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共和国編〜好きに生きる為に〜
150話
しおりを挟む『まぁ~悪いことじゃないしやっちゃえば?』
お前……簡単に言うけどな? 自分の姿形が変わったら結構ショックなんだぞ?
俺は視界に映る自分の髪の色を見て思考に耽ける。
俺の場合ははっきりいって運が良かったとしか思えないんだよ。
種族進化させたベースの魔人王が人族とよく似た姿だったから。
多分これだけだぞ? 本来であれば竜人族だって混血児じゃなかったら種族進化の先にある筈の道の筈なのだから。
ふと、そういやメルもナギもなんで精霊見えんの? 俺は普通に見える為に疑問にも思ってなかったことに気付く。
「なぁ? ナギもメルもなんで精霊見えんの?」
その言葉に2人とも首を傾げてナギは納得したかのように頷いた。
「あぁ、ケビンはそういや帝国生まれだったな。
共和国は多種族だ。今も昔もな、ダンジョンが密集した場所に多かったのが理由だな。
そうなれば分かるだろ?」
あぁそういうことね? 俺は理解したので頷く。
ダンジョンに潜るならパーティを組む、そして違う種族同士でも恋愛に発展して多くの種族の混血が生まれ更にその子供達が恋愛をする。
「この国の人は純粋な人族は少ないってことかな?
それに表記上人族でも先祖返りの力を持って生まれることもあるってことだな?」
2人共頷いて肯定してきた。
「へぇ、なら精霊術覚えた方が更に上を目指せるんじゃね?
斥候なんて精霊術と相性良すぎるからな?」
俺はそんな話をしている最中にメルの手を椅子に固定してカーテンで仕切って見せないようにした。
「えっと……ケビンさん? 見えないと怖いんですけど?」
困惑と怯えの混ざった声を出すメル。
「えっと今回やるのはこれを使ってこの少しだけ管の大きくなってる場所に貯まる血を浄化して戻す作業をする。
右手の動脈に空洞になってる針を刺して静脈に返す。
そうすることによって毒に犯された血を浄化してまた心臓に戻して綺麗な血を循環させるという処置だ
血以外なら錬金術と治癒魔法でゴリ押しで行けたんだけどな」
と説明してる間にあとは針を刺すだけになり光の精霊達もスタンバイOKだ。
「ひゃい!」
静脈にプスリと既に刺してます!
めっちゃジト目で睨まれておりまする。
そしてそんな彼女を見てナギが怒ったのか大きな声を上げた
「ケビン! 心の準備をさせ「ひゃい!」お前なぁ……」
のを利用して動脈にも刺した。
かなり色の悪い……って言うか何だこれ? 紫に近い青の血液が管を流れ始める。
この器具自体は全ての可能性を考えてナギがメルを迎えに行ってから作ったんだけどな。
太めの血管より少し太いくらいのガラス管を通りコブの所を通ると周りに居る精霊達が術を使い浄化して赤くなってきた、そして静脈へと吸い込まれていく。
「はい、メル。リラックスして落ち着いて呼吸しましょう!
今、貴方の血は綺麗になって体に戻っています。
多分、通常の解毒や状態異常回復の魔法では血管の概念が薄いし人間の体の中身が分かってないのでほぼほぼ薬が無かったら治せませんでした。
それでもこの血の浄化で綺麗に赤色の血に戻っているので最後に全て綺麗になれば治療は完了するでしょう! ナギ証明しろ」
そういうと笑顔でメルに頷く。
メルの顔が強ばっていた所から段々と柔らかくなって来た。
「さて……ここからは少し辛くなるぞ?」
その言葉に何故かメルだけではなくナギも顔がひきつる。
俺はマジックボックスからとある料理皿を取り出した。
ジャーン! レバニラ炒めだ! この世界の人は何故か内蔵を食べない。
内蔵を食べるのは獣系魔物だけなのだ。
「す、すごく美味しそうだな?」
「こらこらナギ? お前が物欲しそうに見るなよ。
これは血を作ることに適した栄養のある料理なんだからさ」
そう、悔しそうな表情をしたと思ったらメルにあーんをし始めた。
「お、美味しい……このお肉? は不思議なお味」
あんないい笑顔で食べてる彼女には何かなんて絶対に言えない。治療が終わったら言おう……
『果物でも良かったんじゃな~い~?』
「黙らっしゃい! 果物だと体が冷えて血流が悪くなるだろうが! 少しはものを考えてから話せ! ポンコツ精霊!」
これは実際に当たりである。
前世でもラフランスや梨は血液を作るには良いとされていたが
今はそこそこ長めの硬さの変わらない血管を増やしているのだ。
つまり血圧を著しく下げている。
食べ物を食べさせ、体を温めて尚且つ胃の活動を活発化させて血流を良くしようという狙いもあるのだった。
1時間後……遂にその時がくる。
15分で血の色は紫になり30分で赤紫になった。
そして今、血は完全な赤になり健康的な色に変わった。
「よし、最後に流れる血全てに浄化の力を流すぞ? 準備は良いか?」
『『『『ほーい!!』』』』
俺は魔法の浄化をかけて精霊達も流す。
すると血液が軽く光だしてメルも光だした。
俺はその姿を見て、前世の知識をフル活用して血管や臓器、細胞1つひとつが治れ念じて治癒の魔法を流した。
「え?」
『あ!』
メルとラルの声が重なって聞こえたが今は治療に専念してたので聞かなかったことにした。
最後に手足に残った石化現象に『ハイ・キュア』を掛けて治す。
そして『ハイ・ヒール』を掛けつつ針を抜いて処置を終えた。
「ふぅ。終わった……何か体に支障はあるか?」
俺が手を隠していたカーテンをマジックボックスにしまい、メルに目を向けるとポカーンとしていた。
そして俺もポカーンとするのであった。
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