変人奇人喜んで!!貴族転生〜面倒な貴族にはなりたくない!〜

赤井水

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共和国編〜好きに生きる為に〜

134話

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 ネロを上に吹き飛ばして数分が経った時ギルドマスターが慌てて立ち上がり上を見た。

「ば、馬鹿な!! 精霊召喚だと? しかも上位精霊だと? あんな色魔が……」

 顔を青くしてるねぇ。 いやマリウスは清廉潔白・曲がったことが大嫌い時代のネロと契約した子だし。
 元はネロにゾッコン死語だったカマリが素体だしな。

 ん? ネロの魔力や気力が膨大に消失したと思ったら何かアイツの雰囲気が偉く透き通ったぞ?

 まっ、良いか。

「んで? どうしますか? ラーメン「ラーゼンだ」失礼。ラーゼンさんとローズティア嬢。
 デッドオアアライブですよ? それともトリックオアトリート 死の抱擁か権力による甘美なる欲望どちらを選ぶか聞いてるんですよ?」

 ラーゼンさんは堅いなぁ。 毎回名前を間違えて空気を和まそうとしてるのに
 即答で間違いを指摘して来るもんなぁ。

 ローズティア嬢もヨイショ係が居なくなればただの甘ったれた非常識な塊のお嬢様だからな。

「ん? どうしたタビ?」

 何故か、タビがこちらをジト目で見てるから気になって指摘してしまった。

「い、いえ。非常識なのは貴方様もさほど変わらないかと。そう思っただけです」

 最近コイツ俺の心を読みよる。怖いぜ。

「普通、他国の貴族令息や令嬢に首だけになるか? それとも賠償金払う為に親に泣きついて失敗したら首だけになるかという2択を突きつける貴方様に常識はないだろうと」

 あ、あぁ……そっちね。
 驚かせないで欲しい、心をガッツリ読まれたかと思ったよ。

「いやぁ。大丈夫っしょ? カースド公爵様だよ? 娘狂いの。あれ? ネロの奴よくぶっ殺されなかったな?」

 ローズティア嬢……ポッじゃねぇんだよ?
 ほらラーゼンさんが頭抱えてんじゃねぇかよ。

「払えぬとなって我らの首を刈れば守護鬼が出てくるぞ?」

 はぁぁぁーん? ナンダッテェェ? クソ鬼?

「うん? それが? 国の威信が懸かった状況でそれが脅しにでもなると? ねぇ? ギルドマスター?」

 ギルドマスターは精霊が気になってて惚けてたが慌てて居住まいを正して参加してきた。

「あぁ。有名なクロス伯爵家が出てきたらこちらもギルド最高戦力を集めよう。
 既に、今回の件でSランクを動かす許可は頂いてます!」

 いよっ!どちらも虎の威を借る狐ですねぇ。

 そんな時扉が再びノックされ、ちょっとぽっちゃりネロ君からゲッソリネロ君になったネロが戻って来た。

 うわぁ……精霊信仰してるエルフとは言えそのだらしない顔はアウトだと思うぞ? ギルドマスターよ。
 マリウスが引いてるじゃないか。

「てめぇ、よくもやってくれたな!!」

「お? マリウス久しぶりー!元気にこき使われてた?」

 何かいきなりイキリ出したからこちらは無視でカオスな現場にしてやろうぜ!

『はぁ……このオークに呼び出されなかったからずっと下働きしてたよぉぉ。
 ねぇケビン? 鞍替えしちゃダメかな?かな?』

「ん? ネロが手放すならいいんじゃねぇの?
 ローズティア嬢を手に入れたんだからね?
 マリウスキープはちょっと男の恥だよねぇ」

 こういうネロを揶揄う時の俺とマリウスの息は数年ぶりというのにピッタリだった。

「うっ……いや、その……」

 何モジモジしてんだよぉぉぉ! 男のモジモジとか誰得だよ!

 ってマリウスよ。オーク呼ばわりしてんのね。

「まぁいいや。それで? ネロはどうするの?
 今のお前らの立場は戦争の引き金を引きかけてる途中だぞ?
 因みに共和国とギルドはやる気満々だぞ?

 同盟国の獣王国が動くかどうかも怪しい罪だからな。
 流石にね。平民相手だから何しても良いとはどういう事でしょうか? 孤児院育ちのネロ君?」

「……」

 沈黙は金なりと言わんばかりのネロは俺を見つめグルグルと思考を回してる様だが、俺は仕方なしと柏手を打ち鳴らし静寂を打ち破った。

「とまぁ、君達を責めて馬鹿にするのも一興だったんだけどさ。
 あれ、本当にバルカン伯爵の騎士なのか?」

 音に驚き俺を見つめていた3人……見習君いつまで気絶してんの?
 意味が分からないと顔を顰めたり首を傾げていた。

「ギルドマスターや兵士長さんが何も言わないことに少しは疑問を抱いて欲しいよ。
 奴らの手馴れた犯行。疑惑が沢山出てきた訳さ。タビあれを」

 タビは足下にあった箱から長方形の金属製の薄い板を取り出すと。

「な!? 何故それを彼奴らが持ってるんだ!!」

 ラーゼンさんがガタッという音を立てて立ち上がったと思ったら急に力尽きた様に椅子に座り放心状態になってしまった。


 俺はとある人物に魔法で声を届けた。

 ネロが心配してラーゼンさんの肩を揺らすが一切反応が無く。

「んん゛ぅっ。爺? ラーゼン爺?」

 小さな囁きから少しずつ大きくローズティア嬢が声を大きくしていく。

「ラーゼン!? ラーメェェンゥゥ!!」

「誰がラーメンじゃっ!ラーゼンと言っておるだろうがっ!!」

 顔が真っ青でコヒュコヒュ放心していた爺さんが顔を真っ赤にしてかろうじてこちらに戻って来た様だ。

 言った本人が護衛対象のお嬢様のせいで怒りの行き場をなくしこちらを睨んできた。

「あまりの驚きに爺さんがあの世に半分行きかけるのが悪いだろうが!」

「悪いが今回の裁定は一旦保留でな? 踏み倒した料金と壊した物の弁償。
 殺されたり乱暴された連中への賠償金の支払いをしてもらう。

 足りなければ、ギルドから借りろ。
 ネロはその弛んだ腹を何とかする位身を粉にして働け。
 ローズティア嬢はギルド提携教会にて治療系術師として働く事。

 あ、ネロはスラムに住め。そして困ってる連中に生き方を教えろ。
 お前が今の所、俺に勝ってるのはスラムでの生き方の情報や経験だけだからな」

 こんな軽い裁定にネロとローズティア嬢が驚く。

「ケビン……罰は受け入れる。その板が全てに待ったをかけてるんだろう?
 正直に答えてくれ。何だそれ?」

 はぁ。教えなきゃダメだよな? これ。

「これはな?  大陸の全ての場所で使える『免罪符』という魔道具だ。
 各国や大きな教会でも2枚か多くても5枚しかないやばい魔道具だ」

 俺は何がヤバいかは言わなかったが……

「うむ、余りケビン殿も知らぬ様だから儂が答えよう。
 『免罪符』とは門番で触る水晶の色を無視出来る魔道具じゃよ。
 これを持っているという事は各国のお偉いさん方に本来では許されない罪を犯す事を頼まれた国賓級のお客様兼犯罪者だ。

 大きな教会では断罪の瞳という水晶に反応する犯罪をこの魔道具を1年持てば精算されるのだ」

 そう……ここが怖い所なのだ。
 一生消えないという事であれば手放させないのでそこまで問題視されなかったが。
 1年我慢すれば反応すら無くなるのだ。

 普通は影という諜報兼暗殺部隊が使い身を隠したりする為の運用法として使われたり。

 高ランク冒険者が止むおえず無実な人を巻き込んでしまって反応した場合にのみ超法規的措置で使われる魔道具なのだ。

 まぁ実際は真実の瞳という嘘発見器で本当に止むおえなかったのかという
 面倒な取り調べを何回も行い使う超貴重な魔道具を一介の伯爵家の騎士が持っていて良い訳が無いので……

「つまり有り得ない事だが、国が加担してるか、他国の工作の可能性がある為に帰国は出来ない罰にしたという訳だ。
 帝国からの攻撃なのか? それとも帝国と共和国へ戦争を仕向けたい第3国の陰謀なのか判別が着くまでは共和国に居てもらうのが罰だ。
 街の人からの恨みつらみの視線は我慢しろよ」

 3人が頷くと俺は少し脅した。

「本当は奴隷落ちや礫の刑、晒し刑の首チョンパでも良かったんだけどな」

「「「コヒュッ!?」」」

 ニヤリと笑って伝えたら良い呼吸音貰えました!!

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