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本格始動知識部!

85話皇帝視点

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 西のウェスタン辺境伯領は獣王国との外交兼抑止の要所である。

 そして獣人族は『強さが正義』なのだ。
 食を得る為に買う何て事はせず奪えば良いと言う
 上層部の考えのせいで年中小競り合いがある。

 外交は武より知を慮る稀な種族が行ってくれているけどそれでも強い者に従うのが
 彼らにとって正しいと認識しているらしい。

 その要所の当主が嫉妬とか何かあったのだろうけど。

 妨害工作に自ら行って死ぬとは、傍から見ればマヌケの道化ピエロとして扱えるが
 西の辺境伯領全ての貴族にとってはいきなり頭が消えたのだ。

 30~40代のウェスタン辺境伯様の息子はまだ10代だ。

 確実に後継者争いや乗っ取りを行おうとする国や家が現れる為に
 今のカーステッド帝国はかなり焦っていた。

「何をやっておるのだ!ウェスタン辺境伯は!」

 怒鳴り声をあげる。

「ゴウドリットが褒められただけで妨害行為だと?
 国力を下げるだけの行為だけならともかく死んだ? だと?アホかっ!」

 宰相は先程から焦点が定まっておらず、土気色の顔をしていた。

「宰相よ、お前は知っておったな?」

 宰相を睨むと、更に顔色が悪くなる。
 そんな時に執務室に慌てて人が入ってくる。

「へ、陛下!大変でございます!
 先行調査に行かせていた部隊から急報です。

 ムクラ・ウェスタン辺境伯は獣人族を奴隷化していました。
 どうやらかなりやっていた様です。

 ウェスタン辺境伯家の地下牢には20人の獣人が居たとの事です」

 天を見上げた、あの野郎……怒りで声や手が震えたがそれを落ちつかせ報告者に、視線を向ける。

「そうか……小競り合いが多かったのは人攫いがあったからという訳か。
 ウェスタン辺境伯家は1時全員捕縛。
 徹底的に当主以外の人間が関わっていたか調べろ!」

「「「はっ!」」」

 2人が執務室から出ていき、1人が残る。

「そして、アレクサンダー・クロスを呼び出せ!
 今回はこちらに非があるとは言え、奴らに少しでも隙を見せたら絞り取られるぞ!

 後、そこの放心状態の阿呆も取り調べろ」

 ビクン、と肩をはね上げ今更ながら言い訳を言おうとするこの愚者。

「お、お待ちください、へ、陛下ぁぁぉ」

 宰相を引きずり出してもらい執務室から出ていた所で息を吐く。

「争いごとをしたくはないが、こちらも出て行かねばならんかものう」

 もしもの時は、この身を賭しても国民は護らねばならぬ。
 どうして貴族になると人は上に立っていると勘違いするのだろうか。

 人の上に立っているのでは無い。
 多くの民に支えて貰っているのが何故わならんのかのう。



 4日後、アレクサンダー・クロスが執務室へとやって来た。

「おいっす!バカがやらかしたって? 」

 本当にこの男は……ノックもせずに国の最高権力者の執務室に入ってくるとは。
 本当に貴族勉強しておるのかの? 伯爵だぞ?

「あぁ、それに人身売買をしてた可能性まで出た来た。
 獣王国と何かしらの戦闘行為があると見ている。

 ウェスタン辺境伯領の貴族家では抑えきれん行ってくれるか? 」

 すると、かなり険しい表情と瞳には怒りの光が点っていたが、クロス伯爵は膝をつき

「謹んでお受け致します。しかしながらこれが終わり次第粛清はきっちり行う事を約束願いたい」

 ホッと息をついた。
 この男の場合は、下手したら不正が行われた家など
 助けたくないと断られる可能性もあったのだ。

「それとそろそろ帝国が大陸中央の楔として数百年。
 種族を分けて国を維持するなんて無理です。

 それに北の辺境伯領ではドワーフ達を受け入れてます。
 そろそろ、特例では無く協力的な種族の受け入れを願います」

 それを聞き、そんなもん貴族達が反対しなきゃさっさと
 受け入れてるわっ!と言いたい所を我慢し

「貴族達が受け入れてくれるなら構わん。
 今回の様な事をするなら見せしめをしなければならんがな?

 大した知恵も武力も持たんのに傲慢と見栄が服を着てる連中が多いのが問題だな。

 北の辺境伯領から変わる事を願っているさ」

 この日、帝国が誇る1番の武が西へ向かうのであった。

 1ヶ月後、西の辺境伯領では憤怒の表情をした集団が駆け抜けて行ったと伝えられるのであった。


 今、クロス伯爵とクロス領の騎士団が起こした問題の報告を聞いている。

「うむ? それで?」

 報告者はかなり緊張しているな?

「は!! ウェスタン辺境伯領に向かうまでに既に6家の貴族を襲っています。
 大義名分は獣人族を買ったという理由で貴族家、娼館、奴隷商。

 全て合わせると84ヶ所に及びます

 苦情が届いて居ますが……どうしましょうか?」

 ニヤリと笑う。

「ふむ、なるほど、なるほど。帝国の鬼より皇家の方が怖くないという事か? 

 おいお前、娼館や奴隷商にどこから手に入れたか調べあげろ。
 こちらも影を使う。徹底的にやれ」

「は!はいっ!」

 ウェスタン辺境伯が死んだ事により上位貴族達は容易に粛清されると皇帝を改めて恐れ戦く事になるのであった。
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