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共和国編〜好きに生きる為に〜

109話

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 アサダ州を抜けてモリス州の第2都市ゴメダに俺達は翌日に着いていた。

 ここは道中調べた所、D~Bランクダンジョンがある中堅都市になる。

 流石、数多くの小国が集まって出来た国だと思う。
 帝国とは比較にならない程ダンジョンがある。

 いや、ダンジョンがあるから帝国と渡り合えると言った方が正しいのと
 帝国が大陸中央に居を構えているからこちらまで来てないという考えも出来るか。

「次、身分証と目的を」

「Dランク冒険者で同行者2名。冒険者登録をする予定。ダンジョン目的で来た」

 俺の後ろのトアとトヤを見て、水晶を触らせる。

 これが赤く光ると神に好き好んで犯罪をしていると認定されて街に入れなくなる。

 生活が苦しくて小さな罪を重ねている浮浪児は水晶に引っかかる事はない。

 そして、もう1つ黒く光る時があるらしいがこれは魔法契約の違反及び逃亡奴隷が当てはまるらしい。

 今の時代、正しい奴隷は犯罪奴隷のみと国際法に制定されている為。
 見た目ではそのまま保護されるらしい。


 俺達3人は青に光る。
 2人が身分証が無いため銀貨3枚ずつ払う。

 ちょっと驚いていたのは俺がDランク冒険者なのに普通に銀貨を立て替えた事にだろうな。

 2人は今ローブを被っている。
 それを訝しんでいるので俺は耳打ちした。

「冒険者ギルド規定の保護対象種族だ。通さないとギルドと敵対行為にされるぞ?」

 ギョッとしてこちらを見て

「よし!通れ!」

 こうして、ゴメダに入り早速冒険者ギルドに向かうのであった。


 冒険者ギルドの建物の前に着いて俺はめちゃくちゃ油断していた。
 ここは帝国ではない事に。


 受付に向かおうとすると3人のおっさん? いや、2人は若そうな奴らに道を塞がれた!

「おい!ガキがこんなとこに来んじゃねぇ!!」


 おぉ……夢にまで見たテンプレ展開来たぁぁぁぁ!


「あぁ? なんだよおっさんら。俺達をどうしようが勝手だろ?」

 トヤ君は“まぁまぁまぁ落ち着きましょう“というテンプレセリフを学ぼうよ。

「け、ケビンさん。どうしましょう?」

 あ、トアが少し怯えてるからここは俺が前に出よう。

「あー悪いね兄さんがた。俺が一応Dランク冒険者だ」

 俺は冒険者証を出す。

「ぷっ、どこのアホなギルドがお前みたいなガキに冒険者登録させたんだよ?」

「あ“?帝国だけど? お前らうるさいからぶっ飛ばしても文句ねぇな? 」

 冒険者ギルド内が静まり返る。

「あぁ。コイツらか……悪いねそこの坊や。
その物騒な殺気抑えてくれんかい?

 ここの連中の1割位しか受け止めきれないんだよ」

 俺はその静まり返った所に響いた声に注視すると
 受付カウンターの裏からエルフの女性が出てきた。

「「「ギ、ギルドマスター!!」」」

 へぇ、荒くれ者共を管理する人がこんな物静かな……いや訂正。
 明らかに獲物を見つけた獰猛な獣の瞳してるわ。

「それじゃあ3人とも個室に来な。それとアホ3人組。
 明日から懲罰依頼こなしな。冒険者証を出してる坊や以外が
 ローブ被ってるんだから多少は訳ありなのを気付きな。

 こんなだからDランクより上に上がれないんだよ」

 アンポンタン3人はDランクか、まぁ装備はそこそこだけど
 物理攻撃全推しのパーティじゃ上に上がるのは難しいな。

 どうしても斥候か魔法使い、神官はどこかで必要になるからな。

 薬やポーションだけでクリアも出来なくないが収納リングや収納スキル。
 空間魔法が必要になるからな。

 俺達はギルドマスターに先導されて個室に向かう。
 俺はそのまま防音結界を張った。

 ギルドマスターは俺を見つめてため息をはいた。

「ランク詐欺じゃないかい?」

 俺はニヤリと笑い

「ん、よく言われる」

 と返した。

「それで、お前さんがここに来た理由はこの2人だろ?」

 俺は頷き本題に入った。

「この2人はトアとトヤ。アサダ州のアミラ近郊のダンジョン1階層に居た所を保護した。

 洗礼式も終わってない状態で潜ってたからそこのダンジョンで多少は鍛えた。
 片親は多分ウォータードラゴンかフロストドラゴンのエンシェントクラスだな。

 2人の魔法適性が水や風、氷だから推測になるけどな。
 という訳で竜人族だから保護してくれ」

 ギルドマスターは魔道具の箱を差し出して来たので俺は冒険者証をそれに翳す。

「おいおいおい。アンタも訳ありじゃないかい……
 どういう事だい? 帝国とSランク冒険者より情報提供を求められてるよ?」

 俺はやっぱりかと苦笑いした。

「帝国で学園に通ってたけど、囲いこもうとした奴が居てな?
 逃げ出してきた。Sランク冒険者はカロンなら情報提供しても良いけど。
 プラテリアは同じ囲い込みだから避けて欲しい。
 俺が跳ね返せるだけの力を持つまでは」

 ギルドマスターだけでは無くて、トヤやトアも驚いていた。

 この後、2人はEランク冒険者として活動を許されたのであった。

 最初、Fランクで登録されそうになったがごねた。
 竜人族なのがバレると困るのと既にダンジョンに入ってる為、適正から外れていると。


 流石にDランクスタートは権限外との事だったので仕方なく登録となった。

 2人は先に宿に護衛付き(案内称して)で向かってもらい
 俺はギルドマスターと残り1つの革袋を置いた。

「どういう事だい? これは?」

「うん? あの2人のしばらくの面倒を見て欲しいという
 ギルドマスターに直接的な俺からの依頼だよ。

 アサダ州では常に人攫いに狙われてきたから多少のランクの宿では危険過ぎる。
 今回はそれとなく上のランクにして貰ったけど
 早急に本人達の強さを引き上げて貰わないといけない。

 特にトヤの方に関しては俺では無理だからな。
 気の修練は殆どしてないタイプの魔法剣士なんだよ」

 そこでようやく納得が行ったと革袋を受け取り中身を見て固まった。

「どこぞの王族かい?」

「違うわっ! 俺の記録見たんだろ? 
 ソロでDランク+適当な魔物狩ってたらそれなりに金儲け出来るわっ!

 それに商業ギルドでも稼いでるからな」

「あーたまに居る変態的な奴だね。カロンと知り合いなのも頷けるね?
 あの子は戦闘能力が高過ぎる商人と言うより商人になりたくて冒険者になった口だからね」

 あー確かにその通りだな。
 今時、自分で売り物仕入れに行く商人がどれだけ居るかだよな……

 ダンジョンに潜る以外の経費無いからな。
 ぼろ儲けだろうな。

 こうして、やっと共和国で冒険者活動が始められると内心喜ぶのであった。
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