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共和国編〜好きに生きる為に〜

135話

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 あのゴミくそ事件から1ヶ月が経った。

 カーステッド帝国にギルド本部からの詳細な調査を求める書状が送られたが……未だにパニック状態らしい。

 それもその筈、帝国に現存する『免罪符』は全て管理がされており誰も奪われてすら居なく出処が分からないという問題と
 バルカン伯爵を問い詰めようと国軍を動かしたが既に帝都の邸宅も領地の邸宅どちらも、もぬけの殻だったという。

 いまやネロは頼んでいたスラムの若人達の立派なリーダーになっている。
 俺はそれを今確認しているのだけれど。

「おぃ!てめぇら。ガキ共はなるべく綺麗で逃がしやすい建物に配置しろって言ってんだろうが!
 はぁ? 働かざる者食うべからずでガキ共の仕事は遊ぶ事と勉強に決まってんだろドアホ!」

 いやーなんと素敵なチンピラでしょうか!
 言ってることは凄く正しく素晴らしい提案なのに言ってる奴がチンピラからマフィアの下っ端みたいな格好してるからね?

「ぶふぉ!」

 その様子を見てついつい吹き出してしまい存在がバレてしまった。
 ネロは恥ずかしそうに顔を真っ赤にしてこちらを睨み怒鳴ってきた。

「てめぇケビン!! 隠れてコソコソいつも見やがって!! 今日こそはてめぇをぶっ飛ばしてやる!
 あ、後。こっちで育てられない奴3人と就業体験5人送るわ」

「真面目なのか、真面目じゃないのかはっきりしろ中途半端ぁぁ!!」

 数日に1回こうしてからかいに来ているのだが怒りながらもキチンと報告はして来やがる。

 そしてやっぱり人が流動的に流れ商売もそこそこの品質をそこそこで売るという商売しかしてこなかった連中が多い為。

 俺の横やサイネ達を見てきたネロは商売にも強かった。
 そしてちゃっかりキモも太かった。あのギルドでの事情聴取後、スラムの若人の面倒を見るためには元手が必要と俺からガッツリ金を借りていった。

「いやぁ!本日も元金の回収です!」

「おう!キッチリ払ってやるから近寄って来いやコラァァァ!」

 いやいやネロよ。右拳に紫炎を纏って左手に革袋持ってるお前に誰が近付くんだよ!

 こうやって逃げる事により弛んだお腹も今やスマートになっているし
 この辺の高ランク依頼を半分受け持ってくれてるので金もガンガン右から左へ支払いまくってる。

 2人で区画整理したスラムの広場が見えてくるとそこでは俺とネロのやり取りと追いかけっこを見て手を振る子供達や
 必死に槍や剣を訓練してる子供達が視界に入る。
 ラーゼンが冒険者志望の子供達に剣や槍、気の青空教室を開いているのだ。

 朝早くからで無いと子供達は勉強や少しの雑用依頼があったりするのでこんな時間に訓練をしている。

 魔力型の子供達はギルドマスターがたまに開いているらしい。

 今日も朝からここ1ヶ月の風物詩となった追いかけっこも終わり俺も冒険者ギルドに向かうことにした。

 ネロ達の扱いは一応人質兼捕虜兼保護という形になった。
 実質、証拠を握るバルカン伯爵が消えたことにより戻ることもまた難しいらしい。

 うぇっ、めんどくせー。

 最近は魔法は俺。気はネロと街やスラムの子供達には大人達が修行すればあんなことができる様になると話しているらしい。

 タビは気になることができたと1ヶ月前にうどんの仕込みを全て子供達に任せて旅立ってしまった。

 そして今日までコツコツ依頼を重ね、俺はようやくここまで戻って来た。

「ケビンさんおめでとうございます! 最速Cランク復帰です!」

 そう受付嬢に祝福されギルド証を渡されたが俺は笑顔もなくひとつの依頼を渡した。

 受付嬢はそれを見てギョッとしていた。

「だ、大丈夫ですか? これ……」

 そう、俺が受けた依頼は4年前に失敗したダンジョンでの素材採取の依頼だった。

「えぇ、負けたままでは終われませんから。
 もしかしたらもう居ないかもしれないじゃないですか?」

 にこやかに話しているが、必ず出会える確信があったがそれは伝えない。

「本当に気を付けていってらしゃいませ!」

 俺はそう背中にかけられた言葉に手のひらをふり答えるのであった。



 俺があんのクソ野郎に負けた忌々しいダンジョンに入ると……

「あれぇ? 中身変わってない?」

 道が変わっていた。
 やっべ、情報買い忘れたわ。

 こうしてリベンジという名のダンジョン攻略が始まるのであった。

 武器と道具の準備をキッチリやったお陰で綺麗に情報を買い忘れるという落とし穴にハマるも取り敢えず入ることにする。

「あー……なんかいつも通りだよな。締まらない感じが」

1階~10階層までは全くもって出現する魔物に変わりはなかったのだが。

「うおっ!危ねー! ってちょっ!?」

 さっきから何回も罠にかかる。
 かなり嫌らしい罠が沢山あった。

 今受けたのは落とし穴が出て来て避けようと魔法を使おうとしたらその穴の上だけ魔法禁止結界が張られてるという徹底ぶり。

 穴の底にはネバネバとした粘着質なゼリーかトリモチの様な物が待ち構えてる最悪な罠だった。

「誰だよ……クソみたいな罠考えてるやつは。
魔法師殺しだろ? これ」

 俺は咄嗟に腰につけていた短剣を穴の側面に刺して難を逃れた。

「よっし! 次は階層ボスだぜ! 行ったるぜー!ふぁ!?」

 階層を繋ぐ階段を降りたすぐの罠を抜け出し階層ボスの扉を開こうと触った時だった。

 扉の前には魔法陣が輝きを放ち俺は再び罠にハマるのであった。

「ちきしょぉぉぉ!責任者だせコラァァ!!」

 ケビン、リベンジマッチは10階層にて転移魔法陣を踏んでストップするのであった。
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