変人奇人喜んで!!貴族転生〜面倒な貴族にはなりたくない!〜

赤井水

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本格始動知識部!

96話

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 カロンがビストに到着した事により獣王国の民は文明を味わってしまった。

 便利とは劇薬である。

 1度質の高い文明を使えば、少しでも生活の質が落ちると不満が出る。

 前世で言うと

ーーある日汚い公衆トイレが建て直しになり綺麗になった。
 使用者は綺麗な公衆トイレにとても喜んだ。

 数ヶ月後、少しでも汚れたり臭いが出ると市役所に苦情が入るようになった。


ーーとまぁ、1度使ってしまえばその欲を満たせるのは同一の質の商品か、それよりも良い商品だけなのだ。

 そして、カロンには事前に羨ましいと思える上に、その土地その現地の人達にしか作れない商品を集めて来てもらっていた。

 獣人族は昔から根こそぎ奪っては焼き討ちするなんて最早盗賊団の様な動きも一時期していたのだ。

 家や土地や食料を奪い、相手側が軍や冒険者を出し現場に向かっても
 既に、そこには燃え尽きて灰になった村しか残ってなかったりもしたそうだ。

 俺は、奪うのでは無く。生産者に感謝や尊敬の意を払える様な意識改革の1歩をしてみたのだ。

 カロンはその商品1つ1つをどこの国のナンタラさんが手塩にかけて育てて来たと
 物凄い、上手いプレゼンだった。


 カロンのクランはSランク冒険者のカロンが所属しており。
 共和国内では非常に権力を持っている。

 そして冒険者としても商人としても一流なので俺の期待に完璧に答えてくれた。

 見返りとして、複数のお酒を提供した。

 最初は『奪えば良い』と言っていた連中や実行に移した連中は顔が真っ青である。


  カロン達は毎日自分に適した強さのダンジョンに行き
 鍛錬してる連中にとってその襲撃という発案が悪手だった。
 と言うよりカモネギ鍋だった。

「いやみを1つか2つ入れてやろうって注目してたらついつい、名指しで呼んじゃってねぇ~」

 今、俺の横に居るのは報酬を貰いに来たカロンで
 椅子を取り出し俺達に城(笑)に行った時の会合でのやらかしを聞いてた。

「でさぁ、1つだけ言いたいんだけど」

 彼女は真面目な顔をして俺達の居る高台から後ろを向き

「あれ、何?」

 俺とネロは目をそらした。

 カロンが到着して、カロンとカロンのクランが各地に商品を振り分けして商いを開始した1週間後。



「坊ちゃん来やしたぜ!!」

 と北の辺境伯で鍛治や大工をやっていたドワーフ族と
 これから北の辺境伯の村に入りたいという希望ドワーフ族が

 俺に恩を返すと酒の元祖を作った俺の顔を拝みたいと辺境伯と皇帝陛下に直訴して獣王国まで来たのだ。

 基本的に獣人族以外の亜人種と言われる種族は皆、長命種で尚且つ厳しい環境で隠れ暮らして居た為に
 そこら辺の人族よりも遥かに強い。

 そしてとある暴走執事による仕事により凄いスピードでビストまで来たのだ。


 彼らは俺とネロの魔法を使った基礎工事を見て

「流石坊ちゃん!魔力押しの荒い仕事だが最低限度の仕事は出来てる。

 他はダメだな? 坊ちゃんが最後に圧縮かける予定だったんでしょうけどな!ガーハッハッハッ!」

 そこに現れた、現場監督が文句を言って後悔した。

 全ての職人の祖と言われるドワーフ族に喧嘩を売ってしまったのだから。

 そこから直ぐに喧嘩祭りになり、次の日からドワーフ族が現場監督になり建築組とレンガ組に別れた。

 今まではレンガも俺1人でも余裕のスピードだったが……

「てめぇら坊ちゃんは本来酒造りに忙しいんだよ!
 数年かけるつもりかボケェ!!」

 と工房で怒鳴り散らしながらもしっかりと獣人族と人族の見習い達を教えこみ。

 情報漏洩は止めてもらいたいわ。

 建築では

「てめぇら!数百年後もこの都市は作った時に凄かったんだって
 孫代まで尊敬される様な志を持って仕事しやがれぃ!」

 その言葉に目を光らせ涙を流したのは人族の職人の親方達であり
 今はイマイチ指示が伝わらず困っていた獣人族の建築部門の見習い達であった。

 獣人族は戦闘民族で源流なる動物が肉食獣であれば
 成人してる時点で既にCランク冒険者の実力があるのだ。

 Cランク冒険者は体長2m、3mの魔物を倒す為に80kg位ある大剣を片手でぶん回す様な
 一応、人外の域に片足突っ込んでる連中なのだ。

 因みにネロは気で俺は魔力を流せばそれ位出来る。

 そうしてドワーフ達の応援から1週間で既に俺達は今、正面入口の羽根橋前のお堀用の穴を遠隔で掘ってるのだ。

 理由は簡単だ。
 面倒くさいから本気で3m位、一気に掘る為に
 その時に集める膨大な魔力に学生や一般作業員が耐えられなかったのだ。

 周りが気絶してた時の俺?
 鼻ほじして適当に『めんどーい、えいっ!』ってやってて
 皆気絶して慌ててパニックになって一言。

「ふっ、些か本気で魔力を発現させたらこれだ。全くたわいの無い」

 と厨二病全開のセリフをはいてみたらネロにハリセンで引っぱたかれてプラテリアに呆れられ

「ケビン、遠隔で掘れる?」

「まぁ、一応出来るよ? その代わりネロ以外近付けない位に魔力を1度に使うよ?」

 そうするとニッコリと笑ったプラテリアに高台にぶん投げられた。

 後からネロも飛んできたけど、めっちゃ怖かったらしくてつい最近まで真似されてバカにされてた。黒歴史は刻まれた。

 そして、起爆剤ドワーフ族!を筆頭に基礎と下水道、そして土台が完成して。

 既にドワーフ達は街壁を作り始めている。
 ここまで一気に工程が進み、知識部所属の文官志望達の生徒は輝いていた。

 そう、新都市が出来る前に下水道を流す為の川の上流から水を引き入れ農業に着手し始めた。

 商人志望達も既に、現地大臣と商人と合流して既にビストで商い(飲食店や物販店)の見直しを始めた。

 なんて言ったって……

「これって美味いのか?」

 代々、略奪を行ってきた獣王国の宝物庫にあった膨大な貨幣をみて
 そう言ったアホ獣王発言で全員が転けたからだった。

「アホ! 恥ずかしい。 おっぱい星人! 嫌い」

 そう言ってプラテリアは顔を真っ赤にして怒りつつサッと1袋お金を持ち去って行った。

 部屋を出る時に振り返り

「お母さんに言いつける。 これがあれば化粧品買えた」

 と、これがあった為にいつものお決まりパターンになった。

 現役文官や文官志望や獣王国側の文官、文官見習い達により
 貨幣や宝物庫の目録まで作る事になっていた。

 そして帝国文官の一言がトドメだった。

「いやー、獣王。宝物庫にあった貨幣合わせても帝国3年分の予算位ありますよ!」

 カロン、プラテリア、俺達帝国組と獣王国文官組全員が固まった。

 自給自足している国民が居る国とは言え。
 ピンチになったら周りから奪わなくても買付けが余裕で出来る金を持っていたのだ。

 獣王国と名はあるけど実際は獣人連合部族が正しい。
 何故ならこの国税金取ってないんだよ……

 獣王と王妃と脳筋大臣組は理解出来ておらず、俺達は簡単に説明した。

「えっと……帝国は人族のみの国家としては最大でその人口も5分の3位しか無い獣王国に対して
 今までは、お金が無いからや自給自足しているはずだから大目に見なさいと通達あったんですけど。

 金を持っていたと知られたら、帝国以外の国が怒りますよ?」

 カロンが少し考えて

「えっとこの事は箝口令を強いて下さい。
 お金を持ってると知られると金に汚い商業ギルドの幹部連中が動く程の莫大な資産です。

 都市が出来次第、冒険者ギルドを作りましょう。
 意外と獣王国に冒険者ギルドが無いから帰らないという人は多いのですよ獣王」

 そう言うと、獣王は明らかに落ち込んでいたのだが

「あの顔は、3日で、忘れる」

 プラテリアからの鋭い指摘に何故かダメージをくらっている。え? という事はマジで?

 こうして、足りない資材をカロンルートで仕入れる事が決定した。

 そしてここが新たな縄張りになりうる事を認識したカロンはここに支部を置く事にしたそうだ。

 え? 土地? もう、俺は買わされてる。
 プラテリアが強引にミカサ商店用の土地を買えと脅迫された。

 面倒くさいのでついでに商店用以外にも2つ土地を買った。

 その時、プラテリアの背後にはサイネ達がヤバいっという顔をして見つめていた。
 嵐が去った後……俺はこう呟いた。

「あれ? 俺って相談役じゃないの? 出資源だっけ? 」

 誰にもその呟きは届かなかった。

 クソっ!俺が出資源でも下着メーカー何て乗っ取れねぇよ!!

 見てろよサイネぇぇぇぇ!!
 俺はこの都市での目標を決めるのであった。
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