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共和国編〜好きに生きる為に〜
147話
しおりを挟む無音は孤児達とトア達に任せる為に孤児院にぶち込んだ。
『悪い事した悪い子はこうなるかんね~』
と反面教師としての教材として。
子供達は遠慮も容赦も無いから、今は正しさとはこうだ! って言う子供持論を聞かされているだろうね。
戻ってくるとグルーダが確保されていた。
まぁ……アイツは孤児院で保護するにも更生の余地無いからなぁ。
そしておっさんから何故か、2人のギルドマスターが離れていたということはおっさんの独断ね?
「ふーん? そいつどうなんの? 権力振りかざしてこの土地を没収、持ってるもの没収しようとしたんだけど?」
「証拠は? 無いだろうて!」
あれ? やっぱりコイツもグルなの?
「そういや多分だけどアンタ生産ギルドのギルドマスターだろ?
俺にそんなこと言っても大丈夫なのか?」
「はぁ? 何でワシがお前にお伺いを立てなきゃならんのだ!馬鹿も休み休み言えっ!」
「へぇ、ふーんあっそ。ならもういいや!『リンカーボイス』」
俺は声をとある場所に繋ぎ届ける魔法を使う。
これは最初は風魔法のみで使っていたからリンカーにしたんだけど今は空間属性を使ってる。
『えっと、孤児院横のうどん屋のケビンです。今生産ギルドのギルドマスターが来て横暴で困ってますので技術供与は前回で終わりにしましょう』
俺はすぐに魔法を解除すると生産ギルドマスターは意味が分からないと首を傾げていたが……
5分もしない内に変化が起きる。
地鳴りがすると思えば遠くから土煙が見える。
「なっ!?なんじゃ!?」
物凄い剣幕で生産ギルドマスターの近くまで来た大勢の農家や畜産家やら鍛冶師やら裁縫師の人達は一言。
「「「「ケビンさんに迷惑かけんじゃねぇこのポンコツがぁぁ! 」」」」
そして生産ギルドのギルド証をギルドマスターにぶち当てて居た。
「貴様ら!何をしやがる! この街で商売出来ねぇ様にしてんやんぞコラァァァァ!!」
「「「「ケッ!てめぇみてぇなクソが居るギルド何てこっちから願い下げだ!」」」」
やーねぇ。凄い演劇の1幕を見たような感想しか出てこなかった。
「えっと……皆さんありがとう。それに1つだけ言って良いか?
生産ギルドって確か、共和国限定ギルドだよな? 元々はエルフやドワーフの技術を学んだり有用な技術を守る為に出来たものだ。
商売出来ねぇ様にしてんやんぞとか言ってたけどそれは商業ギルドの区分だろ?
お前、まさか……? 越権行為してないよな?
縛り首だぞ? 生活に直結するモノを奪うって言うのは。しかも無罪な人を」
生産ギルドのギルドマスターは明らかに顔が青いな? これは確定だろ。
俺は無言で生産ギルドマスターに近付き手枷足枷を着けた。
流石に非戦闘職じゃ俺の動きは一切見えずに急に手と足が動かせなくなり転んだ。
「冒険者ギルドマスターよ。それとグルーダの取り調べきちんとしろよ?
お前らには何の罪も無いかもしれないが……お前らを信頼して情報と証拠渡したのに裏切ったんだからさ。今度は許さないぞ?」
俺から少し殺気が漏れていた様で生産ギルドマスターが泡吹いて倒れた。
冒険者ギルドマスターは色々盛大に穴から出した生産ギルドマスターに対して苦い顔をしたが
グルーダと生産ギルドマスターを精霊術で浮かべて無言で頷きお辞儀をして帰って行った。
「さて! 皆さんのお陰で鬱陶しいのが去ったのでうどん食べていきません?
皆さんが作った物がどの様に調理されてるか気になるでしょうからね!」
しれっと薬師ギルドマスターが居たけど……
俺の魔力の活性状態も普通に戻っていたのにお姉さん姿だったので角だけ隠したっぽいね。
まぁ、魔人族は多少人族より寿命が魔力の多さで長くなるらしいから違和感を持たれ無いようにする為にしてたんだろね?
この日、元生産ギルド登録者達がこの街ではほぼ全員脱退して死に体になった。
共和国限定ギルドということもあり何とか存続はするようだけれど
この国には現在、昔の様に技術を教えてくれていたドワーフやらエルフ達は居ない。
ドワーフは……ご、ごめんなさい。俺のせいでした!!
ここ数年で凄い勢いで共和国からドワーフ達が消えたらしい。
全員がこういっていたらしい。
『さぁ、北の大地へ行くぞ! 夢の理想郷が待ってるぞ! ではサラばだ!2度と会うことはないだろう!』
場所を特定されると連れ戻したり攫ったりする奴が居るかもね的な注意を以前したのが効いてて笑えた。
何だよ、夢の理想郷って。
あ、酒と美味いツマミがあればそれは理想郷なのかもな。
それに暑い夏と寒い冬ほど酒が美味いからな!
メシウマ、酒ウマだったらそこは彼の種族にとっては天国だろうな。
エルフは元皇国に攻め入った時に『2度と故郷の土地を踏む気が無い奴以外は国に戻って来い』と強制徴収があったらしい。
まぁ全国展開規模の組織や何かしらの理由があれば断っても問題無いらしい。
農業関連に関していうとエルフは言い方悪いけどポンコツらしい。
そもそも、エルフは魔法や精霊術で農業してる。
人は人力か馬力でやる人が8割から9割なのだ。
技術貰っても意味ねぇってヤツだな。
養蚕技術や知識面では役に立っていたらしいけどね。
うどん? 大盛況でしたよ? 薬師ギルドマスターはキャーキャー言いながらカレーうどんを食べていた。
今更ながらに言うとこの元生産ギルドの農家さんや畜産家さん達は俺がスラムに改革を行った時に世話になり
お礼としてエルフの雑な知識を補完した時に仲良くなったのだ。
農家は腐葉土の利用方法。 冒険者に頼めばダンジョンの森フィールドの土を持ち帰る仕事は比較的良心的な値段で出来ることを教えたり。
畜産家さん達は錬金術ギルドへの依頼を頼んでも
全く魔道具のメンテナンスにすら来ないことに困っていたので
俺が魔改造して見やすく分かりやすくしたりしたことに喜ばれた。
その見返りにスラムの人達を雇ったり、新たに俺が耕した畑をスラムの人に渡して技術指導して貰った過去がある。
水路が無くて困ってる農家や畜産家も居たので俺が軽く魔法で引っ張ったりもしたのでギブアンドテイクということにしていたのだが……
俺があげた方がデカいと思ってくれてるらしい。
獣王国で水路引きは正直腐るほどやったので簡単だったけどね。
何より街の外で行っている畜産や農業で脆い雑な外壁をぶっ壊して広げて使いやすい様に新たに外壁を作ったことが1番の理由らしい。
外壁の下に水路通したのはやりすぎだったみたい。
この日、商業ギルドへの推薦状をまとめて書いて渡したら次の日感謝状が送られてくるのであった。
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