上 下
117 / 296
共和国編〜好きに生きる為に〜

116話

しおりを挟む

 昨日の宴会騒ぎでうどんを大体的に食べさしてしまったので
 今日からタビは屋台を開くと言うので俺は手伝いに回った。

「本当に宜しかったので? ケビン様?」

 俺は頷きながらトッピング用の玉ねぎとオーク肉の炒め物を作る。

 同時並行で鳥の炙り肉も作る。
 錬金術のいい所は最良の物は作れずとも、普通の物はそれなりに作れるという事だった。

「タビ、昨日魚のすり身を竹に巻いて貰った奴大量によろしく!」

 そして、トッピングには竹輪を追加した。
 理由は簡単だった、この地域の魚は骨が多くて食べづらいが美味しい魚が多かったので

 他の店ではつみれの様にしていたので、差別化をはかる為に竹輪にしたのだ。

「これって、肉やチクワだけの為に作ったのですか?」

 俺は首を横に振る。

「肉の切れ端を串に沢山刺して、焼いて小麦粉で焼いた生地で野菜と包んだりも出来るぞ?

 それと、砂糖や牛乳、バターを小麦粉に入れた生地を焼いては塗って焼いて、塗っては焼いてを繰り返して作る甘味等にも使える!」

「け、ケビン様!またも革命では無いですか!

 後ほど、真似されない様に外で作りましょう!」

 俺は驚きつつも、まぁいいかと。

「肉の切れ端の料理には少し肉の臭みが気になるかもしれんから
 匂いの強いカレーをソースとして使うと良いかもな?」

「是非!やりましょう!」

 カレー狂いのタビは即答してやると言い出した事には少し苦笑いしてしまうのであった。


 こんな事をしていると、準備は着々と進んで行き昼前に開店した。

 木の器は一応、回収しようとしているが
 多分持っていく奴が居るので気にせず作業していく事になった。

 茹でる作業は余程の事が無い限り見せ無いことにした。
 どうやって作っているか隠す事に決まったのだ。

 衛生面を考えてトッピングもマジックボックスから出して使う。
 文字が読めない奴が多い世界でどうやってトッピングを選ばせるかと言うと……

 実は、食品サンプル風に作ったトッピングをスライムゼリーで包み込み固形化させて食品サンプルにしたのだ。

 その下に一応読める人用に文字を書いて値段を書いて
 その横にトッピングの値段分の硬貨数を描いた。

 そして、その横に木の板を引っ掛けてそれを持って行けば
 そのトッピングとうどんが出てくるというシステムにしたのだ。

 まぁ、食券機の応用だね!

「豚卵一丁!」

「へい!豚卵一丁!」

 こんな感じで後は名前自体を覚えて貰えばそのうち名前は浸透していくってわけだ!


「うめーー!!」

 こんな反応も間近で感じれるのは得だよなぁってマジで思うわ。


「この、スーパーメガ盛りって時間内に食い切ったら返金ってマジかい?」

 これが俺の秘策ではないが、やりたかった事の1つだった。
 前世では、量の多さが選べたがこの世界では多いか少ないかのどちらかの2極化だったのでそれならと
 大食いチャレンジをしてみた!

 そのうち激辛チャレンジもしてみたいが……
 香辛料の高いこの世界では採算が取れなさそうなので今の所は寝かせている案だ!

「あいよ!チャレンジ入りました! この砂時計が落ちきるまでに食べ切ったら無料だよ!」

 俺が器を置くと、大柄の男性が食べると思いきや小柄な女性がチャレンジャーの様だ。

 あ、これはクリアされそうだな……まっ!いっか!

「よーい!スタート!!」

 大柄の男性で本当に5、6キロ食べれる人は少ない。

 これは脂肪で胃が圧迫されて物理的に入らないからだ。
 つまり大食いチャレンジをしている人達が痩せている人が多いのはしっかりと化学的に理にかなっているのだ。

 ~30分後~

「ぷはっ!この屋台サイコー!!」

 うひゃーすげえお腹膨らんでるけど食べきったよ!

「おめでとうございます!!料理代金返却しますねー!
 またのご来店お待ちしておりまーす!」

 この世界では前世より小麦粉が安いので食べ切られても
 たいして痛手では無いのがこう言ったチャレンジを行える理由だった。

 まぁ、肉もタビと俺の自己調達なので原材料は調味料と野菜以外
 ほぼ0なのでこう言ったイベントはラッキーでしかなかった。

 勿論、残しても持ち帰って貰う気満々なのでそう言った意味でも今日の屋台は成功だった。

 夕方惜しまれつつも閉店した。

「タビ、大成功おめでとう!1人でも行けそうか?」

「はい!大丈夫ですね! チャレンジだけは少し近くで食べてもらわないと行けないですけどね?」

 2人で、余った麺を焼きうどんにして食べた結果……
 大騒ぎになったのは初開店でのいい思い出になった。


 普通の屋台と違い、店の片付けも一瞬なのがタビという男だ。
 ハビスの血族であり、空間魔法使いという希少な奴で
 しかもとても器用な為に、魔法を教えると直ぐに『クリーン』は使える様になった。

「『クリーン』、ケビン様!この魔法エグいですよ!
 こんなにこべり着きそうな油汚れが一瞬で取れましたよ!」

 油汚れも魔法で、片付けも魔法で一瞬なので本当に必要なのは魔力ばかりになっている。

 伸びを気にして作り立てを用意する麺もマジックボックスを使うことによって
 その短所を克服してしまった。

 これは……タビの屋台売上1位までかけ上がれると確信した日になるのであった。

 こいつマジで、優秀過ぎてこんな所に居る奴じゃないよねー……
しおりを挟む
感想 74

あなたにおすすめの小説

幸福の魔法使い〜ただの転生者が史上最高の魔法使いになるまで〜

霊鬼
ファンタジー
生まれつき魔力が見えるという特異体質を持つ現代日本の会社員、草薙真はある日死んでしまう。しかし何故か目を覚ませば自分が幼い子供に戻っていて……? 生まれ直した彼の目的は、ずっと憧れていた魔法を極めること。様々な地へ訪れ、様々な人と会い、平凡な彼はやがて英雄へと成り上がっていく。 これは、ただの転生者が、やがて史上最高の魔法使いになるまでの物語である。 (小説家になろう様、カクヨム様にも掲載をしています。)

転生王子の異世界無双

海凪
ファンタジー
 幼い頃から病弱だった俺、柊 悠馬は、ある日神様のミスで死んでしまう。  特別に転生させてもらえることになったんだけど、神様に全部お任せしたら……  魔族とエルフのハーフっていう超ハイスペック王子、エミルとして生まれていた!  それに神様の祝福が凄すぎて俺、強すぎじゃない?どうやら世界に危機が訪れるらしいけど、チートを駆使して俺が救ってみせる!

悪役貴族の四男に転生した俺は、怠惰で自由な生活がしたいので、自由気ままな冒険者生活(スローライフ)を始めたかった。

SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
俺は何もしてないのに兄達のせいで悪役貴族扱いされているんだが…… アーノルドは名門貴族クローリー家の四男に転生した。家の掲げる独立独行の家訓のため、剣技に魔術果ては鍛冶師の技術を身に着けた。 そして15歳となった現在。アーノルドは、魔剣士を育成する教育機関に入学するのだが、親戚や上の兄達のせいで悪役扱いをされ、付いた渾名は【悪役公子】。  実家ではやりたくもない【付与魔術】をやらされ、学園に通っていても心の無い言葉を投げかけられる日々に嫌気がさした俺は、自由を求めて冒険者になる事にした。  剣術ではなく刀を打ち刀を使う彼は、憧れの自由と、美味いメシとスローライフを求めて、時に戦い。時にメシを食らい、時に剣を打つ。  アーノルドの第二の人生が幕を開ける。しかし、同級生で仲の悪いメイザース家の娘ミナに学園での態度が演技だと知られてしまい。アーノルドの理想の生活は、ハチャメチャなものになって行く。

元34才独身営業マンの転生日記 〜もらい物のチートスキルと鍛え抜いた処世術が大いに役立ちそうです〜

ちゃぶ台
ファンタジー
彼女いない歴=年齢=34年の近藤涼介は、プライベートでは超奥手だが、ビジネスの世界では無類の強さを発揮するスーパーセールスマンだった。 社内の人間からも取引先の人間からも一目置かれる彼だったが、不運な事故に巻き込まれあっけなく死亡してしまう。 せめて「男」になって死にたかった…… そんなあまりに不憫な近藤に神様らしき男が手を差し伸べ、近藤は異世界にて人生をやり直すことになった! もらい物のチートスキルと持ち前のビジネスセンスで仲間を増やし、今度こそ彼女を作って幸せな人生を送ることを目指した一人の男の挑戦の日々を綴ったお話です!

システムバグで輪廻の輪から外れましたが、便利グッズ詰め合わせ付きで他の星に転生しました。

大国 鹿児
ファンタジー
輪廻転生のシステムのバグで輪廻の輪から外れちゃった! でも神様から便利なチートグッズ(笑)の詰め合わせをもらって、 他の星に転生しました!特に使命も無いなら自由気ままに生きてみよう! 主人公はチート無双するのか!? それともハーレムか!? はたまた、壮大なファンタジーが始まるのか!? いえ、実は単なる趣味全開の主人公です。 色々な秘密がだんだん明らかになりますので、ゆっくりとお楽しみください。 *** 作品について *** この作品は、真面目なチート物ではありません。 コメディーやギャグ要素やネタの多い作品となっております 重厚な世界観や派手な戦闘描写、ざまあ展開などをお求めの方は、 この作品をスルーして下さい。 *カクヨム様,小説家になろう様でも、別PNで先行して投稿しております。

異世界転生!俺はここで生きていく

おとなのふりかけ紅鮭
ファンタジー
俺の名前は長瀬達也。特に特徴のない、その辺の高校生男子だ。 同じクラスの女の子に恋をしているが、告白も出来ずにいるチキン野郎である。 今日も部活の朝練に向かう為朝も早くに家を出た。 だけど、俺は朝練に向かう途中で事故にあってしまう。 意識を失った後、目覚めたらそこは俺の知らない世界だった! 魔法あり、剣あり、ドラゴンあり!のまさに小説で読んだファンタジーの世界。 俺はそんな世界で冒険者として生きて行く事になる、はずだったのだが、何やら色々と問題が起きそうな世界だったようだ。 それでも俺は楽しくこの新しい生を歩んで行くのだ! 小説家になろうでも投稿しています。 メインはあちらですが、こちらも同じように投稿していきます。 宜しくお願いします。

転生したらチートでした

ユナネコ
ファンタジー
通り魔に刺されそうになっていた親友を助けたら死んじゃってまさかの転生!?物語だけの話だと思ってたけど、まさかほんとにあるなんて!よし、第二の人生楽しむぞー!!

称号チートで異世界ハッピーライフ!~お願いしたスキルよりも女神様からもらった称号がチートすぎて無双状態です~

しらかめこう
ファンタジー
「これ、スキルよりも称号の方がチートじゃね?」 病により急死した主人公、突然現れた女神によって異世界へと転生することに?! 女神から様々なスキルを授かったが、それよりも想像以上の効果があったチート称号によって超ハイスピードで強くなっていく。 そして気づいた時にはすでに世界最強になっていた!? そんな主人公の新しい人生が平穏であるはずもなく、行く先々で様々な面倒ごとに巻き込まれてしまう...?! しかし、この世界で出会った友や愛するヒロインたちとの幸せで平穏な生活を手に入れるためにどんな無理難題がやってこようと最強の力で無双する!主人公たちが平穏なハッピーエンドに辿り着くまでの壮大な物語。 異世界転生の王道を行く最強無双劇!!! ときにのんびり!そしてシリアス。楽しい異世界ライフのスタートだ!! 小説家になろう、カクヨム等、各種投稿サイトにて連載中。毎週金・土・日の18時ごろに最新話を投稿予定!!

処理中です...