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共和国編〜好きに生きる為に〜

108話

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 次の日の早朝、アサダ州を抜ける為にトヤはダッシュしていた。

 これは、トヤの1つの弱点で気の力を放出し過ぎてすぐにバテるという理由から来た修行だった。


 俺は魔圧と幻影の魔法を駆使してトヤを追い掛ける。
 人間ってあれじゃん? 危機感無いと本気にならんしな。

「ほらほら、気を抜くと死ぬぞ!?
 できる限りダッシュしつつも体力を維持するんだよ!?」

「ケビンの鬼ィィ! 何だこの魔物はぁぁ!」

 俺がトヤにかけている幻影はBランクの魔物のアサルトタイガーだった。

 コイツの特性は嬲る事にある。
 相手が自分より弱いと分かると遊び始めるのだ。

 そして最後には疲れ切った所をカプリと頭を食われる。

 初めて出会った時は……うん。
 ネロが首をすっぱり切っちまったから強さは知らないが
 奇襲を仕掛けてきた時のスピードを参考に作ってあるから相当速いと思う。

 後からギルドに提出したら相当な騒ぎになって強さを知ったくらいだったからな。


 コイツの嫌ったらしい所は全ての魔法も物理攻撃が足止めという事だ。

 雷属性(弱)と氷属性(弱)しか持ってないが痺れと凍傷に気をつけなければならない。

 物理攻撃も脚や肩を狙って弱らせる攻撃しかしてこないのだ。

 トヤが必死に逃げて避けている間、トアに必要な事はまず動体視力がな為に
 魔力操作をして魔力を瞳に集める作業をして貰ってる。
 これで反射神経と動体視力が上がってくれると楽なんだけどな。

「おいコラ!トヤ!荷台牽引してる俺よりも遅いとは何と情けない。よよよ」


「嘘泣きすんなぁ!がぁぁぁ!!」

 バタン……

 おい、言ったそばから倒れんなよ。

「『念力』ほいっとな。トア。トヤ受け止めてくれ」

「はい、ふぅ。基礎をどれだけ疎かにしていたか実感してます」

 俺は苦笑いした。

「普通の人は基礎を今頃始める頃だから気にすんな。
 俺達は冒険者として生きて行く必要がある為に他の連中より先行しないと生きていけないんだよ。

 冒険者だろうと他の職業だろうと実力社会だ。
 まぁ、例外はあるにしてもな? それでも冒険者には毎年数千人という人が入って来て
 次の年には半分から6割は死ぬか引退するんだ。

 まぁ、冒険者になるしか無いやつが引退すれば後は死ぬか辺境の村に行って畑を耕すしか無いんだ。

 まだまだこれから先は長いからな。しっかり基礎から覚えようぜ」

「はい!頑張ります!」

 俺は途中から段々と面倒になり、視認出来る位置に『ゲート』を開き転移した。

 トアは集中していて気付いて無いみたいだな。

 結局半日かけて数百キロの移動をした。

 膨大な魔力と転移魔法というチートがなければ無理な移動だろうな。

 ん? あれ? ゴーレムチートとかあれば出来るかもな?

 でも、今は素材が無いから無理だな。

 俺達は関所を抜けた後に昼食にする事にした。

「トヤ、トア。どうだ? 収納リングは」

 お昼は各自の収納から出す事にしていたので性能を確かめていたのだった。

「まだ温かいですね!でも買った時よりかは多少冷めていると思います」

「肉もそんな感じだなぁ」

ふーん、時間停止じゃなくて引き伸ばしかな?

「まぁ、2人共わかってる通り収納リングはかなりの価値を持つ。
 だからお前らのその指輪は親の肩身や代々家に伝わる物と周りには言っとけよ?

 それはお前達の血族なら使える様に設定はしてある。
 そしてそれを作れる様にしたのは龍神だから毎日お祈りしとけよ?」


「「はい(よー)!」」

 それにしても……マジックボックスってかなりヤバい代物って収納リングの性能確認して気付いたわ。

 俺もハビスも普通に時間停止の時空間魔法として扱ってたけどさ?
 普通に考えて今まで他の奴でこの魔法使ってる奴見た事ないな?

 ハビスチート野郎だったとは(棚上げ)。

 今思うと、戦闘面では父上もハビスもネロもチートだよなぁ。
 俺は何度も言うが、棚に上げるぞ?

 錬金術というそれなりのチートに治癒魔法と考えれば死んでなきゃ大体治るというクソ野郎だからな。

 唯一厳しいのは病気と毒だろう。
 寝てる間や気付かない内に即効性の毒を盛られると殺られる可能性がそこそこあるからなぁ。

「さぁて!関所超えたらめちゃくちゃ次の街まで遠いらしいから飛んでくぞ?『フライ』」

「「……」」

 何かさっきから静かだな?

「どうした? 高い所ダメだったか?」

「なぁケビンって人の事ズルいだあーだこーだ言うけれど。1番狡くね?」

「ちょっとこれは擁護出来ませんね? 
 飛べる種族はもう既にほぼ居ないのに魔法で飛べる何ておかしいと思います」

 ははは……前にアロンダイトに借りたローブの魔道具の魔法コピーできちゃったんだよねー。

 流石は神の魔法だけあってな? コスパ最強なんだよー!

「あはは……最高速度でぶっぱなすぜ!行くぜ野郎ども!!」

「「に、逃げたってぎゃぁぁぁぁ」」

 最高速度で次の街までぶっ飛んで行く3人だった。

 さーて明日はダンジョン都市手前にある1番賑わってる都市だからなぁ。
 掘り出しもんがあれば嬉しいなぁ。



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