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共和国編〜好きに生きる為に〜

131話

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 俺は2つ名に少し凹みながら帰路に着いていると
 何か今日の兵士の人達の動きと住民の人達や街の空気がおかしかった。

 そんな時だった、急に俺に視線が集まり困惑してるとある人達が慌てて俺に近寄って来た。

「てぇーへんだぁぁ!!『裏ボス』!てぇーへんだぁぁ!!てぇーへんだぁぁ!!」

 何だこれ? 焦ってるのが分かるんだけど緊張感抜けるし。そして裏ボス大声で言うなよ。

「おい、慌てるなよ。それでどうした?」

 ふっ、俺は来年成人だぞ? 全てスルーして落ち着いてダンディにこのおっさんの話を聞くさ!

「わ、わりぃ。慌てちまって。それでさ!何か貴族を名乗る連中がうどん屋で暴れ始めたんだ!」

「それを早く言え!『テレポート』」

 俺は話を聞いて慌てて即座に転移するとそこには既に男3人切られて。
 少女1人が脚を切られ、もう1人腕を切られていた。

 ドクンッ!と心臓の鼓動と共にあの日の光景を思い出してしまう。
 咄嗟に吹き出そうになった魔力を制御下に戻す。

 そして俺は脚を切られて泣き叫び、服を裂かれた瞬間に
 その2人の騎士の格好をした連中に冷静に努めて声をかけた。

「なぁ? お前ら何してる?」

 ローブを被り、俺の顔は見えてないだろう。
 しかし。顔を見られて逃げられても面倒なので隠して行動している。

 2人の騎士は急に声をかけられた事に驚きつつも手を止めこちらを向いた。

「あぁ? なんだてめぇ。平民が貴族様に話しかけてんじゃねぇぞ!」


 少女の前に立っていた奴がいきなり切りかかってきた。
 俺は淡々とその質問に答えつつも避けてやった。

「うん? 俺はこの孤児院のオーナーだ。だこら人の敷地内で抜剣して何やってんだ? って聞いたんだが?」

 魔力も気の強化もしてない剣なんて欠伸してても避けれるしぶっちゃけガードしなくてもダメージが入らない。
 でも油断させるにはこれは必要な行為だ。

 少し驚きつつも距離をとる騎士。

「ほう? 多少なりとも剣の手解きを受けた事のある動きだな。武器は持っていない様だがな?」

 そして、気の強化をしてニヤリと笑う。

「見た所何も貴様からは感じん。多少護法程度の剣の手解きを受けた程度で次は躱せると思うなよ!!」

 俺も適当な構えをとると後ろの騎士がクッソ遅い魔力を練り魔法を放ってきた。

「『ロックバレット』死ねやぁぁ!!」

 その魔法の後ろから更に切りつけようともう1人の騎士が振りかぶって来ていた。

「いやぁぁぁぁ!!」

 脚を切られた少女の悲鳴が木霊した。

 そういやこの子達に実力見せた事ないな? なんて考えつつ行動する。

 ロックバレットの着弾時の砂煙と共にどサリという音が響く。
 人影が徐々に顕になるとそこに立っていたのは当然俺だった。

「なっ!?」

「痛てぇ、痛てぇよ、俺の足と腕がぁぁぁ」

 驚きと痛みによる苦悶の叫びは同時だった。

 俺は一瞬で魔力刃を展開してグルリと肩の付け根から太腿そして剣を持っていた腕を剣ごと細切れにした。

「お前も、この子達に同じことをしたんだ。それぐらい我慢しろゴミ」

 俺はゆっくりと魔法を使う騎士の方に向かおうと歩みを進めていると
 敷地内の空間に魔力のゆらぎが起きてそこには土下座したタビが現れた。

「も、申し訳ございません。食材の仕入れに行っていた所こんなことになっているとは!!」

 その時に残っていた騎士が逃走をはかろうとしたので俺は怒気を解放した。

「な、なんだこれ!? そして何の音だ。うるせぇぇぞ!何だこれ!」

 ガチガチガチガチという音が響くが……お前の歯が震えてガチガチ言ってることに一切合切気づかない。

 コイツらは弱者をいたぶることしか出来ないゴミなのだ。

「ふぅ、タビ。俺は彼ら彼女らの治療にあたる。お前はコイツらゴミから全ての情報を抜いて殺せ。命を助ける事は許さん。後は顔に傷をつけるな。
 街で今日だけでかなりの犯罪が行われたが全て自分を『貴族様』と名乗っていたそうだ。

 あぁ何故だろうな。この敷地内で好き勝手やった奴らも不思議だなぁ。
 貴族様とか言ってたな。頼むぞ?『ゲート』『サイコキネシス』『アポート』」

 俺は1番広い部屋に彼らを連れて寝かせた。

「け、ケビュンしゃま……ごめんにゃさい」

 ガタガタと震えながらも皆がそう謝ってくるのことに俺は悲しくも怒りも込み上げてきた。
 俺は出来るだけ笑顔を作り一人ひとり頭を撫でつつ優しく声をかけた。

「気にするな。起きた時に皆五体満足に治してやるさ。眠りなさい『スリープ』」

 全員が眠った所で俺はアポートで切り飛ばされた手足を取り寄せ『クリーン』と『浄化』を施す。

 そして『治癒』で治していくが……

「チッ。低品質な武器のせいで傷が残るじゃねぇか!!」

 かなりイライラした。そこからは錬金術の応用で細胞に語りかけ復元術式を施す。

 そのまま全員に飲ませる為の薬を錬金術で調合した所でタビが入って来た。


「報告致します。彼らは帝国とは違い共和国は平民しか居ないと教えられて育ってきた様で。
 更には度々帝国の親の領では同じ事をしていた様です。

 後は……ネロ様とローズティア様の護衛とひて無理やり国の体裁として連れてこられたそうです」

 俺は頭を抱えたと同時に1つ決めた。

「よし!タビ。首を持ってギルドに行こうぜ!」

 俺はギルドにとんぼ帰りするのであった。

 そして今。タビの資料を読み終わったダダンとギルドマスターに頭を抱えられてる。

「あーそうだよなぁ。自分の敷地内兼保護してる子供が殺られかけてたら殺るよなぁ」

 何故か微妙にギルドマスターからは納得と賞賛を受けつつだけどな。

 すると個室のドアがノックされると兵士の1人が入って来た。

「君があの2人を切ったという人だな? すまない。
 我々が不甲斐ないばかりに迷惑をかけてしまった様だ。私の名前は兵士長のサマールだ。
 先程確認してきたが、あの2人で間違いない助かった」

 この後、詳細を聞かされたが酷いというレベルではなかった。
・無銭飲食4件(うち含め)
・カツアゲ36件
・窃盗30件
・婦女暴行13件
・殺人3件(今の所)

 スラム地域にも入っていったらしくもっと増えるかもしれないと。

 俺はそこで決めた。

「よし!責任取って貰いましょうか。帝国に!それとあいつらが護衛してた連中に土下座してもらいましょ!」

 ギルドマスターはキョトンとして、ダダンは困惑してサマールは多分誰が来ているか知ってるから顔を真っ青にしていた。

「なぁ、ギルドマスターさん? ギルドって確か緊急速報用に通信魔道具あるよね?」

 何故か驚くギルドマスターとダダン。
 あれ? これって機密扱いなのか?

「な、何故それを!? 」

 ダダンが驚愕に満ちたかすれ声で質問をしてきた。

「いや、帝国の北の辺境領のギルド支部では最初に教えて貰うけど?」

 あそこは魔境だからなのか? 普通に一時的に魔の森討伐依頼受けようとしたら教えて貰ったぞ?

 その話を聞いてダダンの顔色が戻った。

「あそこは特殊ですね。変異種が出た場合の撤退戦を常に想定してますから」

 手に負えないなら逃げ続けて強者を待つか連合軍で対応せよって奴だもんね。

 こうして俺はニヤリと笑みを浮かべ色々提案した後。
 タビと一緒に帰って、スクテロとトヤが戻ってきていたので今日の話をして警備体制の強化をはかるのであった。
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