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本格始動知識部!

94話

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 獣王と父上のおふざけを止めて2週間。

 ようやく獣王国の首都ビストに着いたのだが……
 全員がとても驚いている。

「ここが首都?」

 俺は口をパクパクさせてプラテリアを見るとこちらの視線に気付いた
 プラテリアは少し考えた後に、斜め右を見て頬を赤くし

「熱い、視線、照れるポッ」

 ポッ!じゃねぇよぉぉ。

 まさか国の首都の外側が木の柵で出来てる何て考えもしなかった。

 想像以上に文明は遅れていたのであった。

 しかし、不便さもあり助け合って生きている為に人々の活気だけは帝都に負けない程で
 しかも、子供達も楽しく遊んでいる様子が伺えた。

 こういう所は凄く良いね!

 すると獣王が前に出て来た。

「今回は獣王国にようこそ!
 おい!うちの娘と仲良いガキ2人、俺の取っておきの場所に連れて行ってやる!
 感謝して着いてこい!」

 名指しを受けた俺とネロは獣王の後ろを着いていくと15分程歩く(俺達は小走り)と1つの小屋にたどり着いた。

 躊躇もせずに獣王は入ると

「モウカ!俺と娘の客人にアレ振舞ってくれ!3つだ!」

「あいよー!」

 俺達も入ると一見普通の飲食店で注文したものはすぐに出てきた。

 運んできたのは人族に角が生えた牛族の少年だった。

「はい!お待ちどう!」

 俺はつい癖で、チップを払うと驚かれた。
 それを見て、獣王とネロは呆れていた。

「ケビン、お前さん。貴族か?」

 俺はやっちまった!と思ったが気にしない事にした。

「元ですよ!元!」

 木のコップに入ってたのはミルクだったが、1口飲むと濃厚で後味スッキリのミルクだった。

「「う、うまぁぁぁい!」」

 俺とネロは2人揃って声をあげていた。
 何故か、獣王も飲みながらニヤニヤしてる。

「あら~、人族の方が最近来てるけどここに来るのは初めてねぇ」

 俺は声をした方を見た瞬間、固まった。

「わ~お、イッツァドリーム!」

 そして俺は獣王を見てニヤニヤしてる理由も気付いた。

「お? 気付いたか?」

 俺は頷くけど、ネロは気付かずがぶ飲みしてると店員のお姉さんが一言。

「あら、良い飲みっぷりね? 私のミルクそんなに気に入った?」


 ぶぅぅぅぅ!!

「ネロが盛大に吹き出したよ……」

「ガーハッハッハッ!」

 すると、お姉さんは俺の方にきて

「あら? こちらの子には会わなかったのかしら?」

 と言われて目の前にあるどデカいブツを見て大きな声をあげてしまった。

「いえ!大好きデスっ!」

「ケビン……」「ケビン君」「えっちぃ」
「えろがき」

 俺は声のした方をブリキ人形の如く振り返ると……

 サイネ達とプラテリアが入口に仁王立ちしていた。
 俺とネロと何故か獣王まで冷や汗ダラダラだ。

 そして何故か牛族のお姉さんと自分の見比べてる。

「え、えぇぇい。戦線離脱が勝ち筋『テレポー「逃がさない」ひょえー」

 ネロと一緒に逃げるが勝ちと魔力を練った瞬間にプラテリアに肩を掴まれた。

 プラテリアはいきなりネロを掴むと外に放り投げると同時に

『ぎゃぁぁぁぁ』

 悲鳴が聞こえ……俺の体はガタガタ震える。

「寒い? 温めようか?」

 プ、プラテリアさん? それは抱擁からの温めではなく鯖折りって言うんですよぉぉぉ

 グギギ……やべ。ゴブリンみたいな声出た。

「うん!美味しい!お姉さんみたいに私もなれるかなぁ?」

 サイネさん無理じゃね?

「痛てぇ」

 サイネが唐突に空のコップを投げてきた。
 額にクリーンヒットした。

 なんで皆エスパー並に俺の考えがよめるのだろうか? 不思議でならないんだけど。

「父上、家族に報告する」

 プラテリアは俺を鯖折りしつつ標的を獣王に切り替えた。

「ま、待つんだ。プラテリアぁぁ!」

 必死に懇願する、獣王と目が合ったので

「獣王……たしゅけて」

 俺からのSOSを獣王は視線をそらして無視しやがった。

「グギギ、プラテリアさん。獣王が真っ先にここに連れてきました!」

 裏切ったならこちらも当たり前だが売るさ!戦線離脱は無理でも戦略的撤退は出来る。

「だいじょーぶいっ! 2人共おしおき」

「「ノォォォォン」」

 獣王国ビストでの初の獣人族の接触は問題だらけではあったけど概ね良い感触であった。

「プラテリアさん? もう少し優しく抱擁してくれません?
 柔らかい場所が一切合切感じれま……」

「怒るよ?」

 ゴキッ

「ぎゃぁぁぁぁ」

 俺には乙女心は一切学ぶ事は出来なかった。
 その後、サイネ達に動けない俺は植物でひたすら擽られた。

 ネロ? ネロは何か女の子達に追いかけ回されていた。




 何とかかんとか治療してもらい。

 先行調査隊メンバーの学生と教師の報告書を見せてもらっていた。

 ここはアレだよね。冒険者資格が役に立つので俺達2人は余裕で見れた。

 サイネ達は服飾関係の調査しているらしい。

 報告書を読み込むと。

『立地的には最高だが、ポテンシャルが全く活かされていない。
 土壌も肥沃な大地なので穀倉地帯になっていてもおかしくない

 獣人族は、先祖代々の土地を奪われるかも? と警戒している』

 とこと細かく書いてあったので

「獣王様、この辺の場所って何か活用している?」

 簡易地図をボロボロの獣王に見せて話しかけた。

「んーにゃぁ? 使ってないな。いいぞ好きに使え」

 ほうほう? マジで?

「父上、早計した」

 プラテリアさん? 俺何かやらかすとでも?

「ケビン、規格外。何しようとしてるか話して」

 俺は仕方ないので計画を話す事にした。
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