっとしていたメルは俺の声にハッとなり慌てて答えた。

「えっ!? あ!はいっ!んん? 消せました!それと『天人族』になりましたって言われました!」

 俺はラルを見て何か知ってそうなのでさぁ?話せ!と詰め寄る。


『むぅ~ケビン。無言の圧は怖いよ~。
わかったよ~話すから~。
 天人族は鳥系獣人の血を持たない子が進化した場合の種族だよ~
 今回、大量に魔力の媒介だったり源と呼ばれる血液に光の精霊の力が流れたからそっちに行ったんだね~』


 ふーん。あれだな? 魔人族とは真逆な感じかな?
 まぁ魔人族だって実際には総称だからな。
 細かい分類分けもあるし、実際には1番多い種族だからそう呼ばれてるだけらしいしな!

 鬼人族や単眼族だって魔人族と呼ばれてる。
 魔物と魔人族の境が分からないから困ると言う奴らも居て……会話が出来れば人という法律も一応あるんだけどな。

 昔はエルフもドワーフも獣人も全て魔人族と呼んでいた人族国家もある訳だし。

「へぇ? なら光の精霊術と光属性に適性有りなのか?」

 ラルはメルを見るとその目の色が変わる。

『うーん。水と風も適性有りだね~。
 結界系統も出来るみたいだから体を強化する以外の無属性も得意かも~』

 こりゃー鍛えがいがあるな? とニヤリと笑うと何故かナギが

「妹はお前にやらんぞ?」

 とナギが俺を睨み変なことを言うのでメルが顔を赤くしていた。

「はぁ? 鍛えがいがあるなぁって思っただけだよ。
 それとメルとナギはこの孤児院に保護を願い出るということで良いな?」

 メルは事情を知らない為に首を傾げるが……
 ナギは少し目を瞑り考え事をしたと思ったら頷いた。

「あぁ。家の方に戻った時に10人くらいが見張りをしていた。
 あの家にはもう戻れないだろうと思って荷物は全て持ってきた。

 私はSランク最弱と呼ばれ、喧嘩を売ってくる奴も多いからな。荷物は何時でも持ってこれる様になっていた」

 これだから脳筋バカは……と喧嘩を売ってくる冒険者達に俺はそんな感想を持った。

「じゃあ、料理は出来るか? ナギには聞いてないぞ?」

「なっ!何でだ!!」

「いや、明らかに出来なさそうだし」

「ぐっ!」

 ナギが俺の言葉に反応しすぐに落ち込んだ。

「私が出来ます!前衛で治癒魔法を使いながら遊撃のお姉ちゃんを支えるのが私のスタイルなので!!」

 マジか……この人タンクとヒーラーの2足のわらじ履いてるけど効率は良いな。
 殴り僧侶だっけ? そんなのが前世のゲームであった気がしたけど忘れたな。

「なら孤児達と一緒にうどん屋もしてみてくれ。体を動かしながら慣れていこう。ラル!わかってるな?」

 そう言うとラルは手に光を集めると小型の精霊が現れる。

『中位までしか権限ないし、上位は知り合い居ないからね~』

 ついついお前が居るやんけ!とは流石に言えないのでそこは黙った。

「じゃあメル。その子達に後で名前をつけてやってくれ。
 それはあくまでもメルの進化は系統外進化と呼ばれる特殊な進化だから
 バレない様に万全を期する為の措置だから気にしないでくれ。
 バレたら変な宗教や変な研究者が俺の素材を寄越せ的な感じで群がってくるからな?」

「分かりました!!」

「ケビンありがとう!」

 メルは驚き、ナギは嫌そうな顔をしていたけど、納得して頷いた後そう言って2人は頭を下げる。

「気にしないでくれ。ナギは明日から今日みたいに生意気盛りのガキんちょ共に稽古つけてくれれば良いから」

「任せろ!!」

 そんな時にラルは

『あ~時間が来ちゃった~ケビン~何かお菓子ちょうだい!今回のご褒美として~』

 空気読めや……しかも今回何かの贖罪に来たんじゃないの?
 集られてるけど呼んだのは事実だしな。


 「持ってけ!」

 俺はマジックボックス内にある保存食代わりのバタークッキーやワッフル等の甘いものを放出した。

 そういや神も精霊も甘いもの好きなんだよなぁ。

『じゃあ~帰るねぇ~またのご利用をお待ちしております』

「どこのお店だよ!!」

 ラルは帰り、光の精霊達はお菓子を食べてから帰った。

 午後、取り立てに来ない俺を心配したネロが訪ねてきて
 Sランク冒険者としてナギを紹介した所、魔力と気だけの体術勝負でナギに負けてネロがしょぼんと落ち込み
 ナギはBランク冒険者にギリギリで勝ったことに落ち込んでいたのを
 俺は庭の端っこで孤児院の子供達皆とお茶やお菓子を食べながら観戦して笑っていた。

 落ち着きを取り戻した孤児院は次の日また騒ぎを起こすことになるのであった。
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